国内ミステリー小説– category –
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門前典之『浮遊封館』-さまざまな謎がやがて一本に繋がるとき、底知れぬ異形の論理が浮かび上がる
『飛行機墜落事故から消えた130人の犠牲者の遺体』 『雪の密室で口から剣を刺されて死んだ男』 『監視者の目の前で次々と人が消える宗教施設』 『身元不明の死体ばかりを選んで集める男』……。 これら4つの別々の事件が、現代において合わさって一つの道筋... -
門前典之『灰王家の怪人』-灰王家で起きた殺人事件、死体消失。時を越え二つの事件が複雑に絡み合う
主人公である鈴木慶四郎は、「己の出生の秘密を知りたくば、山口県鳴女村の灰王家を訪ねよ」という手紙を受け取り、実際に鳴女村を訪れる。 既に廃業していた温泉旅館『灰王館』でのもてなしを受けた彼は、その旅館の座敷廊で十三年前に起きたバラ... -
似鳥鶏『七丁目まで空が象色』- 動物園から象が脱走?壮大なスケールのコミカルミステリー
作家・似鳥鶏(にたどり けい)さんの人気シリーズの一つである、「楓ケ丘動物園シリーズ」の第5弾として発表された本作。 楓ケ丘動物園の飼育員である主人公の桃本は、同僚である七森(ななもり)と服部、獣医の鴇(とき)先生と共に山西市動物公園にやってき... -
『目を見て話せない』-推理はできるけど、会話はできない。「コミュ障」の謎解き学園ミステリー
「コミュ障」。 この言葉を聞いて、あなたはどんな人を想像するでしょうか。 本来は言語症や語音障害など、医学的にコミュニケーションが難しい「コミュニケーション障害」のことを指していました。 しかし、昨今では人見知りで人とのかかわりが苦手な人の... -
結城 真一郎『プロジェクト・インソムニア』-巧緻にして大胆不敵。最高密度のノンストップミステリ!
プロジェクト・インソムニアは、ソムニウム社が極秘に行っている人体実験です。 この実験では年齢や性別、境遇などがまるで違う男女が夢を共有し、夢の中で生活を送るというものです。 被験者に選ばれた主人公たちは、現実では叶わない願いを夢の中で叶え... -
『密室から黒猫を取り出す方法』名探偵・音野順の五つの活躍を収めた短編集、シリーズ第二弾!
臆病者の名探偵が再び事件を解決するシリーズ第二弾です。 「密室から黒猫を取り出す方法」では首吊り自殺に見せかけが殺人事件を、臆病者の名探偵、音野が解決します。密室に迷い込んでしまった猫を犯人はどうやって取り出すのでしょうか? 「人喰いテレ... -
北山猛邦『踊るジョーカー』- 世界一気弱な名探偵、音野順の第一の事件簿。
推理小説家の主人公、白瀬とその友人、音野が次々に事件に巻き込まれ、そして解決していく連作短編集です。 「踊るジョーカー」では父親殺しの疑惑がかけられている依頼人の相談を受け付けます。 依頼人である南斉の父親は地下室に閉じこもりっきりであり... -
米澤穂信『巴里マカロンの謎』-11年ぶりに小市民を目指すふたりが帰ってきた!
高い推理力と周囲の謎への探求心を持ちながらも、謎を解いたことで周囲の反感を買った過去のトラウマから「小市民」を目指す、小鳩常悟朗と小佐内ゆきら高校生の二人組を主人公とした小説シリーズの四作目です。 表題作でもある『巴里マカロンの謎』では、... -
東野圭吾『白鳥とコウモリ』- 新たなる最高傑作!2017年と1984年に起きた二つの事件が複雑に絡み合う
車の中で遺体となって発見された弁護士の白石健介。 警察は、弁護士事務所に電話をかけていた男、倉木達郎に目を付ける。 捜査を進めるうちに、倉木が頻繁に通う小料理屋の店員と深い仲にあるという情報を手にする。 改めて倉木へ話を聞きに行くと、倉木は... -
『放課後探偵団2』一九九〇年代生まれの作家さんによる、書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー
こちらの作品は短編集(アンソロジー)となっていまして、それぞれの作者がそれぞれの味をだしてうまくまとめてくれてあり、いいとこどりのようになっています。 参加してくださった作家さんは、青崎有吾さん、斜線堂有紀さん、武田綾乃さん、辻堂ゆめさん、... -
『ピエタとトランジ』-スリル×サスペンス×友情の、超弩級ガールズ・エンターテイメント!
