さて、2022年版このミステリーがすごい!ベスト10の海外編です。
今回はどんな作品がランクインしたのでしょうか!
早速見ていきましょう(*’▽’*)
国内編はこちら!

1位.アンソニー・ホロヴィッツ『ヨルガオ殺人事件』
これは納得の一位ですね。
クレタ島でホテル経営をしている元編集者のスーザン。
彼女のもとに娘の失踪を調査してほしいという夫婦からの依頼が入る。
なんでもアラン・コンウェイが書いたミステリ「愚者の代行」を読んだ娘は、そのなかで8年前に起きた殺人事件の真相を見つけたというのだ。
その本を編集していたスーザンは依頼を引き受けることにしたが―?
入れ子構造で魅せるボリューム大の極上ミステリ
本の中で実際に起きた事件の真相を見つけた娘を探すストーリーとなっている本作。
主人公であるスーザンはその本や事件現場と関りが深く、徐々に真相へたどり着いていく様には引き込まれるものがありますね。
彼女とともに読者も謎へと立ち向かっていくような感覚さえ覚えます。
そんな本作は入れ子構造となっており、作品の中に「愚者の代行」という小説そのものが登場します。
娘の失踪事件はもちろんですが、作中作まで堪能できるというのはなんだかとても贅沢で満足のいく読了感を得られるでしょう。
後半に向けてどんどん読み進めたくなるような魅力も備わっています。
合計16冠獲得、累計70万部突破の名作は必読と言えるでしょう。

2位.ホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』
イギリスに住む女子高生・ピップ。
彼女は自由研究の題材として過去の失踪事件を取り上げていた。
その事件とは少女アンディの失踪事件。
交際相手のサルが彼女を殺害し、その後自身も自殺したとされていた。
アンディはいまだ見つかっていないが、ピップはサルと親交があり、彼は無実だと感じていたのであった―。
自由研究で殺人事件の謎に挑む青春ミステリ!
5年前の殺人事件の真相解明に女子高生が挑んでいく本作。
なんといっても自由研究でその題材を選ぶというのが面白いですよね。
探偵でもなんでもない少女ならではともいえる調査方法や行動は、予測不能で楽しく読んでいける要素の1つでしょう。
素人なだけに危ない部分にも突っ込んでいき、ハラハラするような緊張感も味わえます。
また、物語そのものにはスピード感があり、テンポよく読んでいけるところも良さの1つです。
事件自体は深刻ですが、主人公のまっすぐで明るい性格もあって、重すぎない雰囲気で読んでいける仕上がりですね。
英米で大ヒットし、日本のミステリランキングにもランクインしている人気のベストセラーとなっています。

