スチュアート・タートンのデビュー作にして、イギリスのミステリ好き・SF好きをうならせ、数々の賞の最終候補に残り、コスタ賞最優秀新人賞を受賞した話題作、『イヴリン嬢は七回殺される』。
ただのミステリじゃない、読み応えもある、そして怒涛の展開と真犯人がわかったかと思いきや・・・というジェットコースターのような作品に翻弄される人が多数!となっています。
今回はこの一風変わったミステリ作品をご紹介していきます!!
スチュアート・タートン『イヴリン嬢は七回殺される』のあらすじ
森の中に建つ屋敷であるブラックヒース館では、ハードカースル家に招かれた多くの客が滞在。夜に行われる怪しくも美しい仮面舞踏会に参加していた。
その館に登場したのがこの作品の主人公なのだが・・・なんとこの主人公、すべての記憶がないのだ。
過去の記憶だけではなく、もはや自分が誰なのかも分からない始末。そのため、なぜここにいるのかもわからない。
しかし、その舞踏会の途中ひょんなことから意識を失ってしまった主人公。
目が覚めると、そこは仮面舞踏会があった同じ日の朝に巻き戻った世界!
そしてさらに信じられないことに、自分の意識が別の人間に宿っており、人格転移が行われていたのだ。
とまどう主人公に近づく怪しい仮面をかぶった人物。そしてその人物が主人公にささやく。
「今夜、令嬢イヴリンが殺される。その謎を解き、事件を解決しないかぎり、おまえはこの日を延々とくりかえすことになる。」
永遠と繰り返す同じ日から逃げ出すには、真犯人を捕まえ謎を解くことが条件なのだが、この屋敷にはとにかく怪しい登場人物が目白押し。
しかも、一度気を失うとまた違う人格に転移しているのだからより一層混乱を招く!
しかも捜査をしているうちにわかったことが。それは「主人公のほかにも人格転移しながら犯人を追っている人がいる」という事実だった・・・。
たくさんの登場人物と真相に近づいたと思ったら離れていくもどかしさを是非味わいたいストーリー内容です。
スチュアート・タートン『イヴリン嬢は七回殺される』の口コミ【読者の感想】
ではここで、この本を実際に読んだ読者の感想をご紹介いたします。
『犯人がわかって、やれやれと思ったら、まだ終わってなくて、
緩んだ気持ちをもう一度引き締められたような気持ちです。
タイムリープしているこの人は、一体誰なんだというミステリーとSFをミックスさせたような展開が、とても斬新に感じました』
『まずは非常に大変な小説です。時系列が結構前後する上に登場人物が結構多いです。
ストーリーや動機を自分で組み立て、計画して読み進める方にはとても面白くて
タイムマシンに乗りながら推理しているような感覚になると同時に、物語の解決部分のスピード感はとても爽快です』
『展開が楽しみな小説でした。冒頭から主人公は記憶喪失で自分が何者か分からない、
人里離れた邸宅は電話も通じない、さらに冷たく、陰気な雨…さらに傍目は善良な人々。
何か起こらないわけがない。文章も読みやすく、ぐいぐい読み進めてしまいました』
『一度、紙に書いて整理したくなるような小説。
でもそれはけなしているわけではなくて、誉め言葉である。
デビュー作にしてここまで緻密にストーリーを組み立てた著者に驚きしかない。
読み終わった後の疲労感が気持ちよくてたまらない作品だった』
どの口コミも「斬新」「新鮮」「爽快」と読後感を褒める内容ばかりでした!
混乱と感動の先に見えてくる最高傑作!
このストーリーの秀逸さは、多くを語らなくてもわかります。
なぜならこの緻密さ。口コミでもありましたが、タイムリープと人格転移が組み合わさっているので、登場人物もかなり多く、頭の中を整理しないとゴールにたどり着けません。
新人のミステリ作家がこれを書いたことが素晴らしすぎます。技巧が他の追随を許しません。
しかも、かなりミスリードがうまく、解決したと思ったらとんでもないどんでん返しが待っています。
私もそうでしたがものの見事に騙されてしまうのです。騙されたことすらのちのすっきり感につながるので楽しくなってしまいます。
このミステリ小説は、ただのミステリ小説ではありませんし、ミステリ小説というカテゴライズに収めるのは大変もったいない作品です。
SF作品としても素晴らしく、一見突飛な設定に思えるのですが、それを感じさせずすとんと落ちていくところに快感すら覚えます。
イギリスならではの正当なミステリ小説要素に、SFとぶっ飛び要素をうまく掛け合わせた衝撃の作品に仕上がっているので、ミステリが苦手な人でも、SF好きな人ならだれでも楽しめる作品だと思います。
一度読み終わった後にもう一度頭を整理して読み直すもよし、一旦休憩してから再度挑戦するもよし。
この作品の良さは一度読んだだけではすべて語りつくすことが出来ません。
個性豊かな仮面舞踏会のキャラクターたちと主人公の男性に振り回されながら、自分もそのパーティーに参加している気分で、目まぐるしいストーリーに没頭してみてはいかがでしょうか。
また、今後のスチュワート・タートンの作品に期待して待っていましょう。
一度是非、謎が謎を呼ぶ不思議な館に足を運んでみてください。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは。いつも楽しく読ませていただいております。海外の方のはあまり読んだことがないのですが、面白そうですね。
なんとなく西澤保彦さんの「七回死んだ男」を想起する内容ですね。あの作品も面白かったので気になりました。
ハルさんこんにちは!
嬉しいコメントをありがとうございます(*´꒳`*)
そうですそうです’、私もタイトルからして「七回死んだ男」に似てるな〜と思ってました笑
ぜひぜひ気になっちゃってください!