芥川賞受賞の第一作『おはなしして子ちゃん』に収録され、かなり話題となった衝撃の短編『ピエタとトランジ』が、長篇になって帰ってきました。 『おはなしして子ちゃん』が発売されたときにもこのストーリーはかなり面白い、ぞくっとする、心に残ると言わ... -
西澤保彦『夢魔の牢獄』-タイムリープ・ミステリの金字塔『七回死んだ男』を凌ぐ衝撃作!?
主人公の田附悠成には特殊能力があります。 それは、夢の中で他人の過去を体験できるというものでした。 過去というのは決まって22年前の事件です。 友人の結婚式の日、彼の恩師の義理の息子が殺害されました。 犯人はいまだに捕まっていません。さ... -
『法月綸太郎の消息』-法月綸太郎 VS ホームズ、ポアロ。
新本格派ミステリーの第一人者としても名高い法月綸太郎。 今回は法月先生の代表作でもある人気シリーズの最新刊をご紹介します。 法月先生は推理作家であるエラリー・クイーンの熱狂的大ファン。 そのため第2作『雪密室』から、主人公の探偵役に法... -
『ワトソン力』-主人公と読者がリンクする?他力本願で解決する本格ミステリの詰め合わせ!
大山誠一郎先生と言えば、昨年2020年冬、浜辺美波さんが主演を務めたドラマ「アリバイ崩し承ります」の原作者としても有名なミステリ作家です。 「アリバイ崩し~」は『本格ミステリ・ベスト10』でも1位を記録する作品で、私もドラマを全話見ましたが、割... -
『オレだけが名探偵を知っている』- こんなミステリ見たことない!超個性派で非現実的な作品
林泰広さんという作家を知っていますか? 発売された小説は3冊(2021年3月現在)で、1つ目の単行本発売から2作品目までがなんと15年も開いているという変わった経歴をもつ方です。 その林先生の最新作が『オレだけが名探偵を知っている』です。 実はこの作... -
竹本健治『狐火の辻』-『涙香迷宮』の牧場智久登場!鬼才のサスペンス・ミステリー
IQ208という驚異の頭脳を持つ天才棋士、牧場智久が登場するシリーズの最新作です。 舞台は温泉が有名な神奈川県の湯川原。 この街では最近、交通事故の被害者が忽然と姿を消すという奇妙な事件が何件も起きていました。 被害者が消えたあとには誰かをつけ... -
北森鴻『花の下にて春死なむ』が新装版で登場!客が持ち込む謎を解く連作短編ミステリー
片岡草魚という俳人がひっそりと息を引き取りました。 俳句仲間であった飯島七緒はその死の理由を知るために、彼の故郷を訪れます。(「花の下にて春死なむ」) その他、「家族写真」、「終の棲み家」、「殺人者の赤い手」、「七皿は多すぎる」、「魚の交... -
岡嶋二人『そして扉が閉ざされた』- 新装版が登場!核シェルター内で繰り広げられる推理合戦
主人公である毛利雄一は核シェルターに閉じ込められています。 自分の他にも三人友人たちが閉じ込められていましたが、誰もその理由と脱出方法を知りませんでした。 ですがトイレに三田咲子の写真が張り付けられており、その横に「お前たちが殺した」と書... -
島田荘司『暗闇坂の人喰いの木』- 改訂完全版が登場!オカルトかミステリか、その両方おいしく味わえる超大作
ライターやミュージシャンという異例の経歴を持つ島田先生。 その島田先生の代表作ともいえるのが、『御手洗潔シリーズ』。 今作はその中の長編ミステリ『暗闇坂の人喰いの木』をご紹介します。 島田先生は、デビュー後なかなか賞に恵まれなかったり、自分... -
浅倉秋成『失恋の準備をお願いします』些細な嘘や恋が交差する伏線だらけの恋物語!
日の下町という架空の町を舞台に繰り広げられるさまざまな人間関係を描いた連作短編集です。 告白されたものの断る理由が見つからず、自分は魔法使いだから人間とは付き合えない、と出まかせを言ってしまった女子高生。 さらに種族を超えた愛を誓う男子高...