3位.ジョセフ・ノックス『スリープウォーカー』
十数年前に発生した一家惨殺事件。
その犯人は夢うつつのまま殺害を実行した「夢遊病犯(スリープウォーカー)」とされていた。
あるとき、そんな男がガンによる余命宣告を受け病院へと収容。
警護を銘じられたエイダンだったが、襲撃に遭い男が目の前で殺されてしまう。
事件の真相を追うものの、そこには魔の手が迫っており―?
多重構造で魅せるハードボイルドな警察小説
犯人の警護をしていたところ、襲撃に遭い犯人の男が死亡してしまうところから展開していく本作。
まずこの犯人は余命宣告を受けているわけですから、なぜわざわざ殺す必要があるのか?というところがポイントですよね。
主人公であるエイダンがその真相を追っていきますが、その過程でどんどん闇に巻き込まれていくので目が離せなくなります。
全体的なストーリーとして主人公は気の毒なことが多いですが、それゆえかっこ悪い様がかっこいいという在り方をヒシヒシと見せつけてくれるでしょう。
ストーリー展開がスピーディーなため、読者を飽きさせず惹きつけておくような魅力もあります。
終始重めの空気感ですが、疾走感がありどんどん読みすすめてしまうようなハードボイルドな小説ですのでおすすめです。
4位.ハンナ・ティンテ『父を撃った12の銃弾』
父とともに亡き母の故郷に移り住んだ少女・ルー。
娘にまっとうな暮らしをさせるため、父・サミュエルは漁師として働くことを決めた。
しかし祖母はサミュエルやルーに会おうとはしない。
父の体に刻まれた弾傷は関係あるのか?
両親の生き方を気にするルーであったが、そこにかつての因縁が迫ってきていた―。
漁師町を舞台に綴られる感動のハードボイルドミステリ
冒頭、父が娘に銃の使い方を教えるシーンから始まる本作は、銃社会のアメリカが舞台です。
ストーリーはいじめや恋愛を経て成長していく娘の現在を描いたものと、父親の重暗い過去が交互に語られていきます。
その勢いのあるストーリーには思わずその世界観に没頭させるようなすごさがあるのも魅力的ですね。
しかしその一方で繊細な描写も巧みで、優しさなどがじっくりと伝わるような心地よさも味わえるでしょう。
本作は父と娘の人生を描いた長い物語ですが、そこに影を落とす因縁やラストに向けての緊迫のストーリーはまさにお見事です。
青春小説とクライムサスペンスを一気に味わえるような、とにかく最後にはストンと何かが胸に落ちてくるような、そんな感動の物語となっています。
5位.紀 蔚然 『台北プライベートアイ』
劇作家で大学教授でもある呉誠(ウ―チェン)は、パニック障害と鬱を抱えていた。
彼はある日酒席で鬱憤が爆発し、辛辣な罵倒を繰り広げてしまう。
それを機に職を辞した呉誠は私立探偵をやっていくことに。
台北の裏路地・臥龍街で始めたそれは、やがて大きな連続殺人事件へと繋がり―?
台湾のアンダーグラウンドを舞台にした探偵小説
台湾のなかではアンダーグラウンドともいうべき場所で連続殺人事件に巻き込まれていく本作。
主人公は私立探偵を始めた男性ですが、なんと探偵にもかかわらず容疑者扱いになるところから展開していきます。
しかしそこから一変、警察を巻き込んで事件を調査していく様は見どころの一つ。
また、登場する人物たちに愉快で人情に厚い人間が多いのも魅力的。
このキャラクターたちが物語に温かくて楽しい雰囲気を与えてくれているでしょう。
会話や人間模様などもぜひ楽しんでみてくださいね。
ハードボイルドなテイストとなっている本作は、全体的に人情味にも溢れています。
世界観を伝える描写など細部まで魅力的な作品ですので、ぜひ1度手に取ってみてほしいです。
6位.ジェフリー・ディーヴァー『オクトーバーリスト』
娘を誘拐された女性・ガブリエラ。
彼女への要求は秘密のリストの引き渡しだった。
娘を取り戻すため、ガブリエラの友人は交渉へと向かう。
隠れ家に潜んで友人の帰りを待つガブリエラだったが、そこに見えたのはなんと犯人の姿。
銃を持つ犯人、娘の行く末は―?
最終章から始まる逆行のミステリ!
娘の誘拐をめぐるミステリとなっている本作ですが、なんといっても注目すべきはその構成。
一般的な小説とは違い、最終章から第一章に向けてさかのぼっていくストーリーとなっています。
斬新で驚かされる構成ですが、これこそが本作の大きな魅力になっているとも言えるでしょう。
物語は徐々に事件の全貌が見えてくる形となっており、最初こそ違和感があるものの第一章を読むころにはぐっとその世界観に引き込まれてしまいます。
順を追ったミステリも面白いですが、本作はならではとも言える構成で非常に続きが気になるため読者に読ませていくような力がありますね。
ラスト2章で解明されていく真相には驚きを隠しきれないでしょう。
時間を逆行するからこその伏線や展開は大いに読者を楽しませてくれます。
一味違うミステリを読んでみたい方にはぜひともおすすめしたい1冊です。
7位.アリス・フィーニー 『彼と彼女の衝撃の瞬間』
ロンドンから車で2時間、そんな場所で女性の死体が発見される。
その女性の爪にはマニキュアで謎の言葉が残されていた。
