【2021】本格ミステリ大賞のおすすめ作品を紹介していくよ

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本格ミステリ大賞とは、本格ミステリ作家クラブが主催する推理小説のための愛に溢れた賞。

「小説部門」「評論・研究部門」とあるんですけど、今回は「小説部門」のほうです。

まあ、本格ミステリ大賞に選ばれているというだけあってどれも面白いのですが、全部オススメしてたらキリがないので「その中で特にオススメ!」という作品を選びました。

ちょっと長いですけど、のんびり見てやってくださいな(ノω`*)

目次

第20回(2020年)

☆受賞

相沢沙呼『medium 霊媒探偵 城塚翡翠

☆候補

浅倉秋成『教室が、ひとりになるまで

柄刀一 『或るエジプト十字架の謎

阿津川辰海 『紅蓮館の殺人

安萬純一『滅びの掟 密室忍法帖

第19回(2019年)

☆受賞

伊吹亜門『刀と傘

☆候補

岡崎琢磨 『夏を取り戻す

霞流一『パズラクション

大山誠一郎『アリバイ崩し承ります

三津田信三『碆霊の如き祀るもの

第18回(2018年)

☆受賞

今村昌弘『屍人荘の殺人

☆候補

古処誠二 『いくさの底

相沢沙呼『マツリカ・マトリョシカ

似鳥鶏『彼女の色に届くまで

貴志祐介『ミステリークロック

第17回(2017年)

☆受賞

竹本健治『涙香迷宮

☆候補

井上真偽『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)
西澤保彦『悪魔を憐れむ (幻冬舎単行本)
早坂吝『誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)
白井智之『おやすみ人面瘡 (角川書店単行本)


受賞作は、竹本健治(たけもと けんじ)さんの『涙香迷宮』!案の定です。

おすすめ47『涙香迷宮』

2017年(国内)このミステリーがすごい!で一位となった、暗号ミステリの最高峰。

天才囲碁棋士の牧場智久が、黒岩涙香(くろいわるいこう)の残した「いろは歌」暗号に挑戦する「牧場智久シリーズ」の一つです。

この「いろは歌」暗号がすごいんです。物語より暗号が主役です。私のような凡人じゃあ説明されてもよくわからないくらいすごい。でも面白い。そりゃ一位になりますわ。

候補作では白井智之(しらい ともゆき)さんの『おやすみ人面瘡』が好き。

おすすめ46『おやすみ人面瘡』

身体中に人の顔の形をしたコブが発症する病気『人瘤病(じんりゅうびょう)』が蔓延した日本、という特殊な舞台でのミステリです。

世界観とか物語そのものが面白くてグイグイ読まされてしまうのに、ちゃんとミステリとしても楽しめる良い作品。

「人瘤病」の設定が深く細かく練られており、その設定でしかできない唯一無二のトリックが味わえます。

2017年このミステリーがすごい!の8位。

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他には西澤保彦さんの『悪魔を憐れむ』が。匠千暁(タック&タカチ)シリーズですね。

とても面白いですが、やはりこのシリーズは順番に読まねばなりませんので、以下の記事を参考に。

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あと井上真偽さんの『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』は、第16回(2016年)で候補となった『その可能性はすでに考えた』の続編。

早坂吝さんの『誰も僕を裁けない』は、『○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)』でおなじみの「上木らいちシリーズ」。まずは『○○○○○○○○殺人事件』をどうぞ。

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第16回(2016年)

☆受賞

死と砂時計 (創元推理文庫)』 鳥飼否宇

☆候補

深水黎一郎『ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)
井上真偽『その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)
平石貴樹『松谷警部と三ノ輪の鏡 (創元推理文庫)
大山誠一郎『赤い博物館

 

受賞作は鳥飼否宇(とりかい ひう)さんの『死と砂時計』。

世界各国から集められた死刑囚を収容する〈ジャリーミスタン終末監獄〉という監獄を舞台にした連作短編ミステリです。

おすすめ45『死と砂時計』

純粋に面白いですね。連作短編集ならではの楽しさがあります。

・数時間後に死刑になる二人をなぜわざわざ殺す必要があったのか?
・なぜ脱獄がしにくそうな日を選んで脱獄したのか?
・なぜ死体をバラバラにしたのか。
・男性が絶対に入れない女囚居住区で、なぜ女性囚人が妊娠したのか?

