『怪奇日和』-SF・ミステリ・サスペンス・ホラーのいいとこどりの作品集

『霧』で有名なスティーブン・キングの息子として話題のジョーヒル。

彼の兄弟もまた作家として活躍するオーウェン・キングであり生粋の作家一族のサラブレッドとして登場しました。

最初こそはS・キングの息子として比べられたり、父親の作品の廉価版と呼ぶ人もいましたが、ジョーヒルの素晴らしいところは、父から影響を受けた部分を隠さず、そのまま自分の作品として新たに昇華していく部分と言えるでしょう。

現在は、ジョーヒルのファンも数多く存在します。

そんな彼の作品である『怪奇日和』が話題となっています。

かなりページ数のある本ですが、読み切ると様々な国際情勢に関する思惑などを考えさせられる、余韻が残る、と高評価が多くなっています。

そんな『怪奇日和』のあらすじと口コミをたっぷりとご紹介いたします。

目次

ジョー ヒル『怪奇日和』のあらすじ

本書は4篇が収録された中編集となっています。

それぞれの名前は以下の通りです。

・スナップショット
・こめられた銃弾
・雲島
・棘の雨

それぞれ簡単にあらすじをご紹介いたします。

スナップショット

記憶を盗み奪うポラロイドカメラを手にした謎の男。

認知症のシェリーと向き合う夫が切ないストーリー。一体謎の男は記憶を吸い取るカメラで何がしたかったのか。どんな記憶を消したかったのか。

認知症でなかったことに気付いたとき、どうなってしまうのか。

世にもおぞましいカメラが送る不思議な作品。

こめられた銃弾

森林火災が迫る町で起きた不可解な銃撃事件を追う物語。

元軍人の警備員である主人公が、とあるショッピングセンターで起こった銃撃戦から破滅の道へと突き進んでいってしまう。

その事件の着地点に驚きが隠し切れない。

すべての伏線が回収されたとき、そこに残ったのはホラーかサスペンスか。

雲島

主人公であるチェロ弾きの男性がスカイダイビングをした。

ところが、その途中にとある不思議な雲に落っこちて迷い込んでしまった。

まるでジブリのような世界観で、悪戦苦闘しつつも弱気だった主人公はどんどんと自分を見つめなおして前を向いていく。

果たしてその雲の中の世界とはどのようなものだったのか。

棘の雨

世界に雨ではなくクリスタルのような硬い物質が降り注いでいる。そのせいであらゆる生き物の命が奪われ、そしてどんどん世界は滅びていく、終末物語。

ラストで棘が降る原因がしっかりと明かされるのだが・・・それまでのストーリーから、読者は無事原因にたどり着けるのか。答え合わせに圧巻。

ジョー ヒル『怪奇日和』の口コミ【読者の感想】

それでは実際にこの本を読んだ方の感想や口コミをご紹介いたします。

 

『奇想天外で、SFとダークファンタジー風な3作品とサスペンス色全開の「こめられた銃弾」この作品が一番良かった。連作短編で徐々に繋がっていく過程が面白い。
記者以外はろくでなしだらけ、これがまた何とも最高に面白い』

 

『雷、山火事、雲、雨といった不穏な気象=『怪奇日和』をまとめた中編集。
異常気象に認知症や尊厳死、銃社会、災害・テロリズムなど、人類が生きている中で直面する様々な問題と、ジョーヒルが考える現代アメリカの抱える鋭利な問題が様々な角度であぶり出されているピリッとしたストーリー展開だった。
今の新型コロナウイルスで混乱している世の中に読むと、少しだけ切なく感じる』

 

『SFとコメディとシリアスと・・・1つの本でかなり楽しめる作品でした。この本自体が700ページ程度あり、最初はうわ、と思ったのですが、ひとつひとつの話は150ページ前後にまとめられており、ちょっとした短編集よりしっかり作りこまれていて面白かったです。
長期休みなどを利用してじっくり読みたい本だと思いました』

 

『ジョーヒルはお父さんの作品と比べられがちですが、どちらも素晴らしい作家だと思います。ジョーの方がサクッと軽く読めるところが良いかなと感じます。
非日常と日常の境目でぞっとする展開はさすがでしたし、現代の地球上で抱えている問題と重なる部分もあり、心に響きました』

 

他の作家には無いような独自の視点から奏でるSF作品がクセになる読者が多発している作家である事がわかりました。

好みは分かれますし、読むのにかなりのパワーは使いますが、読み切ると達成感がありますよ。

心のあまり触れない場所をサクッと切り裂く展開にゾワゾワ

ジョーヒルの作品は、普段私たちが触れない、触れたくない心の大事な奥まった部分にサクッとナイフが通り抜けて行くような読後感を感じることが出来ます。

現代のアメリカ社会が抱える風刺をしっかりと捉え、ニュースがあまり触れたくない、日本のメディアでは深堀しないところを小説という形でしっかりと我々に届けています。

それは、まるで静かな魂の叫びのようにも感じられます。

この皮肉めいた作品を、しれっと読み切ったときのハードボイルドな感じが、どことなく山椒を噛み潰したようにかっこよく、適度にひりつかせてくれます。

他の作者にはないような雰囲気と、彼の父親の作風が上手く混ざり合うことで、新しいオリジナル作品としてしっかり確立しています。

一部では彼の父親であるキングよりも好き、というファンも登場するほどです。

ジョーヒルはミステリ・ホラー・SF・日常どれをとっても素晴らしい文章力でまとめられており、本作はそのどれもを味わうことが出来るお得な内容となっています。

ジョーヒルをこれからもっと知りたい方は是非読んでみてください。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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