事件の取材に訪れたのはニュースキャスターを外されたばかりのアナと刑事のジャック。
2人は意見を語っていくが、なぜか両者の話は微妙に食い違って―?
不穏な空気が漂うサスペンスミステリ!
アナとジャック、2人の視点から事件が語られていくストーリーとなっている本作。
視点が変わる物語というのは珍しくありませんが、その内容の差が不穏な空気を漂わせてくるミステリというのは面白いですね。
2人のうちどちらかが嘘をついているのか?先の読めない展開にグイグイ惹きつけられます。
また、語り手には途中2人以外のもう1人の人物も含まれます。
いずれにせよ誰の話が信用でき、何が真実なのか、ミスリードも巧みなため予測するのが非常に難しいミステリとなっているでしょう。
全体的に不穏でありながらもとにかくワクワクするような展開には作者の手腕を感じますね。
タイトルでもある『彼と彼女の衝撃の瞬間』とは一体いつ訪れるのか?そんなことを考えながら読んでみても面白いかもしれません。
第一級のサスペンスの名に相応しい傑作は一読の価値ありです。
8位.リチャード オスマン『木曜殺人クラブ』
イギリスの高齢者用施設に住む老人たち。
彼らのなかには木曜殺人クラブという名で活動しているメンバーがいた。
そのクラブで行うのは未解決事件の調査。
施設の経営者が殺されたのをきっかけに、彼らはその事件の調査にも乗り出すが―?
ユーモアあふれる老人が魅せる謎解き小説!
高齢者施設の経営者が殺された事件に、施設に住む老人たちが立ち向かうという本作。
まず木曜殺人クラブというサークル活動のような設定が面白いですね。
若者ではなく高齢者でこういったストーリーというのは新鮮味が感じられます。
また、出てくる登場人物たちは一癖も二癖もあって楽しめます。
老人たちはフットワークも軽く非常にユーモアあふれるキャラクターですから、殺人ものとは思えないほど明るく読んでいける作品でしょう。
その言動などには作者のセンスも感じられます。
しかし単純に明るいだけではなく、それぞれの過去には悲しみなどもあるため物語からはひしひしと人間味も感じられるようになっています。
魅力的なキャラクターと作風で楽しく読んでいける作品ですので、ユーモアあふれるミステリがお好きな方にはとてもおすすめです。
9位.デイヴィッド・ピース『TOKYO REDUX 下山迷宮』
戦後最大の怪事件と言われる「下山事件」。
それは下山国鉄総裁が死体で発見されたというものだった。
捜査を担当することになったのはGHQ捜査官のスウィーニーら。
果たして事件は自殺か他殺か?
警視庁内の対立に揺れる世論、戦後の世界に渦巻く“黒い霧”とは一体―?
戦後の大事件に3人の主人公が挑むミステリの傑作!
本作は「山下事件」に3人の主人公がそれぞれ挑んでいく物語です。
立場などが違う3人の視点で物語が進むので、三者三様のストーリーが楽しめるのもポイント。
事件発生時、時効時、昭和天皇崩御の時といった感じで時代も違うので、別々の視点から事件を見ていくことができます。
そのような3部作構成の本作ですが、読み進めていくごとにどんどん深みにはまっていくような感覚はお見事です。
非常に壮絶な様も描かれているので、言い表せないような緊張感なども感じられるのではないでしょうか。
全体的なストーリーとしてはやはりハードな印象が際立ちますが、その分読み応えはばっちりで、ラストを読み終えたあとの読了感にはすさまじいものがあるでしょう。
英国人作家が書いた日本の物語をぜひとも堪能してみてください。
10位.アレックス パヴェージ『第八の探偵』
探偵小説黄金時代に1冊の短篇集「ホワイトの殺人事件集」を刊行した作家、グラント・マカリスター。
彼は故郷を離れてとある小島に隠棲していた。
そんな彼のもとを訪れたのは編集者・ジュリア。
短編集の復刊を持ちかけたジュリアは2人でかつての作品を1つ1つ読み返していくのだが―?
凝った構成により魅せられる不穏なミステリ
本作は7つもの作中作が盛り込まれたなんとも贅沢な1冊。
ストーリーは作中作と作中作の間に作家と編集者の対話が挟まれる形で進んでいきます。
このような構成は珍しくなかなか面白い試みですよね。
また、物語にはなんだか不穏な気配も感じられ、何が起こるのか思わず身構えてしまうような空気感が漂います。
変わった構成なだけにどのような展開になっていくのかも予想しづらく、驚かされる読者も多いことでしょう。
特にラストの3章には衝撃の展開が待ち受けています。
全体を通して本作は、作者の巧みな構成が読者の興味をひき楽しませてくれる作品です。
その大掛かりな仕掛けには思わず感嘆の声が漏れてしまいそうなほど。
とにかく凝ったミステリを読んでみたい方にはぜひともおすすめしたい1冊となっています。

国内編はこちら!

他の年のこのミスはこちら!
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参考にしていただけたら嬉しいです。それでは良い読書ライフを(* >ω<)=3
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