このミスの季節がやってまいりましたね!
先日発表された【2017年/国内編】の「このミステリーがすごい!」ベスト10作品をご紹介です。
「このミステリーがすごい!」とは、別冊宝島さんから発行されている、ミステリー小説のブックランキング、作品が掲載されたミステリーのガイドブックのこと。
ちなみに今回は発表された時点で10作品中9作品はすでに読んでいて、残りの1作品は発表後速攻で読み終えました(´ε`●)
ベスト10ってことでもうオススメ作品しかない(全部読んでほしい)のですが、どうぞ参考にしていただければ幸いです。
※2017/12/11追記
2018年版ができました!
➡︎【2018年版/国内編】このミステリーがすごい!ベスト10紹介
☆海外作品はこちら☆

※2017年版「このミステリーがすごい!」は《2015年11月 – 2016年10月》に発刊された作品が対象です。
10.『ジェリーフィッシュは凍らない』
アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)』をオマージュした、通称「21世紀のそして誰もいなくなった」。このフレーズだけで読書欲が湧いてしょうがないです。
特殊な技術を用いた小型飛行船「ジェリーフィッシュ」が雪山に不時着。そして乗組員が一人、また一人と殺されていき、最後には誰も・・・。という変則的な「雪の山荘」モノ。最高です。
また「ジェリーフィッシュ内での出来事」の章と、「ジェリーフィッシュでの惨劇を調べる刑事たちの捜査」の章が交互に展開されていく構成がより一層面白く読ませてくれます。
個人的には「このミス2017」の中でも特にお気に入りの作品。もし私版の「このミス2017」を作ったらベスト3入りですね(*´ω`)
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特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー六人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。
9.『希望荘』
宮部みゆきさんによる「杉村三郎シリーズ」の4作目。
4編からなる短編集で、どれも宮部さんらしい高クオリティなものばかり。なんなんでしょう、この安定感。もう安心して読めます。
ただ、いきなり『希望荘』から読んでも面白いのですが、できれば1作目『誰か―Somebody (文春文庫)』2作目『名もなき毒 (文春文庫)』3作目『ペテロの葬列 上 (文春文庫)』、と順番に読んでいただきたいですね。
その方がよりこのシリーズを楽しめるようになっていますので(*´х`*)
家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業する。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。
8.『おやすみ人面瘡』
超特殊な設定での本格ミステリ+グロテスク。
人の顔をしたコブが全身にできてしまう奇病が蔓延した日本、という実に白井さんらしい舞台設定が魅力です。
こんな奇妙な設定だけでも読み物として面白いのに、しっかり本格ミステリしてくれるんだから面白いに決まっているでしょう。スピード感も満点でサクッと読めちゃうし。
白井さんといえば他にも『人間の顔は食べづらい』や『東京結合人間』など、特殊なグロミステリーがありますのでぜひそちらも(●ノ´з`)ノ
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全身に“脳瘤”と呼ばれる“顔”が発症する奇病“人瘤病”が蔓延した日本。人瘤病患者は「間引かれる人」を意味する「人間」という蔑称で呼ばれ、その処遇は日本全土で大きな問題となっていた。そんな中、かつて人瘤病の感染爆発が起きた海晴市で、殺人事件が起きる。
7.『罪の声』
昭和に実際に起こり、未解決として終わった「グリコ森永事件」をテーマとした作品。
江崎グリコ社長を誘拐を誘拐し身代金を要求。続く放火、さらに多くの食品企業を脅迫し世間を恐怖に陥れた「かい人21面相」を二つの視点から追う。
フィクションなはずなのに、リアリティが尋常ではなく「これが真実なのではないか」と思ってしまうほど。明らかになってくる真実には本当ゾクゾクしました。
文章の読みやすさも相まってか、ストーリーへの引き込み具合がハンパないので徹夜を覚悟しましょう。今の所、塩田武士さんの作品の中で最高傑作。
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。
6.『リボルバー・リリー』
「最も排除べき日本人」と呼ばれた元女スパイ・小曽根百合と、日本軍の莫大な資金の秘密を持つと思われる少年・細見慎太。そんな二人の出会いと戦いと逃亡を描きます。
まさに王道なハラハラドキドキのノンストップハードボイルド。推理小説ではないですが見事に引き込まれました。
戦闘シーンが多めでずっと手に汗握りっぱなしだし、しかも超リアル。これだけ臨場感あふれる戦闘シーンってなかなか出会えないです。
結構ボリュームがありますし濃密な物語なんですが、ま、一気読みですよねー。ハードボイルド好きならぜひ(´皿`●)
小曽根百合。かつて「最も排除べき日本人」と呼ばれた美しき諜報員。消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太との出会いが、彼女を戦場へと還らせる―。
5.『許されようとは思いません』
私のお気に入りな芦沢 央(あしざわ よう)さん。人間のダークな部分を描いた5編からなる短編集です。
いわゆる「イヤミス」なのだけど、芦沢さんの作品は抜群に読みやすいから好き。ちょっと一編だけ読もうかな?と思って読んだら5編とも一気読みしてしまった。
