さて、待ちに待った国名シリーズ第9弾『インド倶楽部の謎』です。
2005年の『モロッコ水晶の謎』以来ですからね、実に13年ぶりです。
やっと読めるー!うれしー!
正直どっちかって言ったら学生アリスの方が好きなんですが、作家アリスだって大好きなわけで、そりゃ興奮しますよ。
また火村と有栖のやりとりが楽しめるというだけでなんだか涙が……。
有栖川有栖『インド倶楽部の謎』
神戸の街で一代で財を成した間原郷太。地元ではその名字を取ってマハラジャと呼ばれていた。
ある日、彼の邸宅で定例の食事会が行われた。気心の知れた7人のいつもの食事会。
ところがその晩だけはいつもと違う趣向を凝らした演出が施された。
インドに伝わる「アガスティアの葉」を使って自分の前世や未来、寿命を予知してもらった3人。
その数日後、イベントに参加したメンバーが死体となって発見される。
その死は「アガスティアの葉」によって予言されていた……?!
連続事件の中、捜査に協力することになった火村と有栖。
インドとの関係は?
食事会に参加した7人の関係とは?
そしてなぜ二人は謎を解くことができたのか?
神戸の街で、二人はカレーを食べるのか!?
死は予知されていた……!
というわけで今回は、前世で結ばれていたという奇妙な仲間たちの間で起こる殺人事件。
見どころはたくさんあります。まずはそのストーリー展開。
ガガっと進んだかと思うと、うーーーん、と停滞させて、またガガガっと進んだかと思うとうううーーーーんと停滞する、というそのテンポがとても絶妙で、長いんですけど読み飽きさせないんですよね。
相変わらず有栖川さんの作品はテンポが良くって読みやすい。
実は途中で、あ!犯人わかっちゃったもんね!っていうところがあったんですが、見事に外れてまして。
作品中でも自分と同じように引っかかる人たちがいて、そのあたりの読者の誘導っぷり、はぐらかしっぷりもほんと巧みです。みなさんも騙されてみて下さい。
それに加え今回はホワイダニット(動機)が今までにないタイプで良かったなあ。
あとは、やっぱりコンビの雰囲気と掛け合いですかね。
事件とか正直どうでもよくって、この2人のやりとりさえ読めればそれでいい的なところあります。
なんというかこの、えーかげんな感じで、それでいて知的な雰囲気がカッコよくて、場がなごむ感じ。
ただ飲食シーンでも絵になるんですよねえ。
やっぱこの二人大好きだ
人が殺されている割には全然湿っぽくないところが読みやすいし、ところどころ大阪風なテキトウ感のあるトークが挟まれるので楽しいです。コンビ二人のギャグも好きです。
こんな友達が欲しいなあ、と毎回思わされますね。
いろんなエピソードも盛り込まれますが、どれもそんなに深刻そうに思えないのはやっぱり有栖川さんの作風と舞台が関西だからでしょうか。
うーん、でもこないだ舞台が京都の作品読んだけど、あー、やっぱり人間って深いよなあ……と思ったなあ。てことは舞台は関係なくて作風か。
というわけで、新喜劇風とはいきませんが、カラッと読みたい方には最適なのではと思います。
国名シリーズはやっぱり面白いよね
「ああ、読み終わってしまった……」というのが正直な感想。
もっとゆっくり丁寧に読めばよかったんですが、先が気になって自然とページが進んじゃうし、読みやすいし、あっという間でした。
国名シリーズを最初から再読したくなりました。
また、かなりファン向けに書かれている印象も受けましたね。
有栖が火村の関わった事件にタイトルをつけている、というくだりなんてニヤニヤするに決まっているでしょう。
シリーズで読み進めていくと、おっ出ました!待ってました!みたいな感じで楽しめると思います。
今回は『インド倶楽部の謎』でしたが、他にも国名シリーズはたくさんありますので、ぜひお手に取って読んでいただきたいと思います。
結構長いので、旅行のお供なんかにもいいかもしれないですね。電車に揺られながら、お弁当食べながら読んだりするのが最高かも。
いやー続きが気になるわーって、観光そっちのけで読書する羽目になっても責任持てませんが。
そうそう、旅行と言えば、これ読むとぜったい旅行したくなりますよ。
とりあえず神戸に行きたくなります。
描写がステキすぎて雰囲気が伝わってくるからですかね。
ちなみに、いやーここ気になるわー行きたいわー、っていう場所があったんですが、あとがき見てみたら、その場所だけ架空の場所でした(ノω`*)
とりあえず、カレーでも食べながら国名シリーズ再読していきますかねえ。

コメント
コメント一覧 (6件)
有栖川様ぁぁぁあああ!
僕もずっと学生アリスの方が好きでしたが、「スイス時計」でミステリとして、「マレー鉄道」で二人の関係性としてはまってしまいました。
今月は青崎氏の文庫版「図書館の殺人」も発売でしたね。
有栖川氏と並んで和製エラリー・クイーンの名をほしいままにする腕っ節にぞっこんです。
エラリー・クイーン、何たる遺産を残したものか・・・。
いやあわかります、学生アリスの方が好きなんですけど、スイス時計を読んでしまうともう虜になってしまいますよね。
二人の関係性の抜群ですし。
そうそう、文庫版「図書館の殺人」もそろそろ記事にしようと思っております。
青崎氏もほんと面白い作品を書かれるのでね、大好きなんですわ。
クイーン、素晴らし。
インド倶楽部ですなぁ。何回国名シリーズの新作を読みたいと思ったことか。素晴らしき物語に触れることができて嬉しいですね。アリスと火村も仲が良いようで、絶妙におかしげな雰囲気を楽しませてもらいました。ああ、どっか旅行に行こうかしら。
インド倶楽部ですなあ。
ほんと今回刊行されたことが嬉しくて。読めるだけで感謝感謝です。
アリスと火村も仲も相変わらずで、読んでいるだけで楽しかった。
ほんと旅行いきたくなりますよねー。旅行のお供に国名シリーズを持って行けば最高ですな(*´∀`*)
待望の国名シリーズ新刊です!しかも馴染みのある神戸とあり、本屋で目にした時は「こ、これは…!私のための新刊だ!(はい、完全に自意識過剰です笑)」と即買いしました。
が、折悪しく職場の試験があり、買ったもののずっと本棚に置いて読むのを我慢していて、ようやく読み終えました。
今回も2人の掛け合いがよく、テンポよく読めました!動機にはかなり驚きましたが、本格ミステリの部分はしっかりあり、私は楽しく読めました。特に今回は馴染みのある場所が舞台ということもあり、「ここ知ってる!」という場所がたくさんあり、私も火村やアリスと一緒に回っている感覚になりました。これから行楽シーズンになるので、本を片手に舞台になったところをウロウロしに行ってみようかなーと思います(o^^o)
さくらっころんさんこんばんは!
いやあ、新刊ですねえ。よかったですねえ。
私も動機には驚きましたが、ちゃんと本格ミステリしていてやっぱり国名シリーズ好きだなあと思わされた次第です。
このコンビ最高ですよね。
羨ましい!さくらっころんさんのように神戸がお馴染みの場所だったらまた違った楽しさがあるんでしょうねえ。私も「ここ知ってる!」みたいにやりたかったです笑
今度、本当に本を片手に聖地を回ってみたいな……(*´∀`*)