『休日はコーヒーショップで謎解きを』- 短編の天才が送る、本格面白作品のフルコース!

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ロプレスティという作者をご存知でしょうか。

アメリカの作家なのですが、作家活動をしながらワシントン州で図書館に勤務している、本に囲まれた生活をしている方です。

短編集をメインに執筆しており、今まで様々な雑誌に掲載されたベテラン作家で、優秀な短編に贈られるデリンジャー賞を二度受賞しています。

まさに、短編と言えばロプレスティといっても過言ではありません。

そんなロプレスティの作品で、今回は『休日はコーヒーショップで謎解きを』をご紹介していきたいと思います。

こちらの短編集はそのタイトル通り、コーヒーショップや何かの隙間時間にサクッと読める作品が詰め込まれています。

しかし、さすがデリンジャー賞を獲得しているだけあって、とにかく限られた情報や文字数の中で作品をまとめる力が素晴らしい!

今回は特に普段本を読まない方にもお勧めしたい作品となっております。

ではさっそく詳しい内容をご紹介いたします。

目次

ロバート・ロプレスティ『休日はコーヒーショップで謎解きを』のあらすじ

この本は短編集となっています。収録作品はこちら。

「ローズヴィルのピザショップ」
「残酷」
「列車の通り道」
「共犯」
「クロウの教訓」
「消防士を撃つ」
「二人の男、一挺の銃」
「宇宙の中心(センター・オブ・ザ・ユニバース)」
「赤い封筒」

この中でもいくつか心に残った作品の簡単なあらすじをご紹介します。

「ローズヴィルのピザショップ」

イタリア系アメリカ人であるヴィンスは、ビジネスから引退した。

そんな彼は、片田舎にあるが味は確かという事で評判なピザ・レストランを訪ねた。

ピザの味を気に入ったヴィンスはこの店に通い詰めるようになる。

それからしばらくしてヴィンスはすっかりこの店の常連になった。

しかし、常連になったころからだろうか、店とほかの常連たちに謎の変化が現れるようになったのだ。

ヴィンスは常連たちや皆の様子がおかしい事に対して、もしかして彼らはマフィアかもしれない、という疑念を持つようになる。

そして店はヴィンスをめぐって本当の事件に巻き込まれてしまう事に・・・!

ピザ屋から1ミリも外に出ていない状態でストーリーが進んでいくのにもかかわらず、なんとなく街の様子までありありと見せるのがロプレスティのすごさです。

日常風景から非日常に切り替わるゾクゾクをお楽しみください。

「二人の男、一挺の銃」

舞台はある一部屋のみ。

その部屋には銃を持って立てこもった男が。その中には人質にした男もいる。

立てこもった犯人の男は、人質に『互いに憎み合う3人の男の物語を書け』という奇妙な行動を命令する。一体どうして立てこもった男は人質にそんな謎の命令をするのか。

その謎が結末となって一つの線に繋がったとき、全容が見えてくる。

こちらもピザショップと同じ1つの場所でストーリーが繰り広げられていきますが、こちらの方が謎が謎を呼ぶ展開となっています。

しかし、この無茶な命令とストーリーがひとつに結び付いたとき、「あぁ!」と言わずにはいられない、ストンと落ちていく感じが快感です。思わず何度も読み返しました。かなり秀逸ですよ。

ロバート・ロプレスティ『休日はコーヒーショップで謎解きを』の口コミ【読者の感想】

それでは実際にこの本を読んだ方々からの口コミをご紹介いたします。

 

『タイトルには謎解きとあり、一見ミステリーかと勘違いしますが、
内容はほぼ犯罪小説の中短編なのでとても読みやすいです。
それこそ休日にのんびりコーヒーを飲みながら読書…と言うシチュエイションにピッタリでした!サクサク読めるのが良いです。
1冊目と同じように作者さんの注釈がついているので、わかりやすいですよ』

 

『普段ミステリーは読みませんが、知人に勧められて手に取りました。
短編集のため、飽きることなく読むことができました。
中でも「宇宙の中心」は独特の空気感が好みで、あっという間に読んでしまいました。
「赤い封筒」は正統派といった感じ。バラエティに富んだ一冊です』

 

『サスペンスの短編集。いろいろな切り口の作品が収められておりお得感があります。
どの話も内容は深いのですが小気味良いテンポでが進むので一気読みしました。
時代背景を知った上で読むと更に面白く読めると思います』

 

『普段ライトノベルしか読まない私が友人に勧められて読みました。わかりやすかったです。
長編だとだらだらして読み切れないことが多いのですが、これはとても楽しく最後まで駆け抜けて読むことができました。
いろいろなジャンルの話が入っているので、勉強の合間にサクッと読めていいリフレッシュになりました』

 

どの方も読みやすさや飽きずに読み切れたという声が多かったです。実際に私も読んでみるとその意味がよく分かります。

テンポよくどんどんと話が進んでいく様子が、1時間で解決するドラマを見ているような感じと例えるとわかりやすいかもしれません。

本を読むことが楽しくなる!初心者でもわかりやすい楽しい作品集

この本が面白い理由は、とにかくわかりやすく飽きにくい工夫がされているからだと感じます。

この記事で紹介した2つの物語は、そもそも1つの部屋や場所から一切動いていないので登場人物に限りがあり覚えやすく、またストーリー自体もコンパクトにまとめられています。

さらに、この本の最大の特徴が、「著者よりひとこと」という著者による簡単な解説コーナーが設けられているところです。

ミステリ小説であるあるな、「結局どうして解決したのかわからない」というモヤモヤが起こりにくい工夫がされています。

また、この「著者よりひとこと」では、普段の何気ない生活からフィクションの作品を作り上げていく手法や発想なども描かれているので、ロプレスティの考え方や小説家の発想力についても触れることが出来ます。

ちょっとした裏側を覗いているかのような感覚なので、本編もさることながらこのあとがきが面白くてファンになっている人もいます。

ロプレスティの作品は、他にも『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』という作品があります。

こちらはミステリ作家であるシャンクスという人物を主人公に、こちらもさくっと読めて巧妙な楽しい連作ミステリとなっています。

この作品は今回紹介した作品と似たタイトルではありますが、主人公は別になっています。

そのため、どちらから読んでも楽しめるようになっていますので、『休日はコーヒーショップで謎解きを』で面白い!と感じた方は、『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』もかなりおすすめです。

本=難しい、ミステリ=頭を使い疲れるという概念を超えて、納得するとむしろすっきり感を楽しめる作品となっていますので読んでみてくださいね。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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