『第八の探偵』- 七つの短篇推理小説が作中作として織り込まれた、破格のミステリ。

探偵小説黄金時代に一冊の短篇集「ホワイトの殺人事件集」を発行し、その後、故郷から離れて小島に隠棲する作家グラント・マカリスター。

彼のもとを訪れた編集者ジュリアは短篇集の復刊を持ちかける。

そのふたりは収録作をひとつひとつ読み返し、議論を交わしていくのだが……。

フーダニット、不可能犯罪、孤島で発見された十人の死体ーー。

七つの短篇推理小説が作中作として織り込まれたミステリ小説となっています。

ミステリならではの展開、そして衝撃の結末!?ーー『第八の探偵』

7作の作中作短篇が組み込まれたミステリ。

どの短編も意外とシンプルですが、書き方が読者の気持ちを動かし、ドキドキさせるような展開や矛盾があり、自然と作中に吸い込まれる気持ちになります。

独自のミステリ理論に基づいた実作という設定ということもあり、読んでいてとても楽しいです。

7作ともとても面白いですが、私は「一九三〇年、スペイン」「海辺の死」「劇場地区の火災」「呪われた村」が特に好きですね。

詳しい内容は伏せさせていただきますが、全ての作品で作中作に含まれる矛盾を指摘する編集者と作家のパートが交互に展開されており、とてもスリリングなものとなっています。

額緑部分での「作品」を巡る編集者と隠蔽した作者の会話は情報が小出しされており、とてももどかしい気持ちになりますが、最後には見事な逆転が待ち受ける。

短篇の中全てに矛盾が隠されており、現実パートでそれを編集者が指摘する場面がありますが、ただ小説を読んでいると全く気が付きません。

これは、ミステリ小説を読む読者を逆手にとり、「読者は結末ばかりを追うため、過程を読んでいない」「殺人ミステリは議論のみで解き明かせるという巧妙な見せかけ」などのテクニックが組み込まれており、私はまんまとやられてしまいました。

7つの短篇ミステリ、読み味が妙にダークな作品が多いことも見どころの一つで、特にたった60ページでクリスティの某名作への完璧と言えるオマージュを成し遂げている「青島珠島事件」のラストの残酷なツイストも見どころです。

あらすじを読んだだけでは想像していたものと一味違う斜め上からのミステリ。

それだけでなく、当然あらすじから想像していたような要素も含まれているものの、それだけでは終わらない、小説という概念を崩し、面白い本というよりも面白い体験をしたような気持ちになれる作品となっています。

読者全員が納得させられる結末

発売前からミステリー作家内で話題に上がっていたアレックス・パヴェージ『第八の探偵』ですが、読み進めているうちに、なぜ登場人物が作家と編集者だったのか最後には納得させられます。

7つの短篇それぞれの質はもちろんのこと、小さな違和感やトリックや話作りのことを話している会話はミステリー好きなら誰しもが食いつくこと間違いなし!

そして、七つの短篇を読み終えた後に現れる最後の謎にはみなさん衝撃を受けることでしょう。

この作品は短篇に分かれているため読みやすい点もあり、非常に私好みで質の高い作品でした。

ネタバレになってしまうので内容を話せないのが残念ですが、この作品はとても面白く、普段本を読まない友人にプレゼントをしてでも読んでもらい2人で語り合いたい!と思えるような作品です。

『第八の探偵』は問題編と解決編が交互になっている構造がある一方で、議論のパートが作中作の「外」で繰り広げられる問題編と解決編のような関係となっていますので、小説の構造を分析することが好きな人にはとてもたまらない作品ではないでしょうか。

評判を見る限りも駄作という評価が一切なく皆さんが面白いと感じているアレックス・パヴェージ『第八の探偵』。

他の感想でも出ているように、全体の作りや雰囲気に「新本格」の香りが漂うこの作品。

ミステリ好きなら読んで間違いない作品と言えます。

そんなアレックス・パヴェージ『第八の探偵』、是非お手にとってみてください。

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