国内ミステリー小説– category –
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城平京『虚構推理 逆襲と敗北の日』- 奇妙な亡霊と連続転落死事件の裏に潜む陰謀とは
「知恵の神」として怪異の悩み相談に乗っている琴子と、その彼氏であり不死身の九郎は、ある日警察に呼び出された。 山で男性4人グループのうち3人が転落死するという事件が起き、そこに九郎の従姉・六花が偶然居合わせたのだという。 六花の荷物には大金... -
城平京『虚構推理短編集 岩永琴子の純真』雪女登場!愛しい男のアリバイをどう証明する?
怪異から「知恵の神」として頼られ、様々な相談を受けている岩永琴子。 今回の相談は雪女からで、親しくなった人間の男性・室井昌幸に殺人容疑がかけられてしまったという。 昌幸は被害者の死亡推定時刻に雪女と一緒に過ごしていたことから、殺人犯でない... -
潮谷験『エンドロール』- コロナ禍で急増する自殺者を止めることはできるのか?
新型コロナウイルスが猛威を振るい、未来に希望を持てなくなった若者たちが、次々に自殺していった。 奇妙なことに彼らの多くに、ある共通の行動が見られた。自伝を書いて国会図書館に寄贈した上で、自殺するのだ。 かつて哲学者・陰橋冬が自伝を寄贈して... -
松城明『可制御の殺人』- 人間をシステムと捉え、殺人を実行させる理系ミステリー
大学院生の更科千冬は、「下」に見られたくないという思いから常にトップを独走してきた。 しかし友人の白河真凛は、千冬をあっさりと抜かした。 千冬の成績を超え、千冬の彼氏を奪い、さらには千冬が志望している就職先での推薦枠も得ようとしていた。 勝... -
天祢涼『拝啓 交換殺人の候』- 自殺を決めた青年は彼女のために人殺しができるのか?
秋元秀文は上司からのパワハラに耐え兼ねて退職し、自殺の名所として知られる「首つり桜」へ行った。 死ぬつもりだったが、根元の穴に白い手紙のようなものがあることに気付き、中を開けて読んでみる。 そこには「どうせ死ぬなら殺してみませんか?」とい... -
佐藤究『爆発物処理班の遭遇したスピン』- ダークさがたまらない、人の歪みを映し出す短編集
直木賞作家・佐藤究さんが世に放つ、比類なきダークな短編集。 表題作でもある第一話は、官僚が眠るカプセルと米軍基地に仕掛けられた爆発物の物語。 続いて、異なる動物を違法に掛け合わせる物語や、連続殺人鬼が描いたアートの物語。 そして奇書『ドグラ... -
佐藤青南『犬を盗む』- 殺された資産家老女の愛犬が知る真実とは?
高級住宅街で一人暮らしをしている老女が、何者かに殺害された。 預金通帳や現金が盗まれており、金品目的の犯行かと思われたが、現場には不審な点があった。 犬を飼っている形跡があるのに、その犬がどこにも見当たらないのだ。 まさか犯人は犬も一緒に盗... -
青山文平『やっと訪れた春に』- 藩主殺害の謎と自分のルーツを探る時代劇ミステリー
橋倉藩では、118年前から藩主を本家と分家から交互に出していた。 藩主に仕える近習目付も二人おり、一人は長沢圭史、もう一人は団藤匠。 二人は親友同士で、ともに67歳。 かつて藩に大きな改革をもたらした「鉢花衆」の子孫であり、ともすれば対立しかね... -
笠井潔『煉獄の時』- 消えた手紙と首無し死体の謎を現象学的推理で暴く
1978年、パリ。 大学生のナディアは、高名な哲学者シスモンディから矢吹駆を紹介するよう頼まれた。 35年前に思想家のクレールが彼女に宛てた手紙が消失したため、その謎を解いてほしいというのだ。 「わたしにとって人生の重大事」とのことだが、シスモン... -
詠坂雄二『5A73』- 自殺者たちの体に刻まれた幽霊文字の謎とは
東京都内の地下鉄駅で、30代男性の飛び込みがあった。 遺書らしき文書やホーム内の防犯カメラの映像から、自殺で間違いなさそうだった。 しかし二人の刑事、山本警部と早川警部補が屍体を調べると、不審な点があった。 大腿部にタトゥーシールで「暃」と描... -
