2021本格ミステリランキング・ベスト10紹介【国内編】

さて、遅くなってしまいましたが、2021年版本格ミステリランキング・ベスト10の紹介です。

毎年の事ながら、このミスとの違いも楽しいですよね。

どうぞ参考にしてみてくださいな(*’▽’*)

 

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2021本格ミステリランキング・ベスト10紹介【海外編】

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【2021年版/国内編】このミステリーがすごい!ベスト10紹介【このミス】 【2021年版/海外編】このミステリーがすごい!ベスト10紹介【このミス】

1.阿津川 辰海『透明人間は密室に潜む』

4作品からなる短編集です。

SF、法廷もの、探偵もの、脱出ゲームもの…とどの作品も違った視点から書かれていて、さらに全て独特の設定の上に構成されているので、飽きることなく読み進めることができます。

表題『透明人間は密室に潜む』は、透明人間が存在するという世界で進む物語です。

透明人間ならどんな犯罪もおかせそうですが、実際はそうではないという世界観は、非現実的であるにも関わらず非常に現実的に描かれています。

無茶なように見える設定でも、王道と言えるような本格推理小説となっているのが阿津川氏らしさでしょうか。

現実という枠組みを逸脱しながらも、物語を緻密かつ綺麗にまとめる術はさすがです。

短編ということで物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、阿津川作品を読んだことのない人は是非読んでみてください。

きっと、その魅力に気づくことになるでしょう。

2.櫻田 智也『蝉かえる』

主人公はエリ沢泉、昆虫好きの「とぼけた切れ者」と云われる名探偵。

今回は、虫に関わるミステリーの短編5編となっています。虫好きのエリ沢のうんちくと、謎解きが絡まる部分が非常に面白さを感じます。

登場人物は悲哀と愛に満ちており、事件が解決する頃にはなんだか物寂しい気持ちになります。

表題作の『蝉かえる』では、冒頭主人公不在のまま物語が進んでいき、普通のミステリー小説のように探偵主体で進んでいくわけではありませんが、いつの間にかそこにいてあっという間に物語を支配していくエリ沢の存在感に恐ろしさを覚えます。

事件の真相が解き明かされた時に感じるゾクっと感を味わうために、また読みたくなるでしょう。

どの話も一つ一つ丁寧に描かれており、登場人物それぞれの魅力が光る短編集です。

前作『サーチライトと誘蛾灯』を読まれた方は、エリ沢の人間らしさと深みを新たに感じることができる作品となっているので、是非おススメです。

3.白井智之『名探偵のはらわた』

昭和に実際に起きた凶悪事件をモチーフにした4編の連作短編集です。

過去の凶悪犯たちが鬼として現代に転生し人をたくさん殺していきますが、思ったよりもグロテスクさは薄く、それよりも鬼を見つけ出すためのロジックがしっかりしていて、しっかり読み込むことが必要となります。

