生まれ変わりを繰り返す。『ハリー・オーガスト、15回目の人生』はループSFの大傑作なんです

ループもののSF小説は数ありますが、中でもトップクラスで傑作と名高い作品の一つが、『ハリー・オーガスト、15回目の人生』でございます。

初めて読んだ時びっくりするくらい面白くて、最近もまた読み返してやっぱり面白いなあと確信した次第でございます。

 

目次

『ハリー・オーガスト、15回目の人生』

1919年に生まれたハリー・オーガストは、死んでも誕生時と同じ状況で、記憶を残したまま生まれ変わる体質を持っていました。

幼少時は記憶は完全に戻るわけではありませんが、数年の時間を経ることで記憶も復元されていきます。

オーガストは2回目の人生こそループしたことに驚き、精神錯乱に陥って自殺を試みたり、という「ありがち」な事を順当に処理していくわけでありますが、次第に自分の人生を受け入れ、さらに「自分と同じようにループを経験している人たちの秘密組織」、通称クロノス・クラブと接触することに成功します。

 

彼は3回目の人生でその体質を受け入れ、11回目の人生で自分が◯◯◯◯◯◯をとめなければいけないことを知る。

その原因は、同じ体質を持つ科学者ヴィンセント・ランキス。彼はある野望を持って、記憶の蓄積を利用し、科学技術の進化を加速させていました。

激動の20世紀、時を超えた対決の行方は?!

 

という感じです。

 

死んでも「前世の記憶を残したまま生まれ変わる」っていうのが大きなポイントですよね。

 

主人公が生まれた時代背景を日本で例えてみると、物語の始まりは1919年、日本で例えると大正時代。

現在の働き世代(30代から40代ぐらい)の方々のおじいちゃん、おばあちゃん世代の時代ですね。

西洋の文化がどんどん栄えっていった時代、私達が当たり前のように来ている洋服もこの時代に栄えっていったのではないでしょうか?

※諸説あります。

自分が人生をループしていると知ったら。

主人公は生まれ変われる体質を持っているので、何回も自分の人生を繰り返します。

死んではまた生まれ変わり、また死んでは生まれ変わりの繰り返し。

2回目の時は困惑してしまいますが、3回目で彼は自身の体質を受け入れて過ごすようになります。結構早く受け入れますよね。

生まれ変わるごとに主人公が人間的にどんどん成長していくので、彼の人間性にも着目して読むのも面白いのです。

ただし序盤はちょっと読みにくいかもしれません。いや読みにくいというか、設定を理解するのにちょっと時間がかかるというか。

むむ?どういうストーリーなんだ?ってなってしまう方もいると思います。

しかし、2回、3回繰り返し読むことによってだんだんと物語の筋がわかってくるようになります。

つまり何回読んでも楽しめる作品というわけですね。私も今回記事を書くにあたって読み返したわけですが、1回目では理解しきれなかった部分がいくつかわかりました。

主人公であるハリーですら、その特異体質を理解し受け入れたのは3回目の人生です。

その後何回も人生を繰り返し、11回目の人生で自分の運命(使命?)を知ることになり、15回目の人生に向けて奮闘がはじまります。

読者もこの物語を受け入れるのに相当な時間を要するのではないでしょうか。

何回も読むからこそ楽しめる作品、それが『ハリー・オーガスト、15回目の人生』です。

 

序盤こそ入り込むのに時間がかかりますが、中盤を過ぎたあたりから一気に加速していき最後まで止まらないです。

14回目の人生での宿敵ヴィンセントとの心理戦も面白すぎますからねえ、ぜひ目にしてほしいなあ。

あなたの人生は何回目?

人生は1回限りだという一般的な考え方がありますが、この物語にそんな考え方は存在していません。

死んでは生まれ変わり、また生まれ変わりは死んで‥‥そして生まれ変わり。まるで人生を無限ループしているような感覚になります。

無限ループと言っても同じ人生を過ごすのではなく、主人公は、兵士になったり、医者になったり、同じ体質を持つ人物と自分の運命について学んだりと、さまざまな体験をします。

(時には精神病院に入院させられたり‥‥。)

大変だけど、面白そうですよね。

この小説をジャンル別けするとしたらSFなんですが、ミステリ要素も入っていて最後の最後までドキドキさせられます。

とにかく、私たちの日常生活では考えられないような事がたくさん起こってきます。

恋人に一途になる主人公を見ているとなんだか青春時代を思い出すような……。

誰よりもあの人を愛している。早くあの人を手にいれたい……。

そのシーンを見ているだけで胸がキュンキュンいたします。

恋愛要素も含まれているのでそちらにも注目ですよ!!

おわりに

生まれ変わってしまう体質を持ってしまった主人公、その主人公を取り巻く登場人物達。

最初にも述べましたが、主人公は生まれ変わった瞬間から前の人生の記憶を持っているのではなく、成長するにつれてだんだんと記憶を取り戻していきます。

この過程が非常に面白く、ゾクゾクするんです。

その取り戻した記憶を元に、この人生ではこうしよう、あれはそうだった、という風に主人公は日常生活を送っていきます。

色々な彼の人生パターンを楽しみながら、彼の行く末を見守ってあげてください。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。「ハリー・オーガスト」、大好きです。何度読み返したことか…。いつも最後の言葉にグッときます。ループものはいっぱいありますけど、その中でも最上級ですよね。きっとこれからも何度も読み返す名作だと思います。

  • りかさんおはようございます!
    「ハリー・オーガスト」、面白いですよね。何度も読み返してしまうくらい、奥深い作品だと思っております。
    ループものの中でも最上級、に完全同意です。これほどの作品にはなかなか出会えないですもんね。
    読めたことが幸せです(*´ェ`*)

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