芦沢央『夜の道標』- 常識とは?正しさとは?虐待を受ける少年と殺人犯の物語
小学校6年生の波留は、不意に声をかけてきた友人・桜介の目の前で交通事故に遭った。 命に別状はなかったものの、桜介は自分のせいだと落ち込む。 しかし実はこれは事故ではなく、波留はわざと車にはねられたのだった。 なぜなら、実の父親から「当たり屋... -
加納朋子『空をこえて七星のかなた』- 読めばきっと心が洗われる、星が繋ぐ7つの連作短編集
小学校を卒業した翌日、父親に唐突に誘われて石垣島に旅行することになった七星。 去年までは母親も一緒だったが、今は父娘の二人だけ。 あまり気分が乗らない七星だったが、やがて石垣島での意外な人物との出会いから、この旅行の真の意味が明らかになり―... -
奥田英朗『リバー』- 同一犯か模倣犯か、10年前の未解決事件が再び起こる
群馬と栃木の県境にある河川敷で、全裸で両手を縛られている女性の遺体が立て続けに2体発見された。 ここでは10年前にもよく似た連続殺人事件が起こっており、未解決であることから両県の警察は同一犯または模倣犯による犯行を疑う。 さっそく現役の刑事を... -
山沢晴雄『ダミー・プロット』巧妙な替え玉トリックに翻弄される、幻の長編ミステリー
ルポライターの香子は、庁舎勤めの大幹がホテルで女性と一緒にいるところを目撃し、証拠写真を撮って金をせびろうとする。 一方服飾デザイナーの涼子は、自分と顔立ちがそっくりなOLの初子に、替え玉になるよう頼む。 また商社マンの風山は、殺人容疑をか... -
小川哲『地図と拳』- 満州という白地図に描かれた理想と現実を描く大河ミステリー
1899年、軍の通訳として満州に向かった細川は、地元民の話から李家鎮という村に石炭の鉱脈があることを知る。 何もない寒村だったが、調べてみると予想以上に優良な大鉱脈があったことから、日本は人材を集めて開発を始める。 もちろん中国やロシアが黙っ... -
荻堂顕『ループ・オブ・ザ・コード』混迷と絶望の現代を撃つ、弩級の近未来×ハードボイルド
新生国家イグノラビムスで、200名以上の子供たちの発作が同時期に起こった。 身体を固く折り曲げ、意識は混濁、食事を拒否し、どんどん衰弱していく。 WEO(世界生存機関)の職員アルフォンソは、現地調査要員としてイグノラビムスに赴き、この奇病につい... -
櫛木理宇『氷の致死量』- 聖母と呼ばれる女性教師とシリアルキラーの運命が交錯する!
聖ヨキアム学院中等部に赴任した鹿原十和子は、アセクシュアル(無性愛者)だった。 14年前にこの学校で殺害された女性教師・戸川更紗と雰囲気が似ていると言われ続け、十和子は彼女に関心を持つ。 更紗のことを自分と同類のアセクシュアルではないかと感... -
荒木あかね『此の世の果ての殺人』- 人類の滅亡が確定した世界で起こる猟奇的な連続殺人事件
人類は、あと2ヶ月余りで滅亡することになった。 直径7kmを超える小惑星テロスが、地球に衝突すると判明したのだ。 世界中がパニックに陥り、特に衝突地点と予測されている日本の九州地方からはほとんどの人々が逃げ出した。 生き延びる可能性は皆無だが、... -
長浦京『プリンシパル』- 戦後の東京で暴力団組長として死闘を繰り広げた綾女の物語
1945年、終戦後の東京、暴力団「水嶽組」組長が亡くなった。 後継ぎ息子は戦地から帰還しておらず、やむなく幹部会は娘の綾女に組長の代行をさせることに。 綾女は稼業を嫌っていたものの、敵対勢力に子分の一家が惨殺され、幼馴染も瀕死の状態にされたこ... -
米澤穂信『栞と噓の季節』- 本に挟まれていた猛毒の謎を追う、図書委員シリーズ第二弾
高校で図書委員をしている堀川と松倉は、返却された本に栞が挟まれていることに気付く。 可愛らしい押し花をラミネートした栞で、個人の忘れ物のように思われたが、調べるととんでもないことがわかった。 その押し花は、猛毒トリカブトの花だったのだ。 し...