一人の探偵が通しで事件を解決していくわけではなく、また特殊な設定ゆえに現実離れした部分もありますが、物語の締めくくりは唸るほどの出来です。

ファンタジックな要素を盛り込みつつも、内容は本格ミステリー。

この作品を読んでから実際の凶悪事件を調べるのもありだと思いますが、事前に調べてから読むことでより物語の魅力に迫ることができます。

特殊な本格ミステリーを楽しみたい方におススメです。

4.斜線堂 有紀『楽園とは探偵の不在なり』

天使という生き物が存在する、特殊な設定の世界で繰り広げられるミステリーです。

天使はある時唐突に現われ、それをきっかけに2人以上の人間を殺すと地獄に引きずり込まれるという世界になってしまいます。

そんな世界ですから、当然殺人など起こるはずもない、誰もがそう思っていました。

主人公の探偵青岸は、実業家常木の依頼を受けて常世島という天使がたくさんいる島に赴くことになります。

島には個性豊かな登場人物たちがズラリ。そこで連続殺人事件が起こります。

さて、こんな世界でどうして連続殺人事件が起きたのか、犯人は一体なぜ殺人を犯したのか…。

現実離れした世界観ではありますが、ゴテゴテした設定はなく、話の中でその世界にすんなり入っていけるようになっています。

悲しく切ない最後に、読み終わった後は誰もが息を漏らすでしょう。

5.辻 真先『たかが殺人じゃないか』

戦後日本の混乱の中で人間そのものを描く本格派ミステリーです。

著者本人が体験したと言われている戦後日本の悲しくも新しい時代をそのまま描写したような作品で、読んだ後は何とも言えない哀しさが残されます。

現代では想像すら難しいですが、男女共学が開始されながらも、男尊女卑の思想が当たり前の時代に、いくつか起きる殺人事件が絡み合って物語は進んでいきます。

主人公たちは、旧制中学を卒業したものの新制度のために高等学校に1年だけ通うことなった高校生4人。

彼らは顧問の先生と一緒に、修学旅行に出かけます。なんとそこで、密室殺人事件が起きてしまうのでした。

著者は88歳という年齢でありながら、誰もが読みやすい文体で書かれているのが魅力の一つです。

時代設定は確かに古いですが、人間の尊さそして哀しさ、当時の人たちに馳せる想いを噛みしめながら、物語にのめり込むことのできる作品です。

6.大山誠一郎『ワトソン力』

「ワトソン力」、それは周囲の人間の推理能力を高める不思議な力。

この力を持つ刑事によって、物語ではたくさんの名探偵で彩られていきます。

7話で構成される本作品では、ワトソン力を使って周囲の人間を名探偵に仕立てつつも、主人公和戸によって解決に導かれていきます。

ただし、本人の推理力は上がりません。そこがまた世界観をより面白く引き立てています。

本格推理小説でありながら、水を飲むようにスイスイと読めてしまうような軽快さが魅力です。

普段はあまり推理小説を読まないという人も、この作品ならサラッと読めてしまうでしょう。

登場人物たちの推理合戦が面白くて、何度も読み返してしまう作品です。

一見すると、たくさんの登場人物がわちゃわちゃしていて、わかりにくいのかと思いますが、想像に反してスッキリしている上に非常に丁寧に描かれています。

7.深木章子『欺瞞の殺意』

無実であるにも関わらず罪を認めて服役した主人公が、仮釈放後、事件の真相を明らかにするために関係者と手紙のやりとりをしていきます。

事件はそこから42年前、名家である楡家で起きます。

楡伊一郎の法要が終わり、伊一郎の長女澤子と既に亡くなった長男の息子である芳雄が毒殺されたのです。

芳雄はヒ素入りのチョコレートを食べたことで亡くなったことが判明し、その場にいた治重のポケットからチョコレートの包み紙が見つかったことから、彼が犯人とされたのです。

治重はなぜ、無実でありながら罪を認めたのでしょうか?

手紙のやりとりという形で物語が進んでいく中で、楡家の人々の関係や愛憎が明らかになっていき、推理を楽しみながら昼ドラマを観ているような感覚になります。

事件の真相が明らかになった時、真犯人の思惑と執念に背筋が凍るような気持ちを覚えます。

8.芦辺 拓『鶴屋南北の殺人』

鶴屋南北は歌舞伎役者や作者の名跡として受け継がれてきた名前。

この鶴屋南北の未発表作品をもとにした新作劇に関わった人々が殺されていく連続殺人事件が起きます。

本作は、森江春策シリーズの24作目の最新作となっています。

1作目は1990年に刊行された『殺人喜劇13人』で、そこから30年も続き人気シリーズとなっています。

本作は歌舞伎に関わる内容なので、歌舞伎について全く知らないで読むと少し難しく感じるところもあるかもしれません。

その部分とミステリー部分が絡まると、さらにわからなくなってしまう人も少なくはないでしょう。

時間をかけてゆっくり読み進めていくと、何重にも張り巡らされた仕掛けに気づくことでしょう。その時、また読み直したくなること間違いなしです。

9.五十嵐律人『法廷遊戯』

ロースクールに通う主人公たちが行う「無辜(むこ)ゲーム」。

それは、裁判を模したゲームで人を断罪するというもの。

同害報復という理念で、犯した罪をそのまま罰として与えることを正義に掲げたこのゲームは、ロースクールの最終学年21人の学生によって行われていました。

最初はゲームとして行っていた裁判が、ある事件をきっかけに一人が死に、裁く者と裁かれる者へと変わっていきます。

作者が、本物の法曹生である特性から専門用語が飛び交い、少し難しさを感じる部分もあります。

さらに、一般人には理解しにくいような、高尚な理念や理屈に頭が痛くなる部分もあるでしょう。

しかし、そうした少しの難しさを乗り越えると、物語としては想像に反してスッと心に入ってくるので驚きです。

正義とは何か、罪と罰とは何なのかを改めて考えさせられると共に、緻密に練り上げられたミステリー小説としての面白さが光る作品です。

10.門前 典之『エンデンジャード・トリック』

蜘蛛手啓司シリーズの5作目作品となります。

舞台は、百白荘という館。日本家屋建築となっているこの館はいわくつきで、以前転落死と首つり死があったことが知られています。

ここで、また新たな密室殺人事件が起きます。

シリーズものなので、前作を知らずに読むと登場人物のキャラがよくわからないということはあると思いますが、物語はまさに本格ミステリー。

実はこの館、〇〇なんです!なんともすごい大仕掛けで、見取り図などをもとにそのトンデモトリックを推理しながら読み進めるのが非常に楽しい作品です。

最後は、犯行の動機に目玉が飛び出るほど驚くことでしょう。

本格派ミステリーながらも、フフフっと笑ってしまうギャグ要素などもあり、眉間にしわを寄せながら読むような難しさは感じません。

 

以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございました(*’▽’*)

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2 COMMENTS

アンタモスキネ

始めまして。
とても文章が分かりやすく、読んでいると次読む作品が楽しみになってくるので参考にさせて頂いております。いつもありがとうございます!

私事ですが、最近「吉田恭教」さんの作品にどハマりしているのですが、anpo39様の紹介ページがあれば是非読んでみたいです!

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anpo39

アンタモスキネさんはじめまして!
嬉しいコメントありがとうございます!
参考にしていただければ嬉しいです(*゚∀゚*)

すみません、吉田恭教さんの紹介記事はまだ作っていないのです、、、
書きたいとは思っているので、完成までお待ちいただければと思います、すみません!

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