2020年はこのミステリーがすごい面白かった!私のベスト15

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2020年もたくさんの小説を読ませていただきました。

今回はその中で、特に面白いと感じた国内ミステリー小説をベスト15にまで絞ったのでご紹介させてください。

「このミステリーがすごい!」の自分版のようなものです。

参考にしていただけたら嬉しいです。

 

本家2021年版このミステリーがすごい!はこちら

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目次

1.アンソニー・ホロヴィッツ『その裁きは死』

やはり今年の目玉といえばこの作品でしょう。

『2021年版このミステリーがすごい!』海外編の一位。前作『メインテーマは殺人』に続くホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ二作目です。

事件現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた謎の数字“182”。被害者が殺される直前に残した奇妙な言葉。はたして真相は。

ここ最近の海外ミステリ作家さんの中で最もノリに乗っていて、作風も私のドストライク。しかもまだシリーズ二作目なので、今後もさらに楽しみです。

フェアプレイ精神に満ちた極上の犯人当てミステリであり、新しくもありつつ古典的な風味を残した傑作。

謎解きや張り巡らされた伏線をきれいに回収していく古き良き推理小説が好きな人は絶対にハマってしまう一冊です。

2.阿津川 辰海『透明人間は密室に潜む』

SF、裁判、探偵、脱出と、バラエティに富んだ4つの短編が収められた作品集。

一風変わったシチュエーションの面白さも勿論、どれもキレのあるロジックで楽しませてくれます。

表題作『透明人間は密室に潜む』は透明人間がいる世界での犯罪を描く特殊ミステリ。非常に発想が面白い一編です。

私が一番面白いと感じたのは『六人の熱狂する日本人』という短編。

六人の裁判員全員がオタクで、オタクの起こした犯罪を審理するとしたらどうなるのか、と馬鹿馬鹿しい短編に見えてミステリとしてしっかり面白く、オチまで見事な心に残る作品でした。

3.斜線堂 有紀『楽園とは探偵の不在なり』

二人以上殺した者は“天使”によって即座に地獄に堕とされるようになった世界での殺人事件を描く。

この設定が非常に面白く、うまく推理に組み込まれていて、なるほど、と思いました。

二人以上殺した者は“天使”によって地獄に堕とされるはずなのに、なぜ連続殺人が起こるのか。犯人はどうやってこの世界で連続殺人を行ったのか……。非常に魅力的な謎ですね。

特殊な設定ですが、閉鎖された孤島、館が舞台となっていて、本格ミステリが好きなら読んで間違いなく楽しめる作品です。

この世界設定だからこそのまさかの真相に驚愕してしまうでしょう。

4.門前 典之『エンデンジャード・トリック』

最高のバカミス(そんなバカな!というトリック)『屍(し)の命題』の著者・門前 典之さんによる、これまた素晴らしいバカミス(褒め言葉です)!

トンデモトリックを駆使し、大胆な仕掛けとまさかの真相が待ち受ける本格ド直球の力作となっており、「そんなバカな!」と叫びたくなるミステリが好きな人間にとっては最高の作品です。

初期の島田荘司作品が好きならきっとハマってしまうでしょう。

『愛読者への挑戦状』もありますが、このトリックを見破れる人なんていない。

5.M・W・クレイヴン 『ストーンサークルの殺人』

ゴールド・ダガー受賞作。つまりはめっちゃ面白いってことね。

カンブリア州のストーンサークルで次々と焼死体が発見された。

三番目の死体にはなぜか停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーの名前と「5」と思しき字が刻み付けられていた……。