などなど、魅力的なホワイダニットが満載!そしてあのオチ!うひゃー最高です。

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候補作では、深水黎一郎(ふかみ れいいちろう)さんの『ミステリー・アリーナ』、井上真偽(いのうえ まぎ)さんの『その可能性はすでに考えた』がおすすめ。

おすすめ44『ミステリー・アリーナ』

クイズ番組「ミステリー・アリーナ」に参加したミステリマニアたちが繰り広げる推理合戦。

一つの事件に対して、複数の探偵役がそれぞれ異なった推理や犯人を示すという〈多重解決ミステリー〉です。

でも普通じゃない。ミステリ好きな人だからこそ楽しめる、特殊な面白さを味わえる作品です。

2016年(国内)このミステリーがすごい!の第6位。

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おすすめ43『その可能性はすでに考えた』

これもかなり特殊なミステリです。

探偵が〈奇跡〉を求めて、「全てのトリックが不可能であることを立証する」という話。面白いですよね。

普通のミステリ小説は、不可能犯罪が起きたら「どうやって犯罪を行ったのか」と、そのトリックを考えるじゃないですか。

でもこの作品の場合は、あらゆるトリックを否定して(可能性を潰して)いって、この事件は〈奇跡〉だ!ってことを証明していくんです。

ライトノベルのような雰囲気だけど、やっていることは本格。こういうタイプのものも楽しいですよ。

関連:【推理合戦】おすすめの「多重解決」ミステリー小説20選

第15回(2015年)

☆受賞

麻耶雄嵩『さよなら神様

☆候補

山本弘『僕の光輝く世界 (講談社文庫)
霞流一『フライプレイ!: 監棺館殺人事件 (ミステリー・リーグ)
岡田秀文『黒龍荘の惨劇 名探偵月輪シリーズ (光文社文庫)
鯨統一郎『冷たい太陽 (光文社文庫)

 

受賞作は麻耶雄嵩(まや ゆたか)さんの『さよなら神様』。

おすすめ42『さよなら神様』

世の中のことは全てお見通しだ、と言う自称「神様」の鈴木を主軸においたミステリー。さすが摩耶さん!という感じでクセが強いですが、めちゃくちゃ面白いですよ。

前作『神様ゲーム』の続編なので、未読であればまず『神様ゲーム』からどうぞ。

神様ゲーム (講談社文庫)

おすすめ41『僕の光輝く世界』

サクッと読めるけどよく練られていて、世界観も素敵なミステリー。

失明してしまった主人公が「アントン症候群」という珍しい症例にかかる。

「アントン症候群」とは、目が見えないのに、視覚以外の感覚を駆使して本人にはまるで目が見えているかのように感じられる、という障害。

そんな主人公の少年が探偵役となり、失明していながらも事件を解決し、恋をする。

青春ミステリーの名作でしょう。

僕の光輝く世界 (講談社文庫)

おすすめ40『黒龍荘の惨劇』

月輪龍太郎シリーズの二作目。大邸宅・黒龍荘で、わらべ唄になぞらえられた連続殺人発生!っていうツボな作品です。

明治時代が舞台の古き良き香りが漂う本格モノであり、首なし、密室、見立てとミステリ要素も申し分なく、物語の構築でも魅せてくれるニクイやつ。

序盤からバンバン人が死んでいって、もう終わりが近づいているのに殺人が止まらない!残りのページで本当に全部解決できるの?!ってヒヤヒヤします。好き。

シリーズ一作目の『伊藤博文邸の怪事件 (光文社文庫)』も面白いので、続けてどうぞ。順番に読むのがベストです。

黒龍荘の惨劇 名探偵月輪シリーズ (光文社文庫)

おすすめ39『冷たい太陽』

邪馬台国はどこですか?』などでおなじみの鯨統一郎(くじら とういちろう)さんの誘拐モノ。

賛否が別れがちですけど、「無理矢理でもいいから、とにかく騙されたい!」という方は読んでみてください。広い心で読みましょう。

第14回(2014年)

☆受賞

森川智喜『スノーホワイト (講談社文庫) 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』

☆候補

青崎有吾『水族館の殺人 (創元推理文庫)
深木章子『螺旋の底 (講談社文庫)
長岡弘樹『教場 (小学館文庫)
法月綸太郎『ノックス・マシン (角川文庫)


受賞作は森川智喜(もりかわ ともき)さんの『スノーホワイト』。

おすすめ38『スノーホワイト』

童話「白雪姫」をモチーフに、「なんでも教えてくれる鏡」という最強アイテムが登場する変化球ミステリ。

ミステリー小説に「なんでも教えてくれる鏡」を出したらダメじゃん!犯人もトリックもわかっちゃうじゃん!と思うかもしれませんが、読んでみるとなるほど。こうするのか。

王道という感じではないけど、このタイプのミステリも非常に面白いですよ。

 

候補作でのおすすめは、青崎有吾さんの『水族館の殺人』。

おすすめ37『水族館の殺人』

平成のエラリークイーンこと青崎有吾(あおさき ゆうご)さんによる〈裏染天馬シリーズ〉の二作目。

水族館を舞台に起きた殺人事件。なんと容疑者は11人!

