「結婚した男は悪魔でした。」
そんな帯に惹かれて購入した『完璧な家』は、B・A・パリスさんの処女長編。
どうやら私の好きそうなサイコ・サスペンスもののようですし、帯の「全英100万部のベストセラー!」っていう肩書きにつられて買ってしまいました。
しかし!これが大正解!
予想をはるかに超えるハラハラドキドキで、わずか2時間くらいで一気読みしてしまうほどの超面白いサスペンス小説だったのです。
『完璧な家』あらすじ
序盤で繰り広げられるのは、主人公グレース・エンジェルの家で行われているパーティーの光景。
グレースの夫は、俳優レベルの整った顔立ちで有名弁護士のジャック。
パーティーに出席している友人たちからすれば、グレースとジャックは誰もが羨む理想の夫婦と家に見えます。
しかし、グレースにはミリーという大好きな妹がいるのですが、ミリーはダウン症でした。
そのため、今まで付き合いのあった男性たちは、結婚のこととなると具合が悪くなったようにグレースの元を去って行きました。
みんな妹ミリーの世話をするのが嫌なのだ。私が一人でミリーを守る。もう、結婚は諦めるしかないのかもしれない。
そう思っていた矢先に出会ったのがジャックでした。
彼はダウン症の妹ミリーを受け入れ、グレースにプロポーズをしたのでした。ミリーも含め、皆で一緒に住もう、と。
ああ、ハンサムで優しくて妹のこともしっかり考えてくれている、素晴らしいジャックと結婚できるなんて!私はなんて幸せなの!
と幸福に浸るグレース。
しかし、この時は知る由もありませんでした。
まさに「完璧」とも言える夫・ジャックが悪魔だったなんて。
気持ちいくらいのサイコパス
今作のある意味主人公とも言えるジャックさん。
残念ながら、彼はイカれています。
しかも中途半端なものではなく、根っからのサイコパスなんです。
だから面白い、と言ってはなんですが、このぐらい狂っていると同情する必要がないので気持ち良く憎めるんですよね。笑
なぜジャックは、ダウン症の妹ミリーを受け入れてグレースと結婚をしたのか。
ネタバレになってしまうのでその理由は伏せますが、超イカれてますよ。
ジャックの本性を知ったグレースは驚愕し、逃げようとしますが時すでに遅し。
なぜなら彼はただのサイコパス(やばい人)ではないからです。
とっても頭が良いんです。
これが余計に怖い。というかゾクゾクする。
逃げられそうで、逃げられない。
グレースを心理的に追い詰め、自分の支配下に置くわけなのですが、このやり方がえぐい。
グレースはずーっと家に監禁されているわけではないのです。
友人たちとの付き合いもありますので、ジャックとグレースは一緒に友人宅で行われるパーティーにも行ったりします。
グレースが急に姿を見せなくなったら不自然ですもんね。
外に出られるんだったら、いくらでも助けを呼べそうなものです。
でも、できない。
もちろん暴行などもしません。
アザなど残ってしまったら、友人たちに気がつかれてしまいますから。
全てジャックの計算のうちに入っています。
・グレースの助けを誰にも届かないようにするには。
・世間の人たちに一切バレずに、どうやって自分の妻を支配するのか。
この点に注目です。
素晴らしき読みやすさ!
序盤の数十ページほどは、グレースの家で行われているパーティーのシーンが描かれているのですが、そこだけ登場人物が一気に出てくるのでちょっと読みにくいと思うかもしれません(登場人物の把握と人間関係に少し戸惑うかも)。
でも決して登場人物が多いとか複雑とかではありません。むしろ全体的に見れば少ない方です。
しかも、その序盤を過ぎれば一気にスピードが上がります。文章は読みやすいし目が離せない展開が続くので一気読みしちゃうでしょう。
読み終わるまでずーっとドキドキですからね。
終盤のハラハラ感なんてとんでもないですよ。
とにかく「結局グレースは助かるの?!」「ジャックの手から逃れられるの?!」「てかグレース逃げえええええ!」って気になって気になって。
「全英100万部のベストセラー!」って帯に書いてあるだけあります。ああ面白かった。
果たして、ハッピーエンドか、バッドエンドか。
ぜひこの物語の結末を目にしていただければと思います。。。
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