学生の頃『ななつのこ』というミステリ作品を読んでからすっかり加納朋子さんにハマった私。
この前発売された『自薦 THE どんでん返し2』に加納さんの作品が載っていて、それを読んだら再熱して久々に加納さんの作品を読みあさっていました。
というわけで今回はぜひオススメしたい加納朋子さんの小説を選んでみました!
基本的に「心温まる系」の作品が多いので、エグい作品の後とかに読むと救われます。ご参考にしていただければ幸いです(*´∀`*)
『モノレールねこ』
心あたたまる物語8編が収められた短編集。
小学5年生のサトルがある日、不細工な野良猫の首輪に「このねこのなまえはなんですか?」と書いた手紙をくっつけた。何日かたって首輪を見ると、そこには返事が。
短編なのであらすじをあまり説明できないのが残念ですが、そんな始まりを迎える表題作「モノレールねこ」は中盤まさかの展開を迎えます。そして最後にはニヤニヤ。
他にも、ある家族に飼われているザリガニ目線で描かれた「バルタン最後の日」は大好き。まさかザリガニに泣かされるなんて。。
とにかく、心をガシッと掴まされるお話ばっかり。
表題作の「モノレールねこ」ほか、ザリガニの俺が、家族を見守る「バルタン最期の日」など、夫婦、親子、職場の同僚など、日常にさりげなく現われる、大切な人との絆を描いた8編。
『ななつのこ』
女子大生・駒子は、大好きな本『ななつのこ』の著者にファンレターを出した。それも自分の身近で起きた謎を書いて。
すると著者本人から、駒子の書いた謎の回答が書かれた返事が来た!そんなやり取りを描いた連作短編集です。
殺人の起きない「日常の謎」で、ミステリなのに読後はやさしい気持ちになれるんですよねー。一遍一遍がちゃんと面白くて、しかも最後まで読むともっとこの作品が好きになるっていう仕掛け。
ぜひラストを見届けていただきたいです。
で、今作は「駒子シリーズ」の一作目。この後は『魔法飛行 (創元推理文庫)』『スペース (創元推理文庫)』へと続きます。
短大生の入江駒子は『ななつのこ』という本に出逢い、ファンレターを書こうと思い立つ。身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、事件の“解決編”ともいうべき返事が舞い込んだ!
『ささらさや』
ささらシリーズの第一弾。
サヤは突然の事故で夫を亡くしてしまい、幼い子供と佐々良の街へ引っ越してきた。そこでサヤはいろんな事に悩まされるのですが、そんなときに夫の幽霊が他人の姿を借りて助けにくる、っていう物語です。
あーもう絶対良いお話に決まっているではないですかー!こころがじんわりするし、涙腺を刺激してくるし。
つまりは幽霊の夫が探偵役の「日常の謎」作品なのですが、そんな事より物語そのものが素晴らしく良い。。
2014年に新垣結衣さんと大泉洋さん主演で映画化されたのですが、それもとっっっても良かったんですよー(゚ノ∀`゚)
事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。
『螺旋階段のアリス』
アリスシリーズの一作目。
会社員から私立探偵に転身した仁木順平の元にやってきた美少女・安梨沙。そんな二人がコンビとなって織り成す「日常の謎」7編。
ほっこりした優しいミステリかと思いきや、ちょっと苦味があったり。というか、ルイスキャロルの『不思議の国のアリス (角川文庫)』が好きな私にとってはツボすぎる!『不思議な国のアリス』への絡め方も絶妙。
とはいえ、『不思議な国のアリス』を読んでいなくても楽しめますのでご安心を。
特に好きなのはシリーズ2作目『虹の家のアリス』に収録されている「鏡の家のアリス」。これはいいミステリ。
大企業のサラリーマンから、憧れの私立探偵に転身を果たした仁木順平。事務所で暇をもてあましていた彼の前に、真っ白な猫を抱いた桜色のワンピースの可愛らしい少女が迷いこんでくる。
『コッペリア』
加納朋子さんといえばホンワカした日常の謎だよね。そんなイメージを覆す、著者初の長編ミステリーです。
『ななつのこ』やアリスシリーズとは異なる怪しげな雰囲気が漂う今作は、ある人形に魅せられた青年と、その人形によく似た女性が紡ぐ物語。
視点がコロコロ変わっていき、なんだかこんがらがってきたぞ?となって、最後に騙されていたことに気がつく。おみごとです。
加納さんのこのタイプの作品ももっと読んでみたい。
恋をした相手は人形だった。だが、人形はエキセントリックな天才作家自らの手で破壊されてしまう。修復を進める僕の目の前に、人形に生き写しの女優・聖(ひじり)が現れた。
『掌の中の小鳥』
エッグ・スタンドというバーを舞台にした日常の謎短編集。お店にいる登場人物が、話を聞いただけでなぞを解決していっちゃう、っていう感じ。
軽めのミステリーですが、提示される謎も解決編も非常にしっかりしていて気持ちが良いです。
ミステリもそうですが、やっぱりバーの雰囲気とかセリフとか、作品そのものの世界観が素敵。一度読んで答えを知っていても、なんか読みたくなってしまうような。
ちなみに、バーが舞台のミステリというと鯨 統一郎さんの『九つの殺人メルヘン (光文社文庫)』も好きですねえ(゚∀゚*)
ここ“エッグ・スタンド”はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル、すっかりお見通しといった風の紳士、今宵も常連の顔が並んでいます。
『無菌病棟より愛をこめて』
病院を舞台にした心あたたまる系の小説かなー、と思いきや、これ、加納朋子さん自身の闘病記なんです。初めて読んだ時は本当にびっくりしました。
白血病を宣告された経緯や骨髄移植までの流れ、それを支える周りの人々。そんな絶望的とも思える闘病生活なのに、ところどころが「ユーモア」に描かれいるんです。ちょっとニヤっと笑ってしまうくらいに。
「もし私が白血病になったら」「もし私の身近な人が深刻な病気になったら」。そんなことを考えさせられながらも、加納さんの常に前向きで明るい姿勢の感激しました。
心揺さぶられる「あとがき」も必見です。
愛してくれる人たちがいるから、死なないように頑張ろう。―急性白血病の告知を受け、仕事の予定も、妻・母としての役割も、すべてを放り出しての突然の入院、抗癌剤治療の開始。
おわりに
というわけで、今回は加納朋子さんのおすすめ作品をご紹介させていただきました。
落ち込んでいる時や心が弱っている時にもピッタリな作品が多いですね。ぜひご参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、夫は推理作家の貫井徳郎(ぬくい とくろう)さんです。
作品の後味がほとんど真逆!笑
コメント