この数の容疑者を論理的に減らしていき、真犯人にじわじわとたどり着いていく過程が素敵。

この『水族館の殺人』を読むなら、一作目『体育館の殺人 (創元推理文庫)』を先に読んでおきましょう。こちらも面白いので。

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第13回(2013年)

☆受賞

大山誠一郎『密室蒐集家 (文春文庫)

☆候補

芦辺拓『スチームオペラ (蒸気都市探偵譚) (創元推理文庫)
深木章子『衣更月家の一族 (講談社文庫)
天祢涼『葬式組曲 (双葉文庫)
長沢樹『夏服パースペクティヴ (角川文庫)


受賞作は大山誠一郎(おおやま せいいちろう)さんの『密室蒐集家』。

おすすめ36『密室蒐集家』

密室蒐集家と名のる探偵が、密室事件が起きるとサッとが現れてサッと謎を解いていく短編集。

密室トリックに「偶然」が多いので好みが分かれそうですが、それでこんな面白い密室ができれば良いんです。もっと見せてください。

事件の謎もそうですが、密室蒐集家という人物自体がかなり謎。こやつは何者だ。

 

候補作でおすすめなのは

・深木章子『衣更月家の一族』
・天祢涼『葬式組曲』
・長沢樹『夏服パースペクティヴ』

の3作品。

おすすめ35『衣更月家の一族』

全く関係のないような三つの事件がどうつながっていくの?!的な作品。トリッキーかつ巧みな構築がお見事。

深木さんはデビュー作『鬼畜の家 (講談社文庫)』も良かった(どちらかといえば『鬼畜』の方が好き)。というか『鬼畜の家』の方を読んでしい。『鬼畜の家』と『衣更月家の一族』を続けて読んだら深木さんにハマります。

おすすめ34『葬式組曲』

お葬式を舞台にした連作短編集。

一話一話ちゃんと面白くて、どんどん読んでいくと最後の章で「えーーー!」ってなる、連作短編集の持ち味をしっかり活かした作品です。このラスト好き。

これはもっと読まれるべきですよ。

おすすめ33『夏服パースペクティヴ』

長沢樹(ながさわいつき)さんの「樋口真由“消失”シリーズ」の二作目。青春小説とミステリの組み合わせ方が好き。

まずは一作目の『消失グラデーション (角川文庫)』を読んでみてください。それで面白いと思っていただけたなら続けて読んじゃいましょう。

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第12回(2012年)

☆受賞

城平京『虚構推理 (講談社文庫)
皆川博子『開かせていただき光栄です

☆候補

法月綸太郎『キングを探せ (講談社文庫)
麻耶雄嵩『メルカトルかく語りき (講談社文庫)
彩坂美月『夏の王国で目覚めない (ハヤカワ・ミステリワールド)


受賞作『虚構推理 (講談社文庫)』『開かせていただき光栄です』の二つはどちらもオススメ!

おすすめ32『虚構推理』

「鋼人七瀬」というアイドルの亡霊を主軸とした不思議な世界観でのミステリ。

元アイドルの七瀬かりんが工事現場で鉄骨の下敷きになって死亡。それからしばらくして、アイドルの衣装を身にまとい、巨大な鉄骨を持った亡霊が人を襲う、という噂が立ち始めます。

果たして、「鋼人七瀬」は一体何者なのか?

かなり特殊ですが面白いです。「こういうタイプのミステリもあるのか」という感じ。まさに「虚構推理」をするのです。

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おすすめ31『開かせていただき光栄です』

大好きなんですわ、皆川さんのこの世界観。

舞台となるのは18世紀のロンドン。解剖室から、さっきまでなかったはずの、四肢を切断された少年と顔を潰された男が発見される、という魅力的すぎる物語の始まり。

ミステリとしてはもちろん、18世紀ロンドンの雰囲気がすっごい素敵なんです。これが皆川博子さんの好きなところ。まるで海外小説を読んでいるようで。

ついミステリそっちのけで物語を楽しんでたら、終盤の二転三転の展開にアッと言わされるし。。

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そして候補作では『メルカトルかく語りき』がおすすめ。

おすすめ30『メルカトルかく語りき』

とにかく普通ではない「麻耶ワールド全開」な短編集。

メルカトル鮎シリーズの一つですが、短編集なのでいきなり読んでも十分に楽しめます。

麻耶さんの作品を読んだことがない方は一度読んでみてくださいな。「なんだこれ!」ってなります。

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あとは彩坂美月(あやさか みつき)さんの『夏の王国で目覚めない』も好き。

おすすめ29『夏の王国で目覚めない』

とても良い青春ライトミステリー。

ミステリ作家・三島加深のファンである高校生の美咲。

彼女は三島加深のファンサイトで〈ジョーカー〉と名乗る人物に誘われ、奇妙なミステリツアーに参加することになった。なんと劇中の謎を解けば、三島加深の未発表作がもらえるというのです。

