国内ミステリー小説

首藤瓜於『ブックキーパー 脳男』- 猟奇殺人の謎を追うサスペンスの超大作

あのダークヒーロー・脳男が帰ってきた!

北海道、千葉、長崎で起こった猟奇的な殺人事件。

また愛宕市でも、氷室財閥の当主がボディーガードと共に惨殺された。

異常犯罪のエキスパートである女警視・鵜飼は、これらの事件に繋がりがあると考え、巨漢の茶屋警部を従えて捜査する。

同じ頃、愛宕市で刑事たちが謎の老人を追っていたところ、ある人物に妨害された。

その人物とは、鈴木一郎。

そう、あの天才的な頭脳を持ちながらも心を持っていない「脳男」だ!

鈴木の目的は?そして謎の老人の正体は?

鵜飼と茶屋は、一連の事件に鈴木が関与していると睨むが―。

3作目だが、今作から読んでも問題なし

『ブックキーパー 脳男』は、シリーズ3作目に当たります。

見どころは何といっても、かなり久しぶりの続編という点。

2作目の『指し手の顔 脳男Ⅱ』以来、実に14年ぶりの刊行となります。

待ちわびていたファンにとっては、何が何でも読みたい一冊でしょう!

14年ぶりですが、作中の年月は実は1年しか経過しておらず、鈴木はしっかり現役で超人的な頭脳も健在です。

もちろんシリーズおなじみの巨体の警部・茶屋、そして精神科医の鷲谷真梨子も登場しますよ。

さらに、この2人に輪をかけて魅力的な新ヒロイン・鵜飼縣(うかい あがた)が登場!

彼女を中心に物語が展開していくので、今回初めて脳男シリーズを手に取る方にも入り込みやすい作品となっています。

ストーリーとしては、別々の場所で起こった3つの殺人事件から始まります。

これらには、意外な共通点がありました。

まずは、被害者が3人とも拷問を受けていたこと。

そして、彼らが全員、経歴を詐称していたこと。

さらに、3人が使っていたネットショップのサーバー設置場所が、愛宕市で一致していたこと。

また愛宕市では、氷室財閥の当主が、やはり拷問を受けて殺害されます。

このように不自然な共通点や謎が次から次へと出てくるので、ページをめくるたびにワクワクします。

しかも主な舞台が、あの愛宕市ですからね。

過去のシリーズでも愛宕市では、爆弾魔が現れたり、精神病患者たちに異変が起きたり、ショッキングな事件が続いていました。

今回は一体何が起こり、読み手をどれほど震撼させるのか。

600ページを超える大ボリュームの中に、期待を裏切らないサスペンスが、ぎっしりと詰まっています!

キャラクターの描き込みがすごい

『ブックキーパー 脳男』の見どころとして外せないのが、若き女警視・鵜飼縣の魅力です。

このキャラクター、斬新で面白味が抜群です!

まず、20代という若さで警視にまで昇格したという超エリート。

これだけでもカッコイイのですが、専門はなんと異常犯罪で、これまたミステリー好きには興味をそそる分野です。

性格もぶっ飛んでいて、立場や権力を全く気にせず、どんな相手に対しても堂々と(あるいはズケズケと)話をします。

さらにファッションも独特で、ゴスロリだったり、スカジャン+ダメージジーンズだったりと、およそ警察官とは思えない服装ばかり。

ちなみに髪は、長い金髪のウィッグ。

これだけ破天荒でありながら、彼女はとにかく優秀で、頭脳明晰です。

特に洞察力に優れていて、誰も気づかないような部分を暴きながら、ストーリーをどんどん進めていくのです。

豪快で爽快感のある、目の離せないヒロインですよ。

また『ブックキーパー 脳男』には、他にも多くのキャラクターが登場します。

チョイ役も含めると、その数なんと60人以上!

さらに、本筋の合間にちょっとしたエピソードも挟まれていて、これがまた興味深い。

特にインパクトがあったのは、サンドイッチのエピソードです。

あのたまらなくおいしそうな描写といい、作り手のおじいさんといい、先のことが地味に気になって後を引くエピソードです。

なにせ600ページを超える大作ですから、ストーリーの深みはもちろんですが、キャラクターなど細かな描き込みもかなりのもの!

隅々までとことん味わえるので、長くじっくり読書を楽しみたい方にはダントツでおすすめの一冊です。

圧倒的なパワーで一気に読ませる

もしかしたら、読む前に

「14年ぶりだから、前の話を忘れた」

「ページ数が多いから、複雑そう…」

といった不安を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

が、断言します。

『ブックキーパー 脳男』は、そんな不安を吹き飛ばす面白さです!

いやもう、とにかくパワーがすごいです。

予測のつかない事態が次々に起こり、魅力的なキャラクターたちが話をガンガン進めていくのです。

読み始めたが最後、謎が渦巻く脳男の世界にグイグイと引きずり込まれていきますよ。

この怒涛の面白さには、前作のあやふやな記憶やページ数の多さは全く関係ありません。

流れに身を任せるように、最後まで一気に読んでしまえる作品です。

今作では、脳男こと鈴木の出番は少ないので、そこを少し残念に思う読者もいるかもしれません。

しかしその分、ヒロインの鵜飼縣がかなり頑張ってくれていますし、出番こそ少ないものの物語のキーパーソンとなっているのは一貫して鈴木です。

姿があまり見えないからこそ、どう暗躍しているのかが気になるというおいしい役どころだったりします。

気になると言えば、『ブックキーパー 脳男』は終盤がかなり気になる展開になっています。

ある人物の逃亡、真梨子の出生の秘密、ガーディアンエンジェルの存在などなど、新たなドラマが始まる予感でいっぱいです。

次回作がいつ刊行されるか見当もつかないのですが

「少しでも早く読みたい!」

と熱望する読者はかなり多いのではないでしょうか。

次は14年も待たずに済むことを願いながら、楽しみにしていましょう!

ABOUT ME
anpo39
年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)
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