待ちに待った浦賀和宏さんの新作『ifの悲劇』が先日25日に発売となりました。
帯にも書いてある通り、今作は「パラレルワールドミステリ」となっております。
つまり、もしあの時「〈A〉の選択をしていた場合のストーリー」と、「〈B〉の選択をしていた場合のストーリー」が交互に展開されていくわけです。
はたして、この二つのストーリーがどうなっていくのか、ってことなんですが、すごかった。かなり面白かった。
関連記事
『ifの悲劇』のあらすじ
主人公の加納は、妹の彩を亡くしたことに大変ショックを受けていました。
彩は、恋人である奥津にひどいことを言いふらされ、会社の屋上から飛び降りたとされています。
しかもその奥津は、彩の死亡後すぐに別の女性と婚約。彩が死んだのは奥津のせいだ。
復讐を誓った加納は、奥津殺しの計画立て、実行する。
と、ここまでは同じ。まだストーリーは分離しておりません。
ここからルートは
A.犯行直後に目撃者を殺した場合
B.犯行直後に目撃者を殺さなかった場合
の二手に分かれます。
A.犯行直後に目撃者を殺した場合
計画通り奥津を殺害した加納が車を走らせていると、油断していたのか夜道で男性を轢き殺してしまいます。
完璧な計画だったのに最後の最後になんてことを!と焦った加納は、この死体も処分することを決意。車に乗せて運び去ります。
その二日後、警察が加納の元にやってきて「奥津さんが殺されたんですけど何か知りません?」と事情聴取をはじました。
妹が死んだことで奥津を恨んでいる、ということを知っていた警察が加納を疑うことに無理はありません。
しかしそんなこともあろうかと、アリバイを作っていた加納は冷静に対応。その場を切り抜けます。
が、まさかの展開。
帰り際に警察が「この人物に見覚えがありせんか?」と見せてきた写真に写っていたのは、なんとあのとき轢き殺してしまった男の顔でした。
しかもこの男は妹の彩と交際していたと言うのです。
一瞬は動揺しますが、これは好都合かもしれない。
奥津殺しの犯人をこの男になすりつけてしまえばいい。どうせこいつはすでにこの世にいない。警察はこいつが奥津を殺した後に失踪したと考えるだろう。これで自分が逮捕される可能性もぐっと少なくなる……。
というのがパターンA〈犯行直後に目撃者を殺した場合〉です。
B.犯行直後に目撃者を殺さなかった場合
さて、パターン〈B〉です。
パターン〈A〉と同じく、計画通り奥津を殺害して車を走らせていると、車の前に男の人影が。
加納は急ブレーキをかけギリギリのところで踏みとどまり、男を轢き殺さなくてすみました。
危うく計画が台無しになるところだった、と安心した加納ですが、ここでこの男にバッチリ顔を覚えられてしまいます。
そして後日、あのとき轢き殺しそうになった男が加納の前に現れます。
なんとその男は「加納が奥津を殺した」と確信しているようです。
そうだとしたら、この男も殺さなくてはならない……。
というのがパターンB〈犯行直後に目撃者を殺さなかった場合〉です。
この二つのストーリーが交互に展開されていきます。もう面白いです。
騙されるに決まってる。
この時点でワクワクが止まらないですが、もちろんただストーリーが分離するだけじゃないんです。
ストーリが分離するということ自体がある意味……っと、あまり多くは言えませんね。
とりあえず言えるのは「見事なトリックだった」という事でしょう。
久々に気持ちよく騙されました。帯に「絶対にだまされる!」なんて書いてありますけど偽りなし。
ただ234ページくらいの比較的短い作品なのですが、しっかり読んでいないと真相が明らかになるシーンで混乱してしまい、衝撃が半減してしまう可能性があります。できるなら一気読みしてしまうのがベスト。実際、一気読みしてしまうくらい引き込まれるので大丈夫かと思いますが。
私はしっかり読んでいたんですけど、最後の展開に「え?どういうこと!?」ってなりました。それだけ予想外の展開だった、ということです。
なんていうのでしょう。あまりにいろんな要素が絡み合ってきてパニックになっちゃうんですよね。これが超楽しい。
さいごに丁寧に真相が語られていくのですが、あまりの騙され具合に笑っちゃいました。完全にミスリードされていたなあ!笑
兄妹の愛情とか同性愛とか、浦賀さんらしさもバッチリ組み込まれていて、それがまた良いアクセントになって。うーん、さすが浦賀作品。
おわりに
とりあえず「面白いミステリー小説が読みたい」「騙されるのが好き」という方にはオススメです。
で、浦賀作品を結構読んでいる方にはおなじみの〈ある人物〉が登場します。お楽しみに。
もちろん浦賀作品を読んだことがない、という方も問題なく楽しめる作品となっております。ぜひこの機会に浦賀作品をお手にとって見ていただけたらと思います(*´ω`)ノ

コメント
コメント一覧 (6件)
こんにちは☆
昨日ちょうど『眠りの牢獄』を再読していたところで、なんとタイムリーなんだ!と興奮してブログを読ませていただきました(^^)
これから本屋さんに行って、早速騙されようと思います!
浦賀さんの作品は、まさかそこからすでにミスリードなの!?というように初っ端から大いに騙してくれるので、大好きです。あの人物の登場も楽しみです☆
おおーそれはすごいタイミングですね!笑
私も浦賀さんの「え!?」って言わせてくれる騙しが大好きなんです。ぜひ読んでみてくださいな〜☆
なんか眠りの牢獄読みたくなってきました。。
どうもです!
いや、パラレルワールドとか、ifとかヤバいですよね。心が躍る躍る!!狂います。
これ、あの、銀次郎さんが出てくるみたいに聞いたやつかしら?
浦賀さんにはいつも引っ掛かるし(笑)騙されるし。
もちろん買います!
個人的には、浦賀さん、一時期ちょっとどうしたのかな、、って思うような感じがあったけど(⬅失礼)
持ち直して下さったようで安心です(笑)
どうもです!( ゚∀゚ )
本当にタイトルや設定からして間違いないですよね。即買いですもん笑。
〈銀次郎さんが出てくるみたいに聞いたやつかしら?〉ふっふっふ。それは読んでからのお楽しみですよ。。
いや、その気持ちわかります笑。でも最近は自分好みのばかりなので本当にありがたいですね〜!これからも楽しみです。
先日別の本を読み終えたところなのに、こちらが気になりすぎて気になりすぎて…
いてもたってもいられず、初めて慣れない電子書籍で購入、またも一気読みしてしまいました(笑)!
いや~、面白かった!
スゴく好きな衝撃です(*´ω`*)
まだまだ読めていない本が溜まっているというのに、こちらの紹介が上手すぎて後回しにしちゃったじゃないですか( ̄^ ̄)笑!
けど気になる本はそのタイミングでささっと読んじゃった方がより楽しめるんだなぁと改めて気付けました。
いつも面白い本と出会わせて頂いて感謝です。
pomさん!おー読んでいただいたんですか!
他の本より先に読んでいただいてありがとうございます笑
この衝撃は私もかなり好きなやつです。いいですよねー浦賀さん。
そうですね!やっぱり本は「読みたい」って思った時が一番の読みどきですね!本当にそうだと思います。
いえいえ、こちらこそいつも見ていただきありがとうございます。本当に嬉しいです(ノω`*)