集まったのは七人。しかしツアー中、一人、また一人と消えていき……。

寝台列車や別荘や密室での人間消失など、ミステリ好きの心をくすぐる要素が満載。ああ、こういうミステリツアーに参加してみたい。。

いかにもな本格っぽいですが、ミステリ小説というより「夏に読みたい読後感の良い小説」としてオススメです。こういうの好き。心地いい。

夏の王国で目覚めない (ハヤカワ・ミステリワールド)

 

第11回(2011年)

☆受賞

麻耶雄嵩『隻眼の少女 (文春文庫)

☆候補

米澤穂信『折れた竜骨 上 (創元推理文庫)
島田荘司『写楽 閉じた国の幻〈上〉 (新潮文庫)
東川篤哉『謎解きはディナーのあとで
芦辺拓『綺想宮殺人事件


受賞作は、麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女 (文春文庫)』。

おすすめ28『隻眼の少女』

おそらく万人受けしないでしょうね。だって摩耶さんさんだもの。

よくあるミステリ小説の「やられた!」ではない別タイプの「やられた!」が味わえます。人によって本を投げつけたくなるでしょう。

だがそれがいい!

 

そして候補作でのオススメは、米澤穂信さんの『折れた竜骨』。

おすすめ27『折れた竜骨』

魔法が存在するファンタジーの世界での本格ミステリ。ファンタジーとしてもミステリとしても名作です。

魔法がある世界で本格ミステリってどうやるの?と疑問に思う方、読んでみてください。なぜ名作と呼ばれているかがわかるはずです。

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第10回(2010年)

☆受賞

三津田信三『水魑の如き沈むもの (講談社文庫)
歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0 (講談社文庫)

☆候補

綾辻行人『Another (角川文庫)
深水黎一郎『花窗玻璃 シャガールの黙示 芸術探偵 (講談社ノベルス)
米澤穂信『追想五断章 (集英社文庫)


受賞作は三津田信三(みつだ しんぞう)さんの『水魑の如き沈むもの (講談社文庫)』。

でた!!また〈刀城言耶シリーズ〉かい!!長編五作目ですね。当然おすすめってことでまた割愛。

そして今回は受賞作がもう一本。

歌野晶午さんの『密室殺人ゲーム2.0 (講談社文庫)』です。

第8回(2008年)の候補作だった『密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)』の続編ですね。一作目を気に入っていただけたならぜひ読みましょう。

 

そして候補作です。

綾辻行人さんの『Another(上) (角川文庫)』です。

おすすめ26『Another』

きたー!ここで我らが綾辻さんのアナザーさんですね(?)。

呪われた3年3組に起こる奇妙な事件の数々を描いた学園ホラーミステリです。むしろかなりホラー寄りなんですけど、しっかりミステリとしても楽しめちゃう仕掛けが。

アニメ版も非常によかったです。

 

次に深水黎一郎(ふかみ れいいちろう)さんの『花窗玻璃 シャガールの黙示』。

おすすめ25『花窗玻璃 シャガールの黙示』 改題:『花窗玻璃 天使たちの殺意』

「芸術探偵シリーズ」というものの長編三作目。美術の世界を堪能できる本格ミステリの名作です。

美術に関しての蘊蓄と推理のマッチングが見事でして……!美しいんです。というか「巧い」んです。

こんなに面白いのになぜか知名度は低め。今作に限らず、芸術探偵シリーズはもっと読まれるべき作品だと思うんですけどねえ。

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第9回(2009年)

☆受賞

牧薩次『完全恋愛 (小学館文庫)

☆候補

連城三紀彦『造花の蜜〈上〉 (ハルキ文庫)
三津田信三『山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)
柄刀一『ペガサスと一角獣薬局 (光文社文庫)
芦辺拓『裁判員法廷 (文春文庫)


第9回(2009年)受賞作は牧薩次(つじ まさき)さんの『完全恋愛』。

おすすめ24『完全恋愛』

なぜか知名度が低い気がするけど、本格ミステリ大賞の中でもかなり面白いほう。

なんと言ってもタイトルが素晴らしい。読めば意味がわかります。どんでん返りました。

あとは候補作の『造花の蜜』。連城三紀彦(れんじょう みきひこ)さんの作品です。

おすすめ23『造花の蜜』

連城さんの面白さが堪能できる誘拐ミステリの名作。連城さん読みにくそう、って方も大丈夫。これは連城作品の中でもとても読みやすいです。

文庫で上下巻に分かれてますけど、上巻は300ページに満たないくらい。しかも上巻を読んだら絶対下巻も読みたくなる作品なんですから。止められないです。

もうラストはびっくり、というか「巧い!!!」って叫びたくなるような。やっぱすごいよ、連城さん。。

あとは候補作に三津田信三さんの〈刀城言耶シリーズ〉の三作目『山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)』があるので当然おすすめなのですが、〈刀城言耶シリーズ〉は先ほどご紹介したので今回は割愛。

