【2021年版/国内編】このミステリーがすごい!ベスト10紹介【このミス】

さて、この季節がやってまいりました。

このミステリーがすごい!2021年版のお時間です。

はたして今年はどんな作品が選ばれたのでしょうか!

早速見ていきましょう!

 

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目次

1位.辻 真先『たかが殺人じゃないか』

昭和24年、戦後の名古屋を舞台にしたミステリー作品。当時の日本はまだ混迷を極めつつも、学校は共学になるなどの現代へ通じる変化が著しかった時代でもあります。

ミステリー作家を目指す風早勝利は、新しい制度の中で、推理小説研究会の顧問と仲間たちと共に修学旅行を模した小旅行に出かけます。

その先で起きた密室殺人事件、そして夏休み最終日に起きた首切り殺人事件。

この2つの事件に、主人公たちはどう立ち向かっていくのか?

本作は、探偵・那珂一兵のシリーズ2作目として知られる作品です。戦後間もない日本の時代観をはっきりと反映させながら、当時の学生たちがどのように激動の時代を生きていたのかということを感じる部分が印象的です。

犯人を見つけ出すために推理していくというよりは、最後まで読んでいくことで「なるほど!」と膝を打つような驚きを感じさせる物語ですね。

物語とは裏腹に、読みやすい文章であるので何度も繰り返し読めてしまう作品です。

2位.阿津川 辰海『透明人間は密室に潜む』

表題の「透明人間は密室に潜む」では、現実ではあり得ないはずの透明人間があたかも実在するかのような形で設定されており、非常に斬新な物語となっています。

しっかりとした設定に支えらえて物語もスムーズに進んでいきます。密室が出来上がるまでの過程が非常に面白くできていて、著者の抜群の構成力が光る作品となっています。

この他、「六人の熱狂する日本人」「盗聴された殺人」「第13号船室からの脱出」の3作品を含む、4作品の短編集となっています。

私は「六人の熱狂する日本人」が一番好きです。

短編なので一つ一つの物語が短く構成されており、ミステリー小説をこよなく愛する者たちの中には物足りなさを感じる人がいるかもしれませんが、これはこれでいい。むしろ短編ならではのキレが堪能できます。

その短さ故にテンポよく話が進んでいき、なおかつ本格的なミステリー小説を楽しむことができるので、短い時間で楽しみたい人にはおすすめです。

また、ミステリー小説はあまり得意でないという人でも、読みやすいので是非挑戦してみてください。

3位.綾辻 行人『Another2001』

本格ミステリー×ホラーという新しいジャンルの中での傑作として名高い『Another』の新作。

ミステリー色よりは、ホラー色の方が強いシリーズとなっています。本シリーズは、あまりの人気さでアニメ化と実写映画化もされており、世代に関わらず大好評となっています。

本作は、『Another』の3年後を舞台にしています。夜見北中3年3組では「災厄」が起きる。死者が紛れ込んだその年、特別な「対策」を講じなければ「災厄」によってたくさんの人が死ぬ。

この「災厄」に立ち向かう中学生たちの物語が800ページにわたって綴られていきます。

1作品としてはかなりの量で「鈍器」と揶揄される程のボリュームとなっていますが、『Another』を既読の方は時間を忘れて読み進めてしまうこと必至です。

是非、お仕事はお休みを取ってしっかり『Another』の世界に浸ってください。

4位.五十嵐律人『法廷遊戯』

第62回メフィスト賞を満場一致で受賞した五十嵐律人氏による、感動を呼ぶミステリー傑作です。

著者本人が現役司法修習生という小説家としては非常に珍しい立場から、その知識がふんだんに使われた法廷ミステリー作品となっています。

久我清義(くがきよよし)と織本美鈴(おりもとみれい)は法曹を目指すロースクール生。二人のもとにとある「手紙」が届いてから、日常は不可解な事件で彩られていきます。

この状況を打開すべく助力を求めたのが、同じロースクール生で天才と言われる結城馨(ゆうきかおる)でした。3人の物語はどう運んでいくのでしょうか?

最初にご紹介した通り、著者の知識が惜しみなく使われていることから、難しい専門用語も多く読み進めるのが大変だと感じる方もいるかもしれません。

しかし「難解」だと感じることはなく、しっかりとその意味も読み解いていくことができます。めげずに読み進めていくと、緻密かつ丁寧に積み重ねられた物語の予想外の展開に必ず驚くことになるでしょう。

5位.長浦 京『アンダードッグス』

物語の舞台は1996年末の香港。元官僚の証券マンである古葉慶太が託された計画は、中国返還直前の香港から国家機密を盗み出せというものでした。

この計画を携えて香港に飛んだ彼は、かつて官僚の立場を失うこととなった政争よりも大きな、国家間の闘争に巻き込まれていきます。

同じような「アンダードッグ(負け犬)」である仲間たちと共に、彼は計画を遂行することができるのでしょうか?

