さて今回は北山猛邦さんの『ギロチン城』殺人事件のご紹介を。
この『ギロチン城』殺人事件は「城シリーズ」の4作目であり、現在までに『クロック城』『瑠璃城』『アリス・ミラー城』『ギロチン城』と色々な城が登場しています。
私の中では『アリス・ミラー城』が一番好きでイチオシしているんですけど、今回はあえて『ギロチン城』を。
なぜかと言いますと、再読してみたら「あれ、こんなに面白かったっけ?」って思ったからです。笑
で、ちょっとテンション上がっちゃったんで勢いでご紹介させていただきますね(* >ω<)=3

北山猛邦『ギロチン城』殺人事件
今作の主人公となるのは、探偵役の幕辺ナコと、その相棒・頼科有生(よしなりゆうき)の二人組。
ある日、自称探偵のナコは「人形の墓場」と呼ばれる人形塚から西洋風の少女人形を拾ってきた。
そしてそれは見事なカラクリ人形であり、ゼンマイを巻きメモを渡すと人形は文字を書き始めた。
「Help」
と。
人形が助けを求めている?何の冗談だ?
不審に思ったナコは人形をひっくり返し中を確認する。
すると、中から一枚の写真が出てきた。
女性だ。
可愛らしい顔をしているのに、せつなそうにこちらを見ている。未成年の顔つきだ。三脚などを使わず、自分の手を伸ばして撮影したものだろうか。彼女の顔が画面に大きく写っている。
そして、彼女の背後には、巨大なギロチンがあった。
講談社文庫/『ギロチン城』殺人事件 P.40より引用
ここでナコは確信する。
この人形は、あの『ギロチン城』にあったものだ。
そして写真の少女は助けを求めている。
かくしてその日の夜、ナコと頼科は早速「ギロチン城」へと向かったのであった。
というように今作は、
探偵とその相棒が「ギロチン城」という不気味な城に少女を助けに向かったが、閉じ込められて、しかも超すごい連続殺人事件に巻き込まれる、
っていう「館モノ」好きにはもってこいのパターンのやつです。はい。この時点で私的には読むの決定です(〃´∀`)笑
人形塚に残されていた「Help」という文字を書く書記人形と女性写真。この謎に迫るため探偵の幕辺と学生の頼科は人形の出所『ギロチン城』へ。密室で起きた城主斬首殺人事件という過去、外界を拒絶した構造、多くの処刑具、過剰なセキュリティが存在するこの異様な館で二人を待ち受けていたのは新たな密室殺人!
なんと魅力的なギロチン城!
この「ギロチン城」は、道桐久一郎という人物が、自身の趣味である処刑道具をコレクションするために建てられたような奇妙な城。
しかも1年前、道桐久一郎はこの「ギロチン城」で不可解な死を遂げています。
その状況はほぼ「密室」。
道桐は首が真っ二つに切断されており、死体のそばには「首刈り人形」と呼ばれる人形が転がっていたのです。
しかし人形には何のカラクリも施されていない。
人形が犯人としか思えない状況なのに、仕掛けのない人形に殺人はできない。一体どうやって・・・。
っていう不気味すぎる城なんですよ。もうワックワクですよね(ノ∀≦。)
さらに城に住んでいる人物も変な人たちばっかりで。まあ何とも北山さんらしいダークでファンタジーな世界観なのです!
次々に巻きおこる殺人!殺人!
ちょっと不謹慎な言い方かもしれないんですが、殺され方も非常に魅力的なんですよ。
「スクウェア」ってご存知ですか?
部屋の四隅をA.B.C.Dとして、四人がそれぞれの地点に目隠しをして立ちます。
で、A地点に立つ人がB地点に歩いて行き、B地点に立っている人の方を叩く。
そしたら自分はそこに留まり、肩を叩かれた人がC地点に向かって歩く。
C地点に着いたらそこにいる人の方を叩き、肩を叩かれた人はD地点へと歩いていく。
・・・というのを繰り返す儀式です。
普通であれば、これは続くワケがないんですよ。
最後にD地点にいた人がA地点に向かった時、A地点には誰もいないんですから。誰の肩も叩けない。五人いなければ成立しないんです。
しかし、これが出来てしまった時、いないはずの五人目が紛れ込んでしまったということ。これが「スクウェア」という儀式の成功なわけです。
で、この「スクウェア」を用いた殺人が登場するんですが、それがなんとも魅力的でして。
この殺人を成立させるためには、
①四人の中の誰かが不正な行動をした
②外部から何者かが参入した
の2パターンが考えられます。
しかし、今回の場合はそのどちらもが考えにくい。
この密室という状況で、一体どうやって、このような殺人ができたのか?
という謎に続く謎がまあ面白いんですわあ(*^m^)
もちろんこの他にもギロチン城ならではの殺され方が・・・。これぞ「館モノ」ならぬ「城モノ」の醍醐味です。
ただ、犯人の正体、というか、犯人を示すトリックには賛否あるようですね。私は全然好きですけど!
シリーズ物だけど読む順番は?
さて、この『ギロチン城』殺人事件は「城シリーズ」の四作目なのですが、結論から言うと順番に読む必要はありません。
それぞれ独立したお話ですので、お好きな城から読んでいただいても問題なく楽しめます。
特に「館や城が舞台のミステリが好き!」という方はぜひ全部読んでみることをオススメしますよ。
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ぜひぜひ参考にしていただければ嬉しいです〜!(* >ω<)=3
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