ブラックユーモアな短編&ショートショートといえばこの方、阿刀田高(あとうだたかし)さんです。
ゾクリとする読後感を残す「奇妙な味」の名手としても有名。
今回はそんな阿刀田さんの数多くある作品の中で、これを読んでおけば間違いない!という、とにかく面白い作品集を厳選しました。
星新一さんのショートショートをほぼ全部読んでしまい、途方にくれていた私を救ってくれた阿刀田さん。
星さんとは絶妙に違うスパイスある短編ばかりで、見事にどハマりしました。
・星新一さんのようなショートショートが好き
・「奇妙な味」が好き
・ブラックユーモアのあるお話が好き
・ゾクっとするようなオチが好き
などの方はぜひ読んでみてください。
一度ハマっちゃうと抜け出せなくなっちゃいますよ〜(´∀`*)
関連記事
・何から読むべき?星新一さんのおすすめ名作10選【ショートショート】
1.『冷蔵庫より愛をこめて』
この作品を読まずして、阿刀田高さんは語れません。
阿刀田さんの代表作にして最高傑作候補。
奇妙な味であり、ミステリのようであり、ブラックユーモアたっぷりでスパイスの効いた物語が18編。
どの話も予想外の角度からゾクッとオチをつけてくる。アイデアが凄すぎるんですよねえ。
そのアイデアを奇抜なオチまで持っていく話運びも完璧。
表題作ほか、「趣味を持つ女」「幸福通信」「わたし食べる人」「エネルギーの法則」「ギャンブル狂婦人」辺りは特に優れた短編。
唯一の難点は手に入りにくいこと。古本屋さんなどで見かけたら即買いしましょう。
2.『ナポレオン狂』
これも阿刀田さんの代表作にして最高傑作候補。
初めて阿刀田さんを読むのであれば、『冷蔵庫より愛をこめて』と『ナポレオン狂』をおすすめします。
最高としか言いようがないブラックな後味。表題作「ナポレオン狂」と「来訪者」、「サン・ジェルマン伯爵考」「甲虫の遁走曲」などが特に好き。
短く、シンプルに、強烈な後味を残す。そんなお話が13編。
短い物語の中でこれだけ引き込ませ、ゾクッとするオチを決める構成はまさに神の成せる技。この「ゾクッ」が病みつきになるんです。
『冷蔵庫』と『ナポレオン』。この二冊を読んでしまったらもう阿刀田ワールドの虜になること間違いなし。
3.『食べられた男』
初期の頃の傑作集。
『冷蔵庫』と『ナポレオン』が好みなら読んで間違いなし。
ブラックがスパイスが効いたショートショートが41編。
やはりこの頃のショートショートが一番ノリノリです。
親友のS君が、ゾッとするほどの美人と結婚した。そして一ヵ月、S君の足に、最初の変化が現れた―。どこにでもいそうな人、いつでも起こりそうな出来事、そんな日常の風景が少しだけ捻れた時、静かに恐怖が忍び寄る。
と、あらすじの通り、「どこにでもありそうな日常の中に潜む恐怖」の描き方が本当にうまい。
ゾッとするオチが来るんだろうなあ、とわかっていても予想できない「ゾッ」をしてくれるから好きです。
あとがきで『ショートショートというジャンルは星新一で始まり星新一の死とともに終わった』と述べられていますが、私にとっては阿刀田さんもショートショートの神です。
星さんも阿刀田さんもそれぞれの味がある。同じショートショートでも、種類が全く違う。だからいい。
4.『だれかに似た人』
これも初期の方の作品。 10編。
短編の名手の名にふさわしいキレのある作品が揃っています。
ホラーのようでミステリのようで不思議な、でもどこかでありそうなブラックなお話。阿刀田さんのお得意のやつです。
男女の関係を描いたものが多く、この独特の「不気味さ」は阿刀田さんにしかかけない。
お気に入りは『奇談パーティ』。
5.『黒い回廊』
「阿刀田高傑作短編集」とある通り、数多くの作品の中から傑作ばかりを集めた短編集。
わかっちゃいるけど「上手いなあ」と思わせる物語ばかり。
何気ない日常に恐怖を潜ませるのが抜群にうまくて、普段私たちが生きているこの日常にも、常に恐怖が潜んでいるんだと想像させる。
ホラーと言っても「人間が怖い」系の話で、どんより怖いのではなく、ピリッとした絶妙な後味がたまらないのです。
オチがわかっていても何度でも楽しめるから不思議。
マイベストは「夜のアスパラガス」。
6.『青い罠』
続いても「阿刀田高傑作短編集」。
アイデアそのものも面白いし、そのアイデアを最大限に活かすのが阿刀田さんのすごいところ。
ラスト数行でのどんでん返しはいつ読んでもゾクッとするし、ニヤリともさせられてしまう。
「危険な絵本」がベストかな。
ブラックユーモアがすごい!というより、「良質な短編集」としてオススメ。
7.『こんな話を聞いた』
すべて『こんな話を聞いた』から始まる短編が18つ。
星さんの『ノックの音が (新潮文庫)』を彷彿とさせますね。
冒頭に奇妙なエピソードが挿入され、続いて本編へと繋がっていく構成。
相変わらずラストにゾクッとさせるのが上手く、語り口もいい。
『ナポレオン狂』や『冷蔵庫』に比べると、ブラック感は控えめ。
とはいえ「短編の名手」と呼ばれるにふさわしいお話ばかりで、話運びの巧さが光る。
マイベストは「骨細工」。この一編は、阿刀田さんの短編の中でもトップクラス。
おわりに
以上が阿刀田高さんのおすすめベスト7です。
この7作品を読んですっかり阿刀田ワールドにハマってしまったら、
次点で
などがおすすめです。
またエッセイの『恐怖コレクション (新潮文庫)』も面白いので、ご一緒にお手にとってみてください。
ただどれも古い作品なので、なかなか手に入りにくいのが難点です。電子書籍化してないのも多いし。電子書籍化してたらチャンスです。
いつか「阿刀田高さん復刊祭り!」みたいのやってくれませんかねえ。


はじめまして!anpo39さんのブログはいつも楽しく拝見させていただいています。
好きな作家さんは、辻村深月さんや恩田陸さんです。しかし、既出の作品はすべて読んでしまい、次に読む作品で悩んでいるときに、ampo39さんのブログで知った「奇妙な味」の作品にハマりました。
今回、紹介されている作品もどれも気になるものばかりでした。いつも魅力的な作品と出会わせていただき、ありがとうございます。
ひつじさんはじめまして!
いつも見ていただけているようで、大変嬉しいです。本当にありがとうございます(゚ノ∀`゚)
「奇妙な味」にハマっていただけたのですね!良いですよねえ奇妙な味。わたしも大好きなんです。
ゾクリともヒヤリともどこか違うようなあの読後感。。くせになっちゃいますよね。
ひつじさんのお役に立てて嬉しいです。ぜひ阿刀田さんの世界観にハマっちゃってください!(*´∀`*)