藤まる『時給三〇〇円の死神』が切なすぎて痛すぎて苦しくて、涙さえ出なかった。

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ジャケ買いならぬ「タイトル買い」をよくしてるんですけど、ある日ビビビッ!と感じた作品がありまして。

それが藤まるさんの『時給三〇〇円の死神』という作品なんですけど。

これはいい作品の匂いがする!と思って読んでみたら、これが想像以上に胸を苦しめる物語でして、読後しばらく動けなかったんです。

ああ、これはもっと多くの人に知られるべき作品だなあ、と思ったので簡単にご紹介させていただきます。

 

目次

『時給三〇〇円の死神』

 

「それじゃあキミを死神として採用するね」

「は?」

玄関を開けた先にて開口一番、花森雪希はそう告げた。

P.6より

急に家にやってきたクラスメイト・花森雪希(はなもりゆき)に「死神のアルバイト」に誘われた佐倉。

彼女いわく、自分たち「死神」は、未練を残したままこの世に残り続ける〈死者〉をあの世に送ってあげるのが目的だという。

いきなり何を言い出すの?という暇もなく説明を続ける花森。

明らかに怪しいバイトだ。

しかも驚くべきは、時給が三〇〇円だということだ。

残業代も出ず、シフトも選べず、交通費も出ず、ボーナスもない。

最悪の条件だ。

しかし、半年間最後まで勤め上げれば、どんな願いもひとつだけ叶える《希望》を申請できるという。

もし本当なら凄いことだけど、どう考えても怪しすぎる。

 

ただ佐倉は、ある理由によって他のバイトができず、実際お金にも困っていた。

「即採用」と「前払い」。

考えた末、この二つの理由で佐倉は契約書にハンコを押した。

 

まさか、それが本当に「死神」のアルバイトだとも知らずに。

感動?泣ける?いや、痛い。

という、

未練を残したままこの世に残り続ける〈死者〉をあの世に送ってあげるアルバイトをすることになった佐倉と、クラスメイトで「死神」としては先輩の花森が主役を務める連作短編集です。

これ以上の内容はネタバレになってしまうので言えません( ´∀`)

一章のあらすじを言うだけでネタバレになってしまうので。

 

で、目次が

・プロローグ

一章・死神のアルバイトはじめました

二章・白い手紙

三章・無償の愛

四章・潰れた心臓

五章・幸せの花

・エピローグ

となっていたんで、ああこれはよくある感動系と青春を混ぜ合わせたやつだな、と察しがついたんですよ。

 

おそらく

一章、イイハナシダナー(ノω`*)

二章、イイハナシダナー(ノω`*)

三章、イイハナシダナー(ノω`*)

四章、イイハナシダナー(ノω`*)

五章、まさかの展開!号泣!

みたいな連作短編だと。

 

こういうタイプの作品には慣れっこなんで、まあ余裕かなあ、なんて思っていたのさ。

そしたら、予想と全然違うの。

 

一章目から「嘘でしょ!!」って叫んでしまうくらい切なすぎる話だったんです。

 

それぞれ感想をひとことで言いますと

 

一章・えええ!!嘘でしょ……(切なすぎて逆に涙でない)。

二章・ああ、痛い痛い、心痛いよ。

三章・これも無理。心苦しい。

四章・うわあああああああああ!

五章・心臓グシャリ。

 

つまりね、想像をはるかに超えて重たいんですよ。

タイトルと表紙のイラストから察して、気軽に読めるライトな感動ものだと勘違いしてたんです。

そしたらなに、このヘビー級のパンチの連続。

逆に泣けない。胸が痛すぎて。

泣けるかどうかはあなた次第。

どんな作品もそうなんですけど。

私には「泣ける・感動」という気持ちより「切ない・やりきれない」のほうが強くて、読みながら「キッツイなあ」とずっと思ってました。

最後の方もやりきれない気持ちが残って、「ああ、どうにかならないか」と祈りながらページをめくっていましたね。

著者の藤まるさんといえば、『明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (電撃文庫)』というライトノベルが有名で、それと同じように男女の会話や掛け合いにニヤニヤしてしまう青春ものとしても楽しめたんですけど。

しかし、青春小説としては重すぎるというか、切なすぎるよ。

でも誰かに読んでみてほしいというこの気持ち。どうすればいいんだあ!

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

コメント

コメント一覧 (6件)

  • hitomiでーす!
    これも興味あります、、
    感動もの、じゃなくて重くて苦しい?!
    私たえられるかな、、(笑)
    でも、読む価値はすごくありそうです。

    • あー興味あったらもう読まなくてはなりませんねー笑
      そう、感動というより重くて胸の痛くなる物語でした。
      私には苦しかった……。
      でもhitomiさんならこういうの好きな気がします……!

  • 読んでしまった…..読んでしまいましたよ

    なるほど、何言ってもネタバレになりそうなので沈黙ですが なんか心の奥を擦りむいたような、切ないを少し通り越してるような

    でもそこにできたかさぶたは剥がさないでほしいような そんな読後感でした

    このサイトを見てると読まなければいけない作品が多すぎて、時間とお金が足りませんww

    • ああ!読んでくださったのですね。ありがとうございます。
      心の奥を擦りむいた、とはうまい表現ですね。まさにそんな感じの読後感です。ただの切ないとはちょっと違うんですよねえ。

      褒め言葉として受け取らせていただきます!笑
      ありがとうございます。
      私も時間とお金が足りないので、道連れです(´∀`*)

  • この作品読みました!
    最後で出てきた横断歩道の女の子は誰なんでしょう…時間止める演出があったから、もう一度ヒロインが会いにきたんですよね?

    • 読まれましたか!!。
      いいですよねこの作品。
      いやー、多分そうなんでしょうね。というかそうであってほしい。そういうことにしておきましょう。
      私も気になってたんです。

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