第8回(2008年)

☆受賞

有栖川有栖『女王国の城 上 (創元推理文庫)

☆候補

三津田信三『首無の如き祟るもの (講談社文庫)
柄刀一『密室キングダム (光文社文庫)
米澤穂信『インシテミル (文春文庫)
歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)


第8回の受賞作は有栖川有栖さんの『女王国の城』です!きたー!(゚∀゚*)

おすすめ22『女王国の城』

『女王国の城』は〈学生アリスシリーズ〉の四作目。推理小説研究会(EMC)の部長「江神二郎」を探偵役、推理作家を目指す「有栖川有栖」を補佐役とした超人気シリーズです。

これまでの4作品すべてがクローズドサークルでの物語であり、しかも「読者への挑戦」まで挿入されているという、ミステリ好きならば悶え死んでしまうほどに素晴らしいシリーズなのです。

まさに正統派。面白いミステリー小説とはこういう作品のことをいうのです。

語りだしたらキリがないので、詳しくはこちらの記事を参考にしてください(ノω`*

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いやー納得の受賞作でした。。

と、思いきや。

なんと候補作が

・三津田信三『首無の如き祟るもの』
・柄刀一『密室キングダム』
・米澤穂信『インシテミル』
・歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

という名作揃い。やばいです。全部おすすめだ。なんなのこの年。

 

まず三津田信三さんの『首無の如き祟るもの』。

おすすめ21『首無の如き祟るもの』

ホラーとミステリが見事な融合を果たす〈刀城言耶シリーズ〉の三作目です。で、最高傑作です。

ミステリ小説がお好きなら、騙されたと思って読んでみてください。

本当はシリーズ一作目の『厭魅の如き憑くもの』から読んでいただくのがベストですが、いきなり三作目から読んでも十分に楽しめます。

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次に柄刀一さんの『密室キングダム』

おすすめ20『密室キングダム』

密室好きならば必読の書物。ひたすらに本格推理小説です。

文庫で1200ページ越えというボリュームですが、読みきった後は「読んでよかった!」と思っていただけるはず。

密室に溺れる、という感覚を味わってください。

おすすめ19『インシテミル』

米澤穂信(よねざわほのぶ)さんが描くクローズド・サークルでのデスゲーム。超高額の報酬につられて集められた12人の男女が、謎の建物で殺し合いをすることになります。

一見ただのデスゲームものですが、そこはさすがの米澤さん。きちんとミステリ仕立てになっており、ハラハラドキドキと共に驚愕を味わうことができます。

映画化もしたのですが、やはり原作の方が圧倒的におすすめ。

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おすすめ18『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

葉桜の季節に君を想うということ』で有名な歌野晶午(うたの しょうご)さんの名作。

ネットを通じた5人の参加者のうち1人が殺人を犯し、残りのメンバーがそのトリックを当てるという殺人ゲームを描いています。

犯人は最初から分かっているし、遊びでやっているので動機なんてものもなく、ハウダニット(どうやって殺したか)に集中して楽しめる設定がポイント。

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第7回(2007年)

☆受賞

道尾秀介『シャドウ (創元推理文庫)

☆候補

京極夏彦『邪魅の雫 (講談社文庫)
鳥飼否宇『樹霊 (創元推理文庫)
石持浅海『顔のない敵 (光文社文庫)
柄刀一『時を巡る肖像 (実業之日本社文庫)


第7回受賞作は道尾秀介さんの『シャドウ』。

おすすめ17『シャドウ』

道尾さんの作品は『向日葵の咲かない夏』しか読んでないなあ、という方。ぜひ他の道尾作品も読んでみてください。

『向日葵〜』はかなりの変化球なので、合わない人がいても当然なのですよ。

他の作品を読んだらきっと「ええ!道尾さん真面目に超面白いじゃん!」ってなりますから。

 

で、候補作でのおすすめは京極夏彦さんの『邪魅の雫』。

おすすめ16『邪魅の雫』

いやこれ、実は〈百鬼夜行シリーズ〉の第九弾なんですよ。

つまり『邪魅の雫』がオススメっていうか〈百鬼夜行シリーズ〉そのものがオススメなのです。ただ超大作ばかりなので覚悟が必要ですが……。

まずは第一弾の『姑獲鳥の夏』からじっくりと。。

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第6回(2006年)

☆受賞

東野圭吾『容疑者Xの献身 (文春文庫)

☆候補

島田荘司『摩天楼の怪人 (創元推理文庫)
石持浅海『扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
道尾秀介『向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
柄刀一『ゴーレムの檻(光文社文庫)


