短編集– category –
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米澤穂信『可燃物』- 疎まれながらも捜査能力は抜群!葛警部の鮮やかな活躍を描いた短編集
群馬県警捜査第一課の葛(かつら)警部は、ぶっきらぼうで口数が少なく、上司からも部下からも慕われてはいないが、捜査能力の高さで一目置かれている。 今回も葛警部は、数々の難事件に挑む。 スキー中に遭難した男が、なぜか崖下で刺殺体となって発見さ... -
宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』- 豪快、爽快、奇想天外に我が道を行く成瀬を描く青春小説
成瀬あかりが、また突拍子もないことを言い出した。 「わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」 滋賀県のシンボルだった西武大津店が、開業44年で閉店することになったからだ。 成瀬は最後の日となる8月31日まで毎日通い詰め、そこで中継している地元テレ... -
奥田英朗『コメンテーター』- トンデモ精神科医がコロナ禍でもハチャメチャ治療で大暴れ!
あの破天荒な精神科医・伊良部一郎が帰ってきた! 注射フェチでフィギュアも大好き、天真爛漫かつ無鉄砲な性格で、ハチャメチャな治療をしては患者を振り回す。 そんな伊良部が、なんとテレビのワイドショーで、コメンテーターとしてリモート出演すること... -
佐藤究『爆発物処理班の遭遇したスピン』- ダークさがたまらない、人の歪みを映し出す短編集
直木賞作家・佐藤究さんが世に放つ、比類なきダークな短編集。 表題作でもある第一話は、官僚が眠るカプセルと米軍基地に仕掛けられた爆発物の物語。 続いて、異なる動物を違法に掛け合わせる物語や、連続殺人鬼が描いたアートの物語。 そして奇書『ドグラ... -
『霊魂の足』- 戦後の時代背景のもとで起きた事件に迫る、ミステリー短編集
本作は、昭和21年に起きた事件をもとに、終戦後まもなくの複数の出来事を描いた物語である。 隣客の古いトランクを入れ替える男を尾行して、行動の動機を探る謎解き物語『怪奇を抱く壁』や、読者のミスリードへと繋げる巧妙なトリックが仕掛けられた『緑亭... -
『10の奇妙な話』- 数々のキャラクターが描く、奇妙で愛おしい物語
この作品では、異なる背景を抱えた複数のキャラクターの物語が描かれています。 命を助けた若者に恐ろしい風貌を罵倒されて心を病んでしまったピアーズ姉妹。 丘の上で偶然見つけた骨を集めてネックレスを作る少女・ギネス。 そして、突如襲来してきた宇宙... -
『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』- 本当に「怖い」ものを教えてくれるホラーの宝箱!
「新本格」ブームの火付け役と言われた綾辻行人先生、『リング』・『らせん』などの作品があまりにも有名過ぎる鈴木光司先生、ホラーアンソロジー『異形コレクション』を監修している井上雅彦先生など、豪華すぎる顔ぶれのオムニバス、『再生 角川ホラー文... -
『第八の探偵』- 七つの短篇推理小説が作中作として織り込まれた、破格のミステリ。
探偵小説黄金時代に一冊の短篇集「ホワイトの殺人事件集」を発行し、その後、故郷から離れて小島に隠棲する作家グラント・マカリスター。 彼のもとを訪れた編集者ジュリアは短篇集の復刊を持ちかける。 そのふたりは収録作をひとつひとつ読み返し、議論を... -
『世界が終わるわけではなく』- 野心的で遊び心に満ちた、奇妙な味わいの作品集。
みなさんは本を選ぶ際、表紙もひとつの要素となるのではないでしょうか。 本作の表紙に目線をうつしますと、同じソファひとりの女性と同じ背丈の猫がいます。 その猫が足を組んでアイスクリーム容器に手をつっこんで食べているではありませんか。 その姿は... -
宮内悠介『超動く家にて』-最高に頭良い人が最高にふざけた物語
最近は忙しい人も増えてきて「5分後に意外な結末」シリーズなどに一定の人気があります。 2013年12月にシリーズ第1巻が刊行されてから、2021年3月時点でシリーズ累計発行部数は330万部を売り上げているそうです。 ショートショート小説、また短編小説には... -