巧みな心理描写にゾクゾクするし、思わず「うおお・・・」と言ってしまうようなオチも楽しめたりと、個人的にも大満足な作品。純粋に「面白い短編集」としてオススメできます。
まあ決して気分の良くなるお話ではないので、この次は明るい作品を読みたくなりますね 笑。
かつて祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して村から追放されたのだ。彼女は何故、余命わずかだったはずの曾祖父を殺さねばならなかったのか…
4.『半席』
江戸の時代を舞台とし、主人公・片岡直人の元に持ち込まれる様々な「頼まれ御用」を解決していくという短編集。
見た目や内容のイメージからして時代小説の雰囲気が強い今作。読む前も私は「あんまりタイプじゃなさそうだなあ」なんて思ってました。そう、読む前は。
実際読んでみるとこれがどうして、かなり面白いのです。
持ち込まれる「頼まれ御用」はすでに解決しているものばかりで、犯人もわかっている。唯一わからないのが「なぜこんなことになったか」、という動機。ミステリ用語でいう「ホワイダニット」ですね。
この動機を探っていく過程、そしてそれがわかった時の「なるほど!」感がすごく気持ちがいいんです。そこに江戸という時代背景が絶妙にマッチしていて。
まさにハズレなしの6編であり、中でも「六代目中村庄蔵」は傑作中の傑作でしょう。
御家人から旗本に身上がるべく、目の前の仕事に励む若き徒目付の片岡直人。だが上役から振られたのは、腑に落ちぬ事件にひそむ「真の動機」を探り当てる御用だった。
3.『真実の10メートル手前』
米澤穂信さんによる短編集。記者である太刀洗万智(たちあらいまち)を中心とした事件を描きます。
で、この太刀洗万智という人物はこれまで『さよなら妖精 (創元推理文庫)』『王とサーカス』に登場しているのですが、この2作を読んでいた方が絶対に楽しめます。
「シリーズものだからとりあえす読んでおいた方がいい」というのではなく、『さよなら妖精』『王とサーカス』の2作とも素晴らしい作品ですので純粋にオススメなんです。
そのあと『真実の10メートル手前』を読めば、より深く作品の世界に浸れることでしょう。
当然ですが、このミス2017ベスト3にランクインしたこの作品が面白いのは言うまでもありません。
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める…。
2.『静かな炎天』
若竹七海さんによる「葉村晶シリーズ」の短編集。抜群の面白さと安定感を誇るシリーズですが、それは今作でも健在。
単純に「面白いミステリ短編集が読みたい」という方にもぜひオススメしたい作品です。
これまでのシリーズ作品を読んでいなくでも問題なく楽しめる内容ですが、やはりできるならシリーズを通して読んでいただきたいですね。
葉村晶にこれまで何があったか、を知ることで葉村晶に対する思い入れが全く変わってきます。もうめっちゃ苦労しているんですから・・。
ちなみに、このシリーズは面白いけど後味が悪いお話が多いのでお気をつけくださいね( ゚∀゚)
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ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く(「静かな炎天」)。
1.『涙香迷宮』
はい、きました。
竹本健治さんの『涙香迷宮』。
発売当初この作品を読んだ時、「絶対コレはこのミス2017のベスト5には入る!」って思ってましたもん(ほんとですよ!)。そしたら案の定のランクイン。しかも1位。ふふふ。
今作は「牧場智久シリーズ」の一つで、天才囲碁棋士の牧場智久が、黒岩涙香(くろいわるいこう)の残した「いろは歌」暗号に挑戦する長編ミステリです。
で、この「いろは歌」暗号がえげつないんですよ。何が凄いかって、驚きを通り越して感動するレベルで。「これを考えた竹本健治さんちょっとヤバイな」って思います。
まさに「暗号ミステリの最高峰」の名に恥じない傑作ですので、ミステリ好きならまず読んでおいて間違いないです。
一応シリーズものですが、この作品に関してはいきなり読んでしまって大丈夫です。とにかく最高の暗号に圧倒されましょう。
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明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのはIQ208の天才囲碁棋士・牧場智久!いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作る日本語の技巧と遊戯性を極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
他の年のこのミスはこちら!
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参考にしていただけたら嬉しいです!それでは良い読書ライフを(* >ω<)=3
コメント
コメント一覧 (3件)
こんにちは!
8位に入っています白井智之さんの作品が前から気になってます。
なんだか凄そうなんだけど設定が斬新すぎてついていけるのかな、みたいな。
よろしければ感想を書いて頂けませんか?
もちろん気が向いたらで結構です。
pink moonさんこんにちは!
ふっふっふ。やはり気になっちゃいましたね!
ありがとうございます。そう言ったリクエストをいただけると嬉しいです!
ぜひぜひ書かせていただきます。おそらく一週間以内には記事をアップできるかと思いますので、どうぞよろしくお願い致します(* >ω<)=3
お〜〜!
ありがとうございます。
待ってます!