『○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)』など「らいちシリーズ」でおなじみの早坂吝さんが、またとんでもない作品をお書きになられました。
『ドローン探偵と世界の終わりの館』です。
タイトルにある通り、ドローンを使いこなす探偵が登場するミステリなのですが、まあ予想以上の衝撃で。ひっくり返ってベッドから落ちそうになりました。
これだから早坂吝さんはやめられません。
『ドローン探偵と世界の終わりの館』
『ドローン探偵』こと飛鷹六騎(ひだかろっき)。
彼は19歳でありながら身長130cm体重30キロの小柄な身体であり、ゆえにドローンに摑まって空を飛ぶことを武器に犯人を確保する探偵だった。

しかしある時、犯人逮捕のためカッコよく空から飛び降りたとき、両足を骨折してしまう。
六騎は大学の探検部に入っており、彼らは廃墟探検として、北欧神話オタクの資産家・御出院(おでいん)が建てた洋館『ヴァルハラ』に行くことになる。
しかし六騎はまだ両足骨折中。
なので探検部6人が洋館『ヴァルハラ』を探索しているとき、六騎は外の車の中で待機し、そこから二機のドローンを操縦させて彼らと同行するという形をとります。
この設定が一番のポイントでしょう。どんな仕掛けをやってくれるのか、もう面白すぎます。
嵐の館、殺人事件、密室。

もう好きな要素が全部詰まっています。
探検部6人と二機のドローンが館内をかくれんぼをして遊ぶのですが、その最中に部員の一人の死体が発見されます。
みんなパニックになったところで、嵐が発生。彼らは館に閉じ込められてしまうのでありました。
なんという王道な展開でしょう。
しかし、二機のドローンが彼らを追尾しているというオリジナリティーに溢れる設定。
この奇妙なバランスが実に早坂吝さんらしい。
北欧神話に彩られた魅力的な館なのだから、もっと館のポイントをアピールしたり、複雑な人間ドラマを絡めた濃厚な推理小説にもできたでしょう。
それをあえてせず、ここでしかできないドローンを使ったトリックにのみ拘った早坂吝さんの意思が感じられます。
絶対解けない「読者への挑戦状」
本書には、ドローンという最先端の化学技術を使ったトリックが仕掛けられている。
今回諸君らに取り組んでいただくのは、そのトリックが何かを当てるということである。
推理小説のトリックはもう出尽くしたとよく言われるが、私はその意見には与しない。
一つの理由は、日進月歩の社会が絶え間なく新しいアイデアを供給してくれるからだ。機械の翼が羽ばたけば百のトリックが生まれる。
P.9「読者への挑戦状」より引用
本書をひらけば、いきなり「読者への挑戦状」が叩きつけられます。
犯人は誰なのか、どうやって殺害したのか、なぜ殺害したのか。
そんなミステリのお決まりであるフーダニット、ハウダニット、ホワイダニットはこの際忘れてしまいましょう。
ズバリ今回わたしたちが取り組むべきは、読者への挑戦状にもある通り、
「ドローンという最先端の化学技術を使ったトリック」
を当てることです。
……初めて『○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)』を読んだ時のことを覚えているでしょうか?
どんでん返しを通りこえて、
「は?」
ってなってしまうあの感覚。
『ドローン探偵と世界の終わりの館』でも、あれが味わえます。
あのページをめくった時、
「は?」
ってなります。
嘘でしょ、何言ってんの、でたー、早坂吝さんでたー、ってなります。世界の反転です。
そしてその瞬間、今までの違和感が全て解け、辻褄が合い、あらゆる謎が一気に収束していく見事な仕掛けは、素晴らしいとしか言いようがありません。
『○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)』が賛否別れるように、おそらく本書も好みが分かれるでしょう(下ネタはないので安心してね)。
でも、『○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)』で感じた、世界がひっくり返るような「は?」を味わいたいなら、ぜひ読むことを推奨いたします。
もちろんこのアイデアだけに頼った一発ネタではなく、プロットの組み方もお上手だとは思うのですが、細かいことがどうでもよくなるくらいアレが刺激的で。
もうこれ味わえただけで満足です。
おわりに
やっぱりいいですなあ早坂吝さん。
毎回毎回、想像もつかないような新しいトリックで読者を楽しませてくれるのは本当にありがたい。
早坂吝さんには、これからもどんどんこのタイプのミステリをお書きになっていただきたいです。
思わずひっくり返ってしまうようなミステリがお好きであれば、読まないと損でございますよ(´∀`)
意外と言ったら失礼ですが、凄くちゃんと本格ミステリする人ですよね。
青崎氏と並んで今最も新作が楽しみな作家です。
そなんですよ。
凄くちゃんと本格ミステリしてくれるんですよ。期待以上に。
次は何をやってくれるのか、といつも期待させてくれる作家さんです(*´ω`)
このブログで取り上げるんじゃねえかなと思ってました! 早坂さんだもの
毎度毎度僕たちを驚かせてくれますよね。こういう奇想が本の形をしたような作品とその生産者がいるから、ミステリを読む喜びは終わらないんだよなあって思わされました。何より、トリック出尽くしたんじゃね問題をキッパリ否定するところはらしいなと思いましたね。こういうトリック命の小説があってもいいですよねえ。これからもどんどん作品を書いて欲しい!
やはりバレてましたか!早坂さんだものね!
そう、こういう作家さんたちがいるから、ミステリの楽しさは終わらない。トリックが尽きることなんてない、そう思わせてくれる作品です。
早坂さんが断言してくれると、安心感が生まれます。
こういうトリック命の小説大歓迎です。ほんとどんどん書いていってほしいですなあ(ノω`*)
hitomiでーす。
え?なんですと?
またあの感覚ですか?!
確かにそれはもう、それはもう、
気になるー!
hitomiさんこんばんはですー!
ええ、例のアレです。
吹っ飛びます。
いや、あんまりハードルを上げすぎるのも駄目か。
いや、吹っ飛びます。