イメージとしては、スパイアクション映画が最も合っているかと思います。主人公は日本人ですが、取り巻く登場人物たちはほぼ外国人です。

このため、主人公の日本人らしさが浮き彫りになるのが面白さの一端です。

展開が早い上に、どんどん転がっていくので最後はどこに落ち着くのか、ハラハラしながら読み進めていくことになるでしょう。

ストーリー自体はやや長めですが、物語のスピーディさと構成によって中だるみなく読み進めていくことができる作品です。

6位.斜線堂 有紀『楽園とは探偵の不在なり』

この世界では、二人以上の人を殺すと天使によって地獄へ連れて行かれてしまいます。

そんな世界で探偵として汗を流す青岸焦は、大富豪である常木王凱に声を掛けられて、「天国」の存在を確認するために天使が集まると言われる常世島に足を運ぶことになります。

そこで、この世界で起きるはずのない連続殺人事件が発生し、青岸は事件に翻弄されていきます。

一見すると、ファンタジックな設定ではありますが、この設定こそが本物語のミステリアスさを際立たせるスパイスの一つになっているのだということに、物語を読み終わった時気づかされることでしょう。

この世界観を壊すことなく、しかし自然かつ整然と物語は進んでいきます。

要するにファンタジックさと物語の「ズレ」がないのです。このため、読み終わった後は結末とは裏腹に、爽快感さえ覚えるほどです。

この世界観と設定をしっかり読み込んで、連続殺人事件の謎解きに挑むのもおすすめです。

7位.深木章子『欺瞞の殺意』

なぜ無実にも関わらず彼は「自白」をしたのか。元弁護士は無実の罪を自白して、無期懲役となってしまいます。

しかし、この判決から42年後仮保釈となった身で、自分の無実を証明するために真相を究明するのです。自分の妻と甥を殺していないことを明らかにするため、元弁護士の男は事件関係者と手紙でやり取りを進めていきます。

彼の無実は証明されるのか、そして真犯人は誰なのか、著者の長い弁護士経験が光る作品となっています。

本作は、手紙のやりとりを中心に物語が進んでいくので、その形式に違和感を覚える方もいるかもしれません。

主人公治重と、その妻の妹にあたる燈子手紙のやりとりが続いていく中で、真犯人が誰かを推理し合う部分が見所の一つとなっています。

物語の進み方が手紙のやり取りということで一風変わっていますが、ミステリー小説の基本を抑えた読みやすい作品となっています。昭和の色を良く表現しているところにも好感が持てます。

8位. 白井 智之『名探偵のはらわた』

明治から昭和にかけて、今もその悪名が強く残る殺人鬼たちが、もしも現代に甦ったら…。

実際に存在した殺人鬼たちが甦り、彼らが存命していた時と同じ手口で殺人を犯していきます。そんなファンタジックな設定ですから、立ち向かうのも今は亡き名探偵。助手と協力しながら、事件の真相に迫っていきます。

実在した殺人鬼がモデルとなっているので、実際に知っている殺人鬼が出てくると、普通のミステリー小説を読むのとは違ったわくわく感を得ることができます。

さらに、犯罪史上に名を残しているとは言え知らない殺人鬼もいるので、新たな扉を開くこともあるでしょう。

いずれにせよ、かなりファンタジックな設定で、探偵側もその設定を踏襲しているので、物語自体はとても特殊なものとなっています。

ミステリー小説として見ると、若干逸脱しているようにも感じるので、途中読み進める手が止まってしまうこともあるかもしれません。

しかし、最後に回収される伏線に「アッ」と声が漏れるほどで、それだけでこの作品を読んだ価値を感じられるでしょう。

9位.大沢在昌『暗約領域』

「新宿鮫」と恐れられる刑事鮫島を主人公としたシリーズの最新作です。

本シリーズ1作目は1992年に刊行されており、吉川英二文学新人賞・日本推理作家協会賞を受賞しています。

その後も同シリーズの作品で数々の賞を受賞しており、超人気シリーズとして30年近く愛されている作品となっています。

本作は、鮫島がとある男の銃殺死体を発見することから始まります。男の訃報を知って来日した友人は、なんと国際的犯罪者の陸永昌!

話は北新宿の殺人事件から、国家間の闘争へと移り変わっていきます。

シリーズを読破している方ならおわかりでしょうが、本作では鮫島周辺に新しい登場人物が追加されています。

加えて、鮫島自身がシリーズの中で年を重ねているような印象を抱く部分がたくさんあります。そんな変化もありながら、8年ぶりのシリーズ最新作でも変わらない登場人物の魅力にドはまりしてしまう作品です。

700ページというボリュームですが、重たいと感じることなく読み進めることができ、今後の展開への伏線などもちらほら見えるのが良かったです。今後も新作の発表が待ち遠しいシリーズです。

10位.若竹 七海『不穏な眠り』

不運な女探偵、葉村晶が事件を解決していくシリーズもので、NHKによってドラマ化もされているほどの大人気作品です。

本著は、「水沫(みなわ)隠れの日々」「新春のラビリンス」「逃げだした時刻表」「不穏な眠り」の4つの短編が収録されています。

表題「不穏な眠り」では葉村がなんと殺されかけるという不運が起き、相変わらず壊れた人たちを引き付けていきます。事件とそれを取り巻く人々の仄暗さに、女探偵葉村と一緒に暗澹たる気持ちになっていくこと必至です。

どの話も非常にしっかりと構成されていて、張り巡らされた伏線を拾ったりそのままにしたりと、それぞれが色濃い作品となっています。

いつも通り、不運かつケガの多い葉村が心配になりつつも、読み進めていく内に飲み込まれていく物語の中で、葉村の心とリンクしていくような感覚を味わうことになります。

彼女は何故そこまで、誠実に不運を巻き起こす人々と向き合っていくのか、彼女への興味が止まりません。

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参考にしていただけたら嬉しいです。それでは良い読書ライフを(* >ω<)=3

 

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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