『怪奇日和』-SF・ミステリ・サスペンス・ホラーのいいとこどりの作品集
『霧』で有名なスティーブン・キングの息子として話題のジョーヒル。 彼の兄弟もまた作家として活躍するオーウェン・キングであり生粋の作家一族のサラブレッドとして登場しました。 最初こそはS・キングの息子として比べられたり、父親の作品の廉価版と... -
『放課後探偵団2』一九九〇年代生まれの作家さんによる、書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー
こちらの作品は短編集(アンソロジー)となっていまして、それぞれの作者がそれぞれの味をだしてうまくまとめてくれてあり、いいとこどりのようになっています。 参加してくださった作家さんは、青崎有吾さん、斜線堂有紀さん、武田綾乃さん、辻堂ゆめさん、... -
宇佐美まこと『るんびにの子供』-非日常の扉を丁寧に開いた作者の手腕が素晴らしい作品集
宇佐美まこと先生は、本書の中の短編で表題作にもなっている『るんびにの子供』で『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞し、デビューを果たしました。 そして、待望の書籍化をしたところ、大反響となったのです! 怪談ともホラーとも呼ぶのが相応しい個性豊... -
『ミスト 短編傑作選』映画『ミスト』の原作小説収録!ゾクゾクが襲い掛かるキングらしい短編集
ホラーの天才と呼ばれるキング。 彼の作品はいくつも映像化されていますが、この『ミスト 短編傑作選』の中に収録されている『霧』も『ミスト』という名前で映画化がされています。 この映画が公開されたときのレビューは「救いがない」「良くも悪くも一貫... -
『死んだら飛べる』恐怖のフライトへようこそ!飛行機をテーマにした傑作アンソロジー
スティーヴン・キング、ジョー・ヒルなど人気作家の作品を含む17編が収録されています。 いずれも飛行機や空を飛ぶことを題材としており、空を飛ぶ大きな鉄の塊が果たして本当に安全なのか?と思わず飛行機に乗るのが怖くなってしまうこと間違いなしです。... -
『休日はコーヒーショップで謎解きを』- 短編の天才が送る、本格面白作品のフルコース!
ロプレスティという作者をご存知でしょうか。 アメリカの作家なのですが、作家活動をしながらワシントン州で図書館に勤務している、本に囲まれた生活をしている方です。 短編集をメインに執筆しており、今まで様々な雑誌に掲載されたベテラン作家で、優秀... -
『図書室の怪 (四編の奇怪な物語)』-怪奇小説を研究しつくした著者が贈る英国ゴーストストーリー短編集
ジャック・トレガーデンは旧友の依頼で図書館の蔵書の改訂をすることになります。 数年ぶりに再会した旧友は見違えるようにやつれ果てており、ジャックはその理由を聞き出します。 友人は亡くなった妻が亡霊の影に悩まされていたことを明かします。友人は... -
小林泰三さんのおすすめ小説15選【ミステリ、ホラー、SF、全てが最高峰】
今回おすすめさせていただきたいのは、《ホラー短編の名手》などと呼び声の高い小林泰三さんの作品です。 しかし、小林さんの面白い作品は何もホラー短編だけっていうわけでなく、ミステリーもサスペンスもSFもとっても面白いのです。 幻想的でどんでん返... -
櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』-昆虫オタクの青年が、奇妙な謎を鮮やかに解き明かす
「サーチライトと誘蛾灯」「ホバリング・バタフライ」「ナナフシの夜」「火事と標本」「アドベンドの繭」の5篇からなる連作短編集です。 物語の主人公はいずれも魞(エリ)沢泉という青年。 彼は探偵でも刑事でもなくただの昆虫オタクで、全国各地の珍しい... -
『法月綸太郎の冒険』-「死刑囚パズル」「カニバリズム小論」は必読の傑作短編です
『法月綸太郎の冒険』は 1.「死刑囚パズル」 2.「黒衣の家」 3.「カニバリズム小論」 4.「切り裂き魔」 5.「緑の扉は危険」 6.「土曜日の本」 7.「過ぎしに薔薇は……」 の7篇からなる短編集です。 法月綸太郎シリーズの中でも特に名作が多い短編集で、この...