第6回の受賞作は、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』。

おすすめ15『容疑者Xの献身』

超納得。これは仕方がないですね。

映画も大ヒットしたので内容を知っている方も多いと思いますが、原作も絶対に読むんでおきましょう。

有名すぎて逆に読んでいない、とかも勿体ないです。

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そして候補作でのおすすめは、石持浅海(いしもち あさみ)さんの『扉は閉ざされたまま』と道尾秀介(みちお しゅうすけ)さんの『向日葵の咲かない夏』です。

おすすめ14『扉は閉ざされたまま』

これは〈碓氷優佳(うすいゆか)シリーズ〉の一作目。犯人の視点で物語が進む「倒叙ミステリ」の名作です。

犯人視点だからこそのドキドキが味わえるんですよ。また探偵役・碓氷優佳ちゃんの洞察力が凄まじくて、犯人の方を応援したくなるという。

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おすすめ13『向日葵の咲かない夏』

これも定番。ちょっぴりファンタジーな要素が入った変化球ミステリ。

好き嫌いが分かれそうですが、「やられた!」感がお好きならぜひ一度。私の中では超名作。

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第5回(2005年)

☆受賞

法月綸太郎『生首に聞いてみろ (角川文庫)

☆候補

芦辺拓『紅楼夢の殺人 (文春文庫)
綾辻行人さんの『暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)
麻耶雄嵩さんの『螢 (幻冬舎文庫)
横山秀夫さんの『臨場 (光文社文庫)


うひゃー。どれも好きな作品だー。

でも特におすすめなのは、綾辻行人さんの『暗黒館の殺人』 と麻耶雄嵩さんの『螢』と横山秀夫さんの『臨場』かな。

『暗黒館の殺人』は〈館シリーズ〉の七作目。

おすすめ12『暗黒館の殺人』

文庫にして四冊からなる大作なのでなかなか手を出しにくいかもしれませんが、そのぶん読み応えもあって面白さも格別です。

ですが、〈館シリーズ〉は必ず一作目から順番に読むことをおすすめしますので、その点は注意しましょう。

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おすすめ11『螢』

肝試しでファイアフライ館に訪れた学生たちが殺人事件に!という本格でクローズドサークルな館モノ。

それでいて麻耶雄嵩さんらしいクセがしっかり楽しめる作品です。トリックも大好き。

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おすすめ10『臨場』

横山秀夫(よこやま ひでお)さんの名作短編集。

検死官の主人公が、超越した洞察力を駆使して死体からのメッセージを受け取り、事件に隠された真相を明らかにしていく。

警察小説って苦手だなって方にこそ読んでみてほしい作品ですね。これはほんと面白いので。

第4回(2004年)

☆受賞

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ

☆候補

有栖川有栖『スイス時計の謎 (講談社文庫)
谺健二『赫い月照 (光文社文庫)
小野不由美『くらのかみ (ミステリーランド)
大倉崇裕『七度狐 (創元推理文庫)


第4回の受賞作は歌野晶午(うたの しょうご)さんの『葉桜の季節に君を想うということ』。

おすすめ9『葉桜の季節に君を想うということ』

もう鉄板ですね。あの仕掛けには賛否両論ありますが、ミステリ小説好きなら一度は味わうべきでしょう。

あとは候補作である有栖川有栖(ありすがわありす)さんの『スイス時計の謎』。

おすすめ8『スイス時計の謎』

タイトルに国名がついた、クイーンを彷彿とさせる国名シリーズの七作目。やはり表題作「スイス時計の謎」が逸材。

巧い、面白い、読みやすい、の三拍子揃った安定の面白さを誇る本格ミステリ短編集です。ミステリがお好きなら読んでおきたいところ。

国名シリーズはたくさん出てますけど、順番関係なしに読んでも問題なく楽しめますのでご安心を!

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第3回(2003年)

☆受賞

乙一『GOTH―リストカット事件
笠井潔『オイディプス症候群(光文社文庫)

☆候補

法月綸太郎『法月綸太郎の功績 (講談社文庫)
有栖川有栖『マレー鉄道の謎 (講談社文庫)
西澤保彦『聯愁殺 (中公文庫)


第三回でおすすめなのは、乙一さんの『GOTH リストカット事件』と笠井潔さんの『オイディプス症候群』。

どちらも受賞作。これには納得!