あらゆる所に張り巡らされた伏線を回収していく終盤、非常に練られて最後まで飽きさせないストーリー展開、二転三転するラスト、と大満足でした。

またキャラクターもいい。ゆっくり読もうと思っていたけれど中盤以降から手が止まらなくなり一気読みしてしまった。

本家このミスでは21位以下でしたが、私のなかではTOP10に入ります。

6.綾辻行人『Another 2001』

Anotherファン待望の続編。

多くの犠牲者が出た1998年度の“災厄”から3年後を描く、ファンにはたまらない一冊です。

もともとAnotherは大好きな作品だったのでハードルが上がってしまい、読む前はドキドキでしたが、今作も文句なしに面白かったです。良かった〜。

約800ページの分厚めの作品ですが、かなり読みやすいのでサクサク一気読みできるのが嬉しい。

この作品を読むにあたっては、『Another』『Another エピソードS』を読んでいる必要があります。未読の方はこの機会にぜひ。

7.米澤穂信『巴里マカロンの謎』

米澤穂信さんによる「小市民」シリーズの四作目。前作の『秋期限定栗きんとん事件』から11年ぶりのシリーズ続編です。

高校生の小鳩君と小佐内さんが日常の些細な謎を解いていく日常ミステリ。と言っても謎解きはかなり本格的で、物足りなさを感じることはありません。

小市民シリーズ好きとしては続編が読めるだけでありがたいです。

収録された4編のどれも面白いですが、一番のお気に入りは「伯林あげぱんの謎」。

8.大山誠一郎『ワトソン力』

自分の近くにいる人の推理力を高める、という能力「ワトソン力」を持つ男が主人公の連作短編集。

その能力によって事件の関係者が推理合戦する、という面白い設定の作品です。

本格ミステリの魅力をコンパクトに凝縮した一冊、という感じでサクサクと気軽に本格ミステリを味わえます。

収録短編が全て推理合戦もので、読んでいて非常に楽しい。どれも二転三転する展開で、短編ならではのキレの良い物語が詰まっています。

9.櫻田 智也『蝉かえる』

2013年『サーチライトと誘蛾灯』で第10回ミステリーズ!新人賞を受賞した櫻田 智也さんの作品。

チェスタトンのブラウン神父や、泡坂妻夫氏の亜愛一郎を彷彿とさせる昆虫好きの青年・魞沢泉が、昆虫学的かつロジカルに不思議な事件を解決していく連作短編集です。

表題作と『ホタル計画』がミステリ的に最高に面白いし、どの短編も綺麗にアッと言わせてくれる展開があって全体的にかなりクオリティの高い一冊です。

2021年版このミステリーがすごい!でトップ10に入ると思っていましたが、結果は11位でした。おしい!

10.柄刀 一『ジョン・ディクスン・カーの最終定理』

ジョン・ディクスン・カーが挑み、見事謎を解き明かしたもののその真相はなぜか失われている、第二次世界大戦前夜のロンドンで起きた超常的犯罪。

それは「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれていた。

やがて、世紀を超えて日本にもたらされたこの謎に挑むべく集まった学生たちは、新たな“不可能犯罪”に直面する。

短編「ジョン・D・カーの最終定理」を完全改稿し長編化した作品です。

カーが残した2つの事件と、謎解きに挑む学生たちに起きる実際の不可能殺人の、パズルがカチッカチッとハマっていく感じが最高。

カーの作品を読み込んでいる人間にとってはたまらない一冊です。カー愛に満ち溢れている。

11.白井智之『名探偵のはらわた』

地獄から過去の凶悪犯が蘇り、現代でまた犯行を重ねる。凶悪犯を地獄に送り返すために、名探偵が立ち向かう。

殺人鬼が蘇る、という特殊な世界でのミステリは白井さんならでは。

しかもその特殊な設定を十分に生かしつつも「謎解き」は実にロジカル。

白井さんの持ち味であるグロテスクな面は今回はやや控えめで、ミステリ的なロジックが上手く配置されていて面白かった。

張り巡らされた伏線を華麗に回収していき、パズルのピースがひとつずつはまっていくような快感を味わえます。特殊な設定とはいえ、これはやはり本格推理小説なのだ!

12.五十嵐律人『法廷遊戯』

司法修習生である五十嵐律人さんのデビュー作。

実に上手いトリックに脱帽、二転三転するどんでん返しも最高。

法律用語がバンバンが出てくるので少し読みづらいところもあったけど、ストーリーの意外な展開にワクワクがとまりません。

アッと驚きたい人にかなりオススメです。

読後感は……賛否あるかも?

13.若竹 七海『不穏な眠り』

ミステリー本屋の店員であり、探偵の調査員である葉村が活躍する、不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ。表題作を含む4篇からなる短編集。

今回も相変わらずおかしな事件に巻き込まれ大変なことに……。

このシリーズは本当に毎回安定して面白いですね。

後味がビターでなんとも言えず、クセになります。

どの短編も面白いけど、「水沫隠れの日々」が抜群。

14.ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』

ある事件の疑いの目をかけられた、幼少期から湿地で独り生きてきた少女カイアの物語。

題材としているテーマには、貧困や孤独、差別といったとてもポジティブな解釈はできないものが多く使われていますが、しっかりと読者を世界に引きこむ内容で一気読みさせられてしいます。

一人の青年の不可解な死のハウダニットミステリであり、緊張感溢れる法廷ミステリであり、孤独な少女の成長記録でもありグイグイ読まされる。

そして最後、まさかの真相が待ち受けるのです。

ああ、と思わず息を飲んでしまう。読んで良かったと思える傑作でした。

15.芦辺 拓『鶴屋南北の殺人』

森江春策シリーズの最新刊。

ロンドンで見つかった鶴屋南北の未発表作品をめぐる不可解な見立ての連続死、そして「南北の作品」自体に秘められた謎を森江が解明する。

とにかく難解、というか読み応えがすごい。読みやすいとは言いにくいですが、「すごい作品を読んだなあ」という読後感になります。

芦辺 拓さんが相当に力を入れて書いたのがひしひしと伝わってくる大作です。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

コメント

コメント一覧 (7件)

  • 門前さんのこれは読んた事がないんですが、またanpoさんのせいで読まざるをえない一冊に….w

    初期のトンデモというと、斜め屋敷などをイメージすればいいのかな? 最近そういう(いい意味で)バカバカしいのってあまりないですよね くそう… 早く読まなければ…( ˙-˙ )

    • こはるさんありがとうございます笑
      そうなんですよね、最近こういう大掛かりなトリックの作品あまり見かけないので、門前さんは本当にありがたいです( ´∀`)

  • 私は気軽に本屋で本を探すことができない海外在住なので、anpo39さんからの情報をとても頼りにしています。ベスト15のものは何一つ読んでいませんが、15冊どれも気になりますね。

    • リエさんこんにちは!
      海外在住とはすごいです、いいですね〜
      はい、どれも面白い作品なので、もし機会があれば読んでみてくださいな(*゚∀゚*)

  • うわ…一つも読んでないや…
    個人的には白井さんは文庫化された3冊を読んで、お気に入りです。気になります。(設定がブッ飛んでるのに、その設定あってのちゃんとしたミステリーになっていて…)

    で、余談ですが…管理人さまも何度か取り上げていらっしゃる小林泰三さんの特集をお願いしたいです。先日小林さんの訃報を知りショックを受けました…そんな意味合いも含め…よろしければお願いいたします。

    • 手持ち豚さん。さんこんにちは(*’ω’*)
      白井さんの文庫化された3冊を読んで気に入っていただけたなら、今回の作品もきっと気に入っていただけると思います!
      白井さんらしさがよく出ていて良いですよ〜。

      そうなんですよね、小林泰三さんのことは私もショックを受けました。好きな作品がかなりあったので……。
      ご希望ありがとうございます、ちょっと時間がかかるかもしれないのですが、特集させていただきたいと思います!

      • ありがとうございます。
        お時間がある際、ごゆるりとお願いします。のんびりとお待ちしております。
        小林さんの本はこれまで7~8冊くらい読んで、未読のものも4~5冊抱えているので、わたくしもコツコツ読んでいこうと思っています。

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