伊坂幸太郎『首折り男のための協奏曲』が文庫化!伊坂ワールド全開の名作短編集です

伊坂幸太郎さんの『首折り男のための協奏曲』の文庫版が2016/11/28に発売されたよ!ってことで、今回はそのあらすじや感想のご紹介を。

伊坂さんも私の大好きな作家さんの一人でして、伊坂さんの作品はほぼ全部読んでしまっているわけですが、この『首折り男のための協奏曲』は伊坂さん好きなら間違いなくオススメできる作品となっております。

もちろん伊坂作品を読んだことがないという方にも読んでいただきたいですね〜。

私はもう単行本で一回読ませていただいているんですけどね、改めて今回の文庫本を読んでも「やっぱり面白いなあ」って思いましたもん。

まだ読んでないよ!という方はぜひ参考にしていただければと思います(* >ω<)=3

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伊坂幸太郎『首折り男のための協奏曲』

今作は

1.「首折り男の周辺」
2.「濡れ衣の話」
3.「僕の船」
4.「人間らしく」
5.「月曜日から逃げろ」
6.「相談役の話」
7.「合コンの話」

の7編からなる短編集です。

今回はその中から3つのお話を少しだけご紹介させていただきましょう(●ノ´з`)ノ

1.『首折り男の周辺』

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ある日、若林絵美がテレビを見ていると、世間を騒がせている「首折り事件」の犯人と思われる人物像が報道されていた。

その特徴を見るや否や、この犯人は隣に住んでいる人ではないか?と疑い始める夫人。

夫である順一も確認してみるが、確かに見た目の特徴がよく似ている。しかし、だからといって犯人だとすぐ決めつけるのは良くない。

あまり首を突っ込まない方が良い、と思う順一に対し、絵美の方は興味津々で・・・。


というようにこの物語は、様々な人が首を折られて殺されるという事件が世間を騒がせている中、

1「隣のアパートに住む人物を犯人ではないかと疑う夫婦」
2「よく人違いされる男」
3「学校でいじめられている少年」

という3人の人物の視点で話が進められていきます。

まさに、これぞ伊坂さん!という感じの短編。それぞれの人物のお話が少しづつ絡み合っていって最後に・・・っていうパターンのやつです。たまりませんなあ。

本当に「短編なのが悲しい」「もっと読ませてくれ!」と思わせるほどの面白さで、出来るなら長編を読みたいですね。

ちなみにこの短編『首折り男の周辺』は、『Story Seller (新潮文庫)』というアンソロジーに収録されていたものになります。

3.『僕の船』

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この物語は、七十手前の年となった若林絵美が「思い出の男を調べて欲しい」と黒澤に依頼したことから始まります。

まだ若い頃、当時不慣れな銀座に出向いた時に出会った男。

その男は二人組の男に絡まれていて、絵美はその男が目の前で殴られたのを目撃してつい助ける形になってしまって。そのまま二人でおしゃべりをして。

50年以上たった今でもその時のことを覚えている。もし、今の夫ではなくその人と結婚していたらどんな人生を歩んでいたか、なんて。

そんなわけで、その銀座で出会った男が今どういているかを黒澤に依頼したわけですが。


このお話は2011年の『小説新潮』に掲載された作品になります。

私の感想を一言で言えば「この話めっちゃ好き」です。

あと若林絵美と黒澤の会話も大好きで。

「黒澤さん、馬鹿にしているんでしょ」若林絵美が笑う。「たった八時間の思い出を、五十年経っても大事にしているなんて」

いや。黒澤はすぐにかぶりを振った。「昔見た、カール・ルイスの百メートル走は、ほとんど十秒くらいだったが、今でもよく記憶している。思い出は別に、時間とは関係がない」

『首折り男のための協奏曲』収録「僕の船」P.160より引用

こういう言葉を何気ない会話の中でをサラッと言っちゃう黒澤のカッコよさ。というか、このお話に限らず伊坂さんの作品は登場人物たちの「会話」が本当に好き。

物語の内容についてはコレ以上は言えません。ぜひ読んでみてください。

7.『合コンの話』

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一人の男が合コンに参加し、様々な出会いがあり、普通に会話をする。けれど人生は変わらず、世界も変わらない。

そんなごく普通の「合コン」を題材にして伊坂さんが物語を書くとこんなに面白くなるんです、という作品。

私の感想を一言で言えば「この話めっちゃ好き」です(さっきと一緒)。

もうなんでこんなに面白く書けるんですかねえ、と。

登場人物たちの年齢は二十七歳くらいなんですけど、これは青春小説として楽しめました。少し特殊なストーリー構成もラストの展開も大好きすぎます。

伊坂さんの青春小説はホントに面白くて、名作『砂漠 (新潮文庫)』を読んでない方はぜひともお手に取ってみてくださいな。

ちなみに、この『合コンの話』はアンソロジー『Story Seller〈2〉 (新潮文庫)』に収録されていた作品になります。

つまり、伊坂ワールドが存分に詰まった短編集!

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というようにこの『首折り男のための協奏曲』は、他の雑誌や作品に掲載されていた伊坂さんの作品を集めた短編集となっており、伊坂ワールドを存分にお楽しみいただける素晴らしい作品となっていおります。

特徴としては「それぞれの短編の世界観が微妙に繋がっている」ということが挙げられるでしょう。

各物語に「首折りの男」が少し登場したり、「時空のねじれ」の話題が出てきたり、神も仏もいやしなかったり。と、伊坂さんらしいちょっとしたリンクが楽しめるのが良いですね。

しかし物語の繋がりはなくそれぞれが独立したお話なので、単独で読んでも問題なく楽しんでいただける作品であることには間違いございません。

ぜひぜひ、伊坂ワールドを思う存分にご堪能くださいませ(*つ▽`)っ

今回はここまで

というわけで、今回は伊坂幸太郎さんの『首折り男のための協奏曲』をご紹介させていただきました。

もしあなたが伊坂さんの他の作品を読んでいて、「伊坂さんの作品面白いよね!」と思っていただけているなら間違いなくオススメできる短編集となっております。この文庫化の機会にぜひお読みくださいませ。

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それでは良い読書ライフを!(* >ω<)=3

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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