仮想空間でのクローズドサークルで館モノ?!
おいおいおいおい、完全にどストライクじゃないですか!
ってなワケで伽古屋圭市さんの『断片のアリス』です。面白いです。
書き下ろし文庫本ということでお求めやすい価格。
イリヤさんのカバーイラストも美しい。額に入れて飾っておきたい( ´∀`)
伽古屋圭市『断片のアリス』
「人生を拡張する」世界を目指してつくられたVRネットワークシステム『ALiS-アリス-』。
視覚、嗅覚、味覚、触覚、重力、全ての感覚が現実世界と遜色なく再現するその仮想空間で、人類の大多数が生活していた。
主人公であるハルも、そんなアリスで当たり前のように生活している一人。
しかしその日常が突如崩れ去る。
ハルはいつものように『ALiS』へダイブし職場へ向かっていたが、いきなり何者かに小屋へ閉じ込められてしまう。
しかも職場への転送もアリスからのログアウトも出来なくなってしまった。
そんなバカなことあるわけがない、と混乱するハルに、一匹のコオロギが声をかけた。
彼曰く。
もういちどだけ言うよ。しっかり覚えておきな。
この世界から抜け出るには”青い髪の少女”に頼めばいいのさ。僕から言えるのはこれだけさ。
P31より
青い髪の少女?
その少女に頼まないとログアウトも出来ない?そんなことがあるのか。
しかし今はとりあえずいうことを聞くしかない。
そして、まずハルがやるべきことは、日没までに宿屋《赤エビ亭》に行くことだと聞かされる。
さらにコオロギは言う。
日没までに《赤エビ亭》に辿り着かなければ、現実世界でも仮想空間でも死ぬ、と。
殺人ゲームの始まり!(嬉)
童話「ピノッキオの冒険」をモチーフにした世界に送り込まれたハル。
そして突然、デスゲームへと強制参加させられるーー。
もちろんハル以外にもこのゲームに参加させられた人たちがおり、共に現実世界へ帰ることを目指します。
しかし。
次々に人が殺されていき疑心暗鬼に陥るハル。わずかな手がかりを頼りに”青い髪の少女”を探そうと心みるがーー。
という、気持ち良いくらい大好物な設定です。
やっぱりVRってログアウト出来なくなってこそですよね。
この手の作品だと、岡嶋二人さんの『クラインの壷 (新潮文庫)』、高畑京一郎さんの『クリス・クロス―混沌の魔王』、貴志祐介さんの『クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)』、米澤穂信さんの『インシテミル (文春文庫)』などを彷彿とさせます。
けれど結論を言うと、ミステリ要素はあまり強くありません。ので、ミステリー小説として読むのではなく、あくまでミステリ要素は一つのパーツにすぎないと思ってください。
良い意味で、SF、冒険活劇、アクション、クローズドサークル、サスペンス、ミステリなどのあらゆる要素がバランスよく配合された物語でした。
とにかくテンポが良いし、ハラハラする。
《赤エビ亭》の平面図もある。素晴らし。
一人死なないと次への扉がひらかないという無慈悲なルールにもワクワクです。
当たり前ですが、VRの設定をうまく活かした展開になっており、この先どうなるの?!とページを捲らせるのがうまい。
それにしてもこれだけよく作られた世界観、これ一作で終わってしまうのは勿体無いのではないのでしょうか。
この世界観であと3作はいけます(伽古屋さんお願いします)。
VRミステリは始まったばかり

「クローズドサークルでの生き残りをかけた脱出ゲーム&フーダニット」なんて、設定だけでも面白いの確定したようなモノなんですけど。
さらに伽古屋さんが設定を生かし、拍車を掛けて面白くしている。
特に「なぜこの世界へ送り込まれた?」というホワイに対しての回答が好きで、実に練り込まれた世界観であるなと思わされました。
「やられた!」っていうよりは「ははーなるほどねー!」って感心してしまう真相で。
こういうデスゲーム作品って〈なぜ参加させられたか〉という理由が超理不尽だったりするんですよね。製作者の娯楽でしたーみたいな。
『断片のアリス』も理不尽と言っては理不尽かもしれないけど、わたし的には全然OK。
おわりに
ハラハラドキドキの止まらないVRミステリ、堪能させていただきました。
仮想世界を駆使したミステリはこれからもどんどん増えていってほしいです。
仮想世界だからこそ出来るミステリって絶対まだまだあるはずなので。
作家さんのみなさま、よろしくお願いいたします(完全に人任せ)。
あ、本屋で気になってたやつです。
あんまり、こういうジャンル読まないけど、面白そうですね。
多分、いや、絶対読むー!!
そして、今さらコメントしに、読んだら報告来ます!
やっぱり気になちゃいますよねー!(´∀`*)
久しぶりのデスゲーム小説で新鮮な気分で読めました。
今さらコメントお待ちしております!笑
今さらコメントしにきました!
普段読まないジャンルですが、
個人的にゲーム好きな方にはおすすめしたいですね。
私は近未来SFが強いと感じました。
でも、こういう未来がくるような気もするなー。
どうなんだろう?
確かに、最後はなるほどーって感じですね。
こんばんは!
ですねーSF色強いですねー(*´ω`)
そうそう、デスゲームをやらされる理由が結構納得いく作品って少なくて
でもこの作品はその理由がリアルっていうか、未来になったらありえそうだなと思わされましたね。