ボニー・マクバード『シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血』今までのホームズの概念が覆る面白作品!

シャーロック・ホームズといえば、かの有名なコナンドイルが創作した、世界で一番有名な探偵です。

しかし、この作品の作者はボニー・マクバード。

つまり、この作品はシャーロック・ホームズのパスティーシュ作品なのです。

ちなみにパスティーシュとは、作品の模倣という意味です。つまりコナンドイルが原作のホームズの設定や登場人物を踏襲しながら、新たな作品を作っているということです。

日本でも2019年の月9で『シャーロック』という作品をディーンフジオカさんがやっていましたが、あれは東京版シャーロック・ホームズという形でした。

今作品は本当のシャーロック・ホームズを登場させてはいますが、ストーリーはマクバードの完全オリジナルです。

コナンドイル亡き後、どのようなホームズの新作を見せてくれるのでしょうか。詳しく紹介していきましょう!

目次

ボニー・マクバード『シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血』のあらすじ

 

ベイカー街221B・・・ホームズのもとにパリから1通の手紙が届いたのが事件の始まりだった。

二重仕掛けの文面には、『失踪した10歳の息子を捜してほしい』と懇願する、かなり切羽詰まり焦りまくる女性の訴えが書かれていた。

ところが、この失踪した子供の父親がかなりのいわくつきの人物。実は別件で美術品窃盗の疑いがある伯爵だったのだ!

それを知ったホームズとワトソンはこの事件を解決するためにパリへと赴いた。二人はこの事件のきな臭さと、ただの失踪事件ではないとすぐに勘付き、すべての謎に立ち向かう事を決意する。

一見関係のなさそうな種類の事件である、『10歳の子供の失踪』そして『美術品窃盗』。さらに事件の周辺で巻き起こる不自然なくらいの『連続殺人事件』。

3つのバラバラな事件は後半に行くにしたがいつながりを見せ、解決に向かっていく。

最後の最後にホームズとワトソンが知った真実とは!

パスティーシュ作品でありながら、あらすじを見るとかなり本格的なつくりになっており、コナンドイルもこれなら納得してくれそうな内容になっています。

ミステリー好きな方には是非おすすめのわくわくする内容です。

ボニー・マクバード『シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血』の口コミ【読者の感想】

では、この作品の口コミを紹介いたしましょう。

 

『これまでのホームズ像とは違う、新しい視点から捉えたような描写も印象的でした。
ホームズというと、いつもどこか超然としているイメージがあったのですが、
この作品では、ホームズの人間としての弱さも出ていたような気がして、
どこか身近な存在のように感じることもできました。
推理も見所なのですが、どこか冒険的なものを感じさせ、そこが興味深いところでした。』

 

『オリジナルのホームズよりも人間味のあるところがポイントです。
アクションやホラーもあるし、何よりホームズの感情がドイルの作品よりもリアルな人間なんです。
最近いろいろなホームズを見る機会がありますが、これはこれで原作を冒とくしているようには見えませんし、新しいホームズの形としてはありだと思います。
ただ、本物のホームズを期待して読むと違うと感じる可能性がありますので注意が必要です。
ストーリー自体はしっかりとミステリ部分もまとめられており、読みごたえはあったと感じました。おすすめします。』

 

『前半はなんだこのホームズは?と違和感を感じて、頭の中に疑問符がたくさん浮かびましたが、だんだんと癖になっていきました。
後半に行くにしたがって畳みかけてくる謎解きは圧巻で、しっかりとしたミステリでした。生粋のシャーロキアンが読むと、「ホームズってこうじゃない!」と思うのかもしれませんが、ミステリ作品として見た場合、「こんなホームズだっていてもいいよね」と思えるのが不思議な作品でした。』

ホームズは多種多様になって今に生きていると考えさせられる作品

この本の中のホームズは、とにかく現代人っぽいのです。

ドイルのホームズは冷静でどこか浮世離れしていて、ニヒルな大人。静かにパイプと飲み物を用意して座っていそうなイメージだと思うのですが、今作のホームズは、現代に溶け込めるホームズなのです。

個人的には友達として楽しいのは今作のホームズかなとも思います。

拷問されるわ変装するわ死にそうになるわ失敗するわ・・・ホームズらしからぬところがかなり多いのです。

それでも、物語はしっかりとミステリとして完成されています。ただ、今回は児童虐待がメインテーマになっているので、愉快痛快!というわけではなく、どこかほの暗さと寂しさもあります。

だからこそ、人間味のあるホームズが登場することによって重苦しすぎなく仕上がっているのではないかと感じます。

また、ホームズとワトソンの息の合ったコンビと、そこにある信頼感は本物。ドイルが作ったものとはまた少しテイストが違うのですが、この二人はさすがだなと思わせるところは変わりません。

ホームズとワトソンの冒険ミステリー、という感じもしますが、ドイルの作品をしっかりと読み込んでいるからこそのオリジナリティだと思うので、ドイルのホームズを読んだことある方でも楽しめるのではないかと思います。

この作品は続編もあり、『眠らぬ亡霊』という作品で販売されています。このホームズが気に入った方は是非続編も読み込んでみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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