ポール・アルテ『あやかしの裏通り』-ロンドンの濃霧に包まれた怪現象と奇妙な殺人の真相とは

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フランスの推理作家、ポール・アルテによるシリーズ作品「オーウェン・バーンズシリーズ」。

そのうちの一つがこの「あやかしの裏通り」です。

この物語は、ロンドンが舞台。

霧の中から不意に現れ、そして忽然と消えてしまう道がありました。その不思議な道こそが「あやかしの裏通り」です。

そこは時空が歪んでいて、ひとたび迷い込んでしまえば過去や未来の幻影を目の当たりにしてしまうのだそう。

そして時にはそのまま裏通りに呑み込まれて行方知らずになってしまう……。

ある晩、名探偵オーウェン・バーンズのもとに駆け込んだ旧友ラルフ・ティアニーは、まさに今「あやかしの裏通り」から逃げかえってきたのだと主張します。

さらには、そこで「奇妙な殺人」を目撃したと言います。

謎だらけの怪事件に、オーウェンはどのように挑むのか……!?

目次

作者の実体験を基にした、本格ミステリー!

登場人物の要である主人公のオーウェンの本業は、名探偵ではなく美術評論家。

探偵としての活躍のなかにも、美しいものへの心遣いが現れるシーンがあります。

命がけでそれを守るシーンもあるのですが、そこも物語の見どころの一つであり、オーウェンの人間性の魅力ともいえるかもしれませんね。

謎解き推理については、読書家の方は読みながらホームズやポアロを思い浮かべるかもしれません。

不可思議な事件を、どのように解決していくのか、ドキドキしながら読める作品になっています!

犯人の巧妙な手口も然り、本格派ミステリーで得られる驚天動地の感覚を、この作品でも十二分に味わえるでしょう。

またそれだけでなく、ロンドンらしい、雨と霧がベールのように包むこの物語。姿が消えたりする裏通りということでオカルト的な雰囲気も持ち合わせています。

不可解現象をトリックに使うこの物語には、ただのミステリー小説よりも楽しめる要素も持ち合わせているともいえるでしょう!

舞台や現象も楽しめる設定ですが、ミステリーの本質でもある不可能犯罪への道筋も、もちろん見どころです!

意外な真犯人が最後に暴かれるときの快感。それを想像以上にその感覚をもたらしてくれるはず。

作風としても重苦しくないので、読みやすさという点もこの作品の良いところの一つだと思います。

長編とはいえ、やや短めの分量ですので、読む時間もあまりかけずにこの怪事件を楽しめます!

また、なんとこの作品に出てくる怪事件の基になったのは、作者のアルテ自身の実体験だといいます!

作者が撮影した、体験の地の写真をスケッチ風にした絵を収録もされています。

練られた設定の時代と、謎。

フランスの推理作家、ポール・アルテによる、イギリスが舞台のこの作品。

設定の時代がホームズとワトソンの活躍の時代とも近いのも、読みながら楽しめる情報かもしれません。

また、ポール・アルテはトリッキーな作風とも知られています。

そんなユニークさを持ち合わせた本格派ミステリーのファンの方には魅力的な作品になるでしょう。

名探偵オーウェン・バーンズシリーズは、この作品が初の日本語訳として上陸した作品です。

前回アルテの日本画訳が上陸してから、8年ぶりの新訳です。

ファンの方はご存じかもしれませんが、ポール・アルテは「フランスのジョン・ディクスン・カー」なんて異名も持っています。

物語が先に進むにつれ、謎がさらに膨らんでいき、それを一掃するように解決するのはまさにブラボー。

この作者の作品を読むのはこれが初めてだという方にも、もちろん楽しめる物語となっています。

長く愛されるこのシリーズを是非楽しんでください!

はたして「奇妙な殺人」とはどんな事件になっていくのか、「あやかしの裏通り」とは一体なんなのか、幻想的で不可思議な事件の真相とは……。

見どころが詰まったこの作品、是非一度は読んで楽しんでいただきたい1冊です!

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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