みんな大好きの「どんでん返し」な物語が収められた『自薦 THE どんでん返し (双葉文庫)』の第二弾が先日発売されました!
このシリーズは、それぞれの作家さんが自分の過去作品の中から「どんでん返し」作品を選んで収めたアンソロジー。
第一弾に続く今回の作家さんは、乾くるみさん、大崎梢さん、加納朋子さん、近藤史恵さん、坂木司さん、若竹七海さん、の6名。なんと、素晴らし。
というわけで今回はこの中の3つのお話をピックアップ。それぞれのあらすじを見てみましょー(* >ω<)=3
1.乾くるみ『同級生』
高校時代の同級生である小林のマンションへ訪れた板倉夫婦。今や小林はベストセラー作家であり、高層マンションの最上階に部屋を持つお金持ちとなっていた。
そこに集まったのは板倉夫婦と小林の他に、同級生の三浦香純、当時「ラジ」というあだ名で呼ばれていた男(名前が思い出せない)、そして鶴田くん。
久しぶりに再会した皆でワイワイ盛り上がっていた中、ラジくんがこのマンションで起こったある事件の話を持ちかけてきた……。
さすが、名作ミステリ『イニシエーション・ラブ (文春文庫)』でお馴染みの乾くるみさん。
同級生の男女が集まるこのシチュエーションは非常に「何が起こるのか」を気にさせます。これは男女のドロドロ展開か!とか色々考えながらグイグイ読まされました。
で、何よりオチへの持っていきかたがうまい。そうくるか。
2.大崎梢『絵本の神様』
訳あって東北地方にある小さな「ユキムラ書店」を訪ねたのは、出版社に勤める営業マン・井辻智紀。
しかし時代の波か、個人経営のユキムラ書店はシャッターが閉まっており、閉店を知らせる張り紙がそこにはあった。
すると隣のそば屋の主人から、智紀が来る前日に「週刊ライト」という雑誌を持った男性が、同じように店の前で佇んでいたという話を聞く。
さて、場所は変わり駅へと戻った智紀は、一人の少女が持っていた一枚の封筒に目を留める。その封筒には「ユキムラ書店」の看板に描いてあったキャラクターが描かれていた。
しかもその絵を描いてくれた男性は「週刊ライト」という雑誌を手にしていたという。
一体、その男性は何者なのか。そして何のためにユキムラ書店を訪れたのか。
大崎梢(おおさきこずえ)さんといえば『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』から始まる「成風堂書店事件メモシリーズ」で有名な作家さん。
やはり大崎さんの本にまつわる物語は大好きだ。あったかい。
この短編のタイトルだって『絵本の神様』ですよ。いかにも良い物語っぽいではないですか。で、案の定良い話だからたまんないですよ。ちょっと涙ぐみました。
今回の6つのお話の中で一番好きなのは?と聞かれたらコレ(ノω`*)
4.近藤史恵『降霊会』
学園祭当日までの一週間、とある事情で学校に来れなかった南田。
一週間ぶりに登校した南田は、幼馴染みの砂美が「降霊会」という企画をやることを知る。しかも人間ではなくペットの霊を降ろすらしい。
それにしても、砂美がオカルトに興味があったなんて聞いたことがないぞ。ともかく気になった南田はその「降霊会」に参加することに。
すると始まるやいなや、霊感があるという少女・エレナは参加者の亡くなったペットが本当に取り憑いたかのように語り始めた。
一体なんなんだ。これは茶番か?それとも本当に……。
『凍える島 (創元推理文庫)』で鮎川哲也賞を受賞、そのほか名作『サクリファイス (新潮文庫)』などで有名な近藤史恵(こんどうふみえ)さんの短編。
今回の6つのお話の中で一番「ゾクッ」とするタイプの短編でした。いやあ、好きだ!
「どんでん返し」という点だけ見てもキレが良かったです。
どんでん返し感は少なめですが・・・
さて、全話読んでみての感想ですが、「そんなにどんでん返しではなかった」というのが正直なところ。
数あるどんでん返しミステリを読んできた方でしたら物足りなさを感じることでしょう。
で、す、が!
純粋に「短編集」としては面白いです。ホントに良作揃いです。
確かにどんでん返しとも言えなくはないですが、これらのお話を「どんでん返し」としてウリに出すのはちょっともったいないかな、と思います。
せっかく面白い短編ばかりなのに、これだと「どんでん返しがすごい作品なんだな!」と期待して読んでしまうから結果、「そうでもなかったな…」ってなってしまう。
いやホント純粋に面白いのに!
というわけで、「超どんでん返しする作品が読みたい」という方にはあまりオススメはできないけれど、「面白い短編集が読みたい」という方には断然オススメさせていただきます。
それぞれの作家さんの自薦ということだけあって良作揃いです。読まないともったいないですぞ。
第一弾もぜひ
第一弾の方は、綾辻行人さん、有栖川有栖さん、西澤保彦さん、貫井徳郎さん、法月綸太郎さん、東川篤哉さん、という名前を見ているだけでもヨダレが出てきてしまいそうな豪華ミステリ作家さんたち6名。
ですが、これに関しても特別どんでん返しが強いというわけではなかったです。どんでん返しを求めるのであれば、それぞれの作家さんが他にもっと凄まじいどんでん返し作品を書いていらっしゃいますし。
とはいえ、やはり「短編集」としてはとても面白いです。
「豪華作家さんたちが贈る面白いミステリ短編集」としてはかなりオススメできるものとなっておりますので、ぜひぜひ(* >ω<)=3
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは!「自薦どんでん返し」私も発売して直ぐに購入しました。確かに純粋に楽しめる短編集でした。私はゾクリとした「同級生」「降霊会」が好きですね。特に「同級生」はラストの展開に、そっちかー!と驚かされました。
りかさあああん!こんにちは!やはり買われてましたか 笑。こんなの絶対買っちゃいますよね。
そうそう、「同級生」「降霊会」に二つはゾクリタイプですよね。好きなんですよこのタイプ。
私も「同級生」はまさかそっちでくるとは予想していなくて。なかなかやってくれましたよね(ノω`*)