短編集

これぞ鬼畜!平山夢明『ミサイルマン』は「気持ち悪い」を超えた狂気の短編集。

『ミサイルマン』は平山夢明さんの名作短編集の一つです。

ひとことで言うと「鬼畜短編集」です。好きな人はめっちゃ好きだし、無理な人にはとことん無理でしょう。

私も最初は「これキツイな」って思ったんですけど、慣れって怖いですね。

最初の方のお話は「うわー……」と思って読んでいたのに、最後の方にはこのグロさが当たり前になってきてしまって平然と読めてしまうという。。笑

私は『独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)』と『ミサイルマン』を立て続けに読んで完全に中毒になってしまった一人。

とにかく、平山夢明さんの作品を読む上でも欠かせない短編集ですので簡単にご紹介しちゃいますね!(* >ω<)

 

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➡︎【グロ怖】平山夢明さんの気持ち悪いおすすめ小説5選

『ミサイルマン』

全7編からなる短編集です。

こんなの平山夢明さんでしか味わえない!ってくらいの狂気的な世界が楽しめます。

今回はその中から名作と名高い『枷』と『ミサイルマン』をちょっとご紹介しちゃいましょう。

『枷(コード)』

この物語の「枷」とは、「コレクターが自分自身につける制限」のようなモノ。

例えばミニカーコレクターだった場合は、「A社が作っているミニカーだけ」とか「メイドインジャパンのものだけ」などの制限をつけるわけです。

そうしないと何でもかんでも収集してしまって、最終的には破滅してしまいますからね。

 

しかし、です。

逆にその制限に当てはまっているモノなら何が何でも手に入れなくてはなりません。

先ほどのミニカーで言うなら、「A社が作っているミニカーだけ集める」と決めた以上、それ以外のミニカーは集めなくて良い反面、A社のミニカーだけは絶対に入手しようとします。

そうしないと「枷」の意味がありませんから。

 

さて、話を物語に戻しましょう。

この物語の主人公が集めているのは「顕現(けんげん)」と呼ばれるもの。

顕現とは、いたぶられて死を覚悟した女性が死ぬ間際に見せる不思議な力のこと。電球を破壊したり、レンガを飛ばしたり、火をつけたり、フォークやナイフを飴のように曲げたり、とその力は人によって異なります。

でもこの力が見られるのは「死を受け入れた」女性だけ。一発で殺してしまっては意味がありません。

というわけで主人公は、女性が「自らの死を受け入れるまで」殺さずにじっくりいたぶります。拷問します。ヤバイことをします。そうしないと顕現が見られないので。

(ああ、なんだか気持ち悪くなってきた。。。)

もちろん手当たり次第に、というわけではありません。

最初に述べたように、手にかける女性に「条件」、つまり「枷」を付けています。その条件に当てはまらない女性以外には手を出しません。

しかし。

条件に当てはまってしまった女性なら、絶対にやらなくてはなりません。

そして、まさかの人物がこの条件に当てはまってしまいます。そのとき主人公がとる行動とは……。

 

っていう話です。カオスです。

あなたはもう一度、感嘆の声をあげるとそれらを摑み、テーブルの椅子を片手に隣へと戻る。顔皮を削がれた少女が横たわっている。腸の半分は掻き出され、手足の指は全部で六本しか残っていない。瞳に凍ったように張り付いていた怯えは今や遠ざかり、ただ宙を見つめ戸惑っているような眼差しが残されていた。

P.136より

『ミサイルマン』

ひょんなことから知り合った俺とシゲ。

女性をさらっては快楽殺人を繰り返す、そんな二人でしたが、ある女性を殺害したことでとんでもないことに巻き込まれてしまいます。

この作品の奇妙なところは、やっていることはクレイジーなのに面白く読めちゃうんところなんですよ。

なぜかユーモアがあって楽しく読めてしまうというか、男同志の友情物語を読んでいるような感覚に陥るんですよね。なにこの読後感。

というか、私の感覚が麻痺してきているというのもあるでしょうね。そりゃこんなエグいお話ばっかり読んでたら麻痺もしますよ!

『独白するユニバーサル横メルカトル』と『ミサイルマン』をほぼ同時に読んじゃったんですから。他のグロい小説なんてへっちゃらになっちゃいますよ!むしろ「物足りない」と感じちゃうくらいですよ!助けて!

その他のお話

他の作品をザッと説明しちゃいますね。

『テロルの創世』は純粋に面白いSF短編です。グロい場面もありますが、全く気になりません。

『Necksucker Blues』は吸血鬼に翻弄される男のお話です。クレイジーです。

『けだもの』は狼男のお話。この中では一番雰囲気がまとも。読後感も特別でした。

『それでもおまえは俺のハニー』は究極のラブストーリー(?)です。出だしから強烈です。が、実は感動系なのですから面白い。

『ある彼岸の接近』は、お墓が片隅にある家に引っ越した家族の物語です。妻がだんだんおかしくなっていきます。グロいのではなく、ホラー短編として秀作です。

どれも面白いです。ほんとに。

全体的にグロさ満点ですが、これでも『独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)』よりは控えめな印象、笑。

グロいの好き!狂った世界観好き!という方はぜひ一度。

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POSTED COMMENT

  1. 通りすがりのまつ より:

    初めまして‼︎最近anpo39さんのブログを知り自分と好みが似ているのでいつも読書の参考にさせて頂いてます‼︎

    平山夢明先生、自分も大好きです笑
    気持ち悪い描写もたくさんあるけどほんと中毒になります^^;

    これからも本探しの参考にさせて頂きます

    • anpo39 より:

      通りすがりのまつさん初めまして!
      おお!好みが似ているのですね!嬉しいです(*´∀`*)
      平山夢明さんを大好きとは・・・!!(私も大好きです 笑)
      そうそう。グロくて痛々しいのに、それだけでなく惹きつける奇妙な世界観があって。しかもそれは平山夢明さんでしか味わえない。完全に中毒になりますよね。すごく分かります笑。
      参考にしていただき、本当にありがとうございます。どうぞ宜しくお願いいたします〜(ノω`*)

  2. Shin より:

    平山さん、ほんとどうかしてますよね(よくも悪くも)。私が平山さんの作品を読み始めたのはわりと最近で『或るろくでなしの死』が最初でした。「嫌な話だな~」と思いつつ、結局止められず一気読みしてしまいました。
    ご紹介いただいた作品は未読ですので、体調や気分と相談して読んでみます!

    • anpo39 より:

      いやあ、ほんとどうかしてますよね(褒め言葉)。
      おお、或るろくでなしの死とは!それが最初とはなかなか凄いですね。。
      もしそれを気に入っていただけたなら、間違いなく他の作品も楽しんでいただけると思います。ぜひぜひ平山ワールドを堪能してみてください!
      くれぐれも、体調と気分に気をつけてくださいね……( ´∀`)

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