候補作である有栖川有栖さんの『マレー鉄道の謎』や西澤保彦さんの『聯愁殺』も面白いんですけどね、これはさすがに受賞作が面白すぎます。

おすすめ7『GOTH 夜の章』『GOTH 僕の章』

受賞作『GOTH リストカット事件』を二つにわけたもの。

〈夜の章〉には「暗黒系」「犬」「記憶」の三つが収録。〈僕の章〉には「リストカット事件」「土」「声」の三編。

乙一さんの世界観が存分に表現された間違いなしの名作。

おすすめ6『オイディプス症候群』

笠井潔(かさいきよし)さんによる〈矢吹駆シリーズ〉の五作目。

孤島に浮かぶ〈ダイダロス館〉に招かれた人々が次々に殺されていく、という『そして誰もいなくなった』を意識したクローズドサークルもの。私の大好きなやつ。

いかにもな本格設定ながら、哲学・思想、ギリシア神話などを大いに取り入れられているのが〈矢吹駆シリーズ〉のポイント。

というわけでなかなかクセが強めなのですが、『そして誰も』を意識していると言われりゃ読まずにはいられるわけがない。

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第2回(2002年)

☆受賞

山田正紀『ミステリ・オペラ

☆候補

殊能将之『鏡の中は日曜日 (講談社文庫)
小野不由美『黒祠の島 (新潮文庫)
芦辺拓『グラン・ギニョール城 (創元推理文庫)
斎藤肇『たったひとつの 浦川氏の事件簿


第二回のおすすめは、小野不由美さんの『黒祠の島』と芦辺拓さんの『グラン・ギニョール城』、と先ほど挙げた〈石動戯作シリーズ〉の三作目『鏡の中は日曜日』ですね。いずれも候補作。

はい、完全に私の好みです。

おすすめ5『黒祠の島』

横溝正史さんを彷彿とさせるような、奇妙な風習がある閉鎖的な島を舞台に、おどろおどろしくてホラーでミステリな作品。

世界観が完全にツボ。

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おすすめ4『グラン・ギニョール城』

古城「グラン・ギニョール城」に招かれた名探偵が次々に事件に巻きこまれていく、という話と、森江春策の冒険が交互に描かれていく構成。

やや複雑ですが、ちゃんと読んでいればかなり面白いです。散りばめられたアイデアも好き。

森江春策の事件簿シリーズの一つですが、いきなり読んでも楽しめちゃいます。

おすすめ3『鏡の中は日曜日』

殊能将之さんの〈石動戯作シリーズ〉三作目。名作です。

いきなり読んでも大丈夫ですが、できれば一作目『美濃牛』から読むのがベスト。

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第1回(2001年)

☆受賞

倉知淳『壺中の天国 上 (創元推理文庫)

☆候補

泡坂妻夫『奇術探偵曽我佳城全集』
北森鴻『凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル
古泉迦十『火蛾 (講談社ノベルス)
殊能将之『美濃牛 (講談社文庫)


第一回(2001年)の本格ミステリ大賞受賞作は、倉知淳(くらちじゅん)さんの『壺中の天国』。

この作品も確かに面白いのですが、倉地さんの作品を読むなら『星降り山荘の殺人 (講談社文庫)』や〈猫丸先輩シリーズ〉の方が断然におすすめかな。

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私のおすすめ作品は候補作の、北森鴻(きたもり こう)さんの「蓮丈那智フィールドファイル」一作目『凶笑面』と、『ハサミ男 (講談社文庫)』でおなじみ殊能将之(しゅのう まさゆき)さんの『美濃牛』ですね。

おすすめ2『凶笑面』

民俗学とミステリのマッチングが抜群に面白いシリーズ。

民俗学に関して無知でも、読んでいると不思議と興味をが湧いてきちゃうのです。

探偵役となる蓮丈那智(れんじょうなち)と、相棒である内藤三國(ないとう みくに)のキャラクターも楽しくグイグイ読めちゃうので、まずは一作目だけでも読んでみてほしい作品。

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おすすめ1『美濃牛』

〈石動戯作(いするぎぎさく)シリーズ〉の一作目。

殊能さんと言えばどうしても『ハサミ男 (講談社文庫)』が有名ですが、ぜひこっちの作品もぜひ読んでみてほしいです。

閉鎖的な村に首なし死体、わらべ唄、鍾乳洞、、と横溝正史さんを思わせるおどろおどろしさ!

特にシリーズ三作目の『鏡の中は日曜日 (講談社文庫)』はかなりの名作ですので、『美濃牛』と合わせて一気に読んでいただきたいです。

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おしまい!

長くなっちゃいましたけど、参考にしていただければ嬉しいです。本格ミステリ大賞ってだけで基本どれも面白いのですけどね。

この記事は、本格ミステリ大賞が発表されるたびに随時更新していきますので、よろしくお願いします〜(*´ω`)

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

コメント

コメント一覧 (10件)

  • すごい!好みの共感がすごくできた記事です!
    首無の如き〜、暗黒館、折れた竜骨、葉桜、扉は閉ざされたまま、もうドツボですわ。
    周りに水族館の殺人が好きな人がおらず、紹介されててうおお〜、となりました(笑)

    • アラシナオヤさんこんばんはー(*´ω`)
      本当ですか!共感していただけて嬉しいです!私にとっても本格ミステリ大賞は、やはり他の賞に比べてもドツボな作品が多めです。
      水族館の殺人良いですよね!私もかなり好きなシリーズ作品なのですが、あまり知られていないようで悲しく思っておりました。。アラシナオヤさんが好きでいてくれて嬉しいです(ノД`)

  • この中でベストは個人的に「首無」と、「聯愁殺」とかなり迷って、「水族館」です。
    裏染天馬シリーズのロジックの美しさは別格です!
    因みに「インシテミル」ですが、映画けっこうつまんなかったんですが(笑)、原作は本当に違いますか?
    映画つまんなかったんで躊躇しています。
    映画つまんなかったんで。

    • おお!やはり水族館!わかりますわかります。裏染天馬シリーズのロジックは本当に綺麗です。学生アリスシリーズのロジックも好きですが、こちらも大好きです。
      って、インシテミルの映画めっちゃトラウマになってるじゃないですか!笑
      私は先に原作を読んでいて後から映画を見たタイプですが、あまりの違いに悶絶しましたよ。同じような、別物です。
      映画の方はただの殺し合いって感じでしたけど、原作の方はちゃんと「ミステリー小説」していますからね。原作を読んでいる方を楽しませるために、あえて映画を違うように作ったとか。。登場人物の数から違いますし。
      ただ映画を先に見ていると、どうしても演じた俳優さんたちが浮かんできてしまうので、一回映画の記憶を消してから読んだ方が、、笑

  • こんにちは。本格ミステリのおすすめ、すっごく参考になりました。ちょうど今、鳥飼さんの「死と砂時計」読んでいます。どんなラストになるのかドキドキです…。私のベストは摩耶さんの「螢」「さよなら神様」ですねー。アレはズルい!どんなに頑張っても作者さんの仕掛けが見破れません(´・ω・`)米澤さんの「折れた竜骨」も大好きです。あの長さは読むのが大変ですが、読んで良かったと思える作品でした。「涙香迷宮」が気になって仕方ありません。図書館で予約しようと思います。

    • りかさんこんばんはー(*´∀`*)
      ご参考にしていただいてありがとうございます♪
      お、「死と砂時計」読んでいるんですね。ナイスタイミングですねえ。ぜひ楽しんでください!
      「螢」「さよなら神様」!やっぱり摩耶さんの作品は全く予想できないですよね。。本当にあの人はなんてものを書くのでしょうか。
      そうそう、折れた竜骨も読む前は大変そうだなーって思うんですけど、読み始めたらスルスル読めちゃってあっというまなんですよね。米沢さんの作品は基本当たりばかりです。
      ふっふっふ。「涙香迷宮」気になっちゃいます?ぜひあの暗号を体験してみてください!意味わらんないくらい凄いですよ。ほんと、意味わからないくらいに。。。

  • うわーうわー。さすがは、錚々たる作者と、作品!!
    私もたくさん読んだ好きな作品、これから読みたい気になる作品がいっぱいですね!
    道尾好きの私は、「向日葵~」から入って「シャドウ」で撃ち抜かれたわけですが(笑)
    でも、出てくる登場人物が濃いめだと、かなり物語にも奥行きがでますよね。
    裏染天馬やら、樋口真由やら、上木らいち(笑)
    あー、でも、1番衝撃的だったのって、なんだかんだで「葉桜」だったかも(笑)
    とりあえずは、「夏の王国で目覚めない」読みたいですね!

    • これだけ揃うと圧巻ですよね〜ほんと。さすが本格ミステリ大賞です。。
      「向日葵」からの「シャドウ」の流れが私と同じです!笑 なんという偶然!笑
      そこから道尾作品を読みあさった頃が懐かしいです。。
      そうそう、やっぱり主要人物が濃いっていうのは結局面白いんですよね。印象に残るからシリーズの続きを読んでみたくなってしまうし。特に裏染天馬シリーズはミステリ小説としてもツボですし。
      お!個人的に「夏の王国で目覚めない」はミステリというより雰囲気&物語が素敵で好きな作品なので、興味を持っていただけて嬉しいです(´∀`*)

  • いつも、参考にさせて頂いてます。中々追いつけませんが笑
    さて、「虚構推理」読みました。ロジカルな、一方で、「それ、屁理屈じゃない?」的な部分が面白かったです。凝り固まった常識をほぐしてくれるいい作品でした。

    • 一色やしさんこんばんはー!いつもありがとうございます(*´ω`)
      お、「虚構推理」読まれたのですね。そうそう、いつもガチガチの本格ばかり読んでいると、「虚構推理」みたいな作品は固定概念を覆してくれますよね。こんなミステリもあるんだ!ってワクワクします。
      たまにはこういうのも良いですよね〜(´∀`*)

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