『アウトサイダー』スティーヴン・キング、圧倒的恐怖の最新作

アメリカジョージア州にある片田舎のフリントシティで事件は起こります。

11