2016年10月に発刊された沖方丁さんの「十二人の死にたい子どもたち」が文庫化しました。
2017年の漫画化を経て、2019年にはいよいよ映画化も決まり、再び注目を集めています。
本日は、読書ファンも映画を見ようと思っている方も、事前に知っておきたい作品の魅力について、お伝えしていきましょう。
『十二人の死にたい子どもたち』のあらすじ
この物語は、自殺したいと考えている未成年たちが主人公です。
「一緒に安楽死しましょう」
という魅惑的な言葉を前に、選ばれた12名が指定の廃病院へと集います。
「死にたいけれど、痛いのや怖いのは嫌」
という気持ちはよく分かりますので、リアルであった場合もこの誘いには乗ってしまう人間が少なくないでしょうね。
「インターネットを介している」「自殺」「面識のない相手」といったキーワードからは、20年前のドクターキリコ事件も思い出されます。
さて、この集まった12人なのですが、指定された場所へ着いてみると、そこにいるのは何故か13人。しかも1人はすでに死んでいたという状況。
「どなたか、あの方を……あそこで僕が使うはずのベッドにいる方をご存知の方は、いらっしゃいませんか?」
P.70より
この1人は自殺なのか他殺なのか、なぜこの場所にいるのか、事件だとしたらこのまま集団自殺を決行しても良いのか、という物語の流れで、子どもたちによる犯人捜しが始まっていきます。
少年少女たちは議論を始める
面白くなって来ましたね。
十二人しか集まらないはずの場所に行ったら、すでに一人死んでいて、合計十三人集まってしまったという状況。
この物語の見どころは、安楽死を行うにあたってのルールがある点です。
全員一致のタイミングで自殺を行うという決まりがあるため、「犯人を捜したい」「やっぱり死にたくない」という子どもが一人でもいた場合、集団自殺は決行されません。
また、ストーリーのほとんどが、一室のなかで淡々と進んでいきますので、輪の中にいるつもりで臨場感を感じられる部分も良いですね。
この記事ではあえて犯人には触れませんが、犯人捜しを楽しむのはもちろん、なぜこのような集団自殺とルールをサイト運営者であるサトシが提案したのか、その部分は絶対に外せない見どころと言えるでしょう。
気になる子どもたちの自殺理由については、現代日本を表している部分もあり、腕を組んでため息をつきたくなる声もたくさんありました。
これがもし、12人の大人だったらどうでしょうね。
「子どもたちよりも冷静な判断を下せるはず!」
と胸を張って言えない方がほとんどではないでしょうか。
原作を読んでから映画も観よう!
この作品はタイトル通り登場人物が非常に多く、また名前が全員カタカナ表記ですので、うっかりすると誰が誰だか見失いそうになります。
なので、人物覚えが苦手な方は、メモを取りながら読み進めると良いでしょう。
私も最初は迷いながら読み進めたのですが、不思議なことに段々と各人のキャラが立ってきます。
12人もの子どもが、個性的に書き分けられているのはさすがとしか言いようがありません。
共通点が「死にたい」だけで、その理由も性格もバラバラな12人なので、「なんでそんなこと言うの」「理解力が無さすぎでしょ」と時々はツッコミつつ、気付けば自分の考えに近い登場人物を応援していたりして。
物語としてのテンポがよくトントンと読み進められますので、エンタメ性の高いミステリーを求めている方に是非、手に取って頂きたい一冊です。
「この物語を俳優さんたちはどう演じ切るのだろう?」
そう考えると、私も映画館へ足を運びたい気分になります。
ぜひ映画を観る前に原作をお手にとってみてはいかがでしょうか(´∀`*)
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめてコメントします♡
「十二人の死にたい子どもたち」はハードカバーで買ったのですが、積んでおいて、
引っ越しの際にどっかへやってしまったので文庫版を買い直そうと思っています。。w
途中までで止まっているのですが、ハッピーエンドあるいはバッドエンド、もしくはトゥルーエンドの3通りでいうとどれでしょう?
ハッピーエンドなら見る、バッドエンドじゃ見ないという読み方はしませんが心構えとして知っておけたら知っておきたい気もしますw
Nakajiさんはじめまして!
いやあ、そういうの結構ありがちですよね笑
私もいくつか行方不明の本があります……。
言って良いんですね?!
ズバリ、ハッピーエンド!だと私は思います。少なくともバッドではありません!
ぜひぜひ文庫版で真相を確かめて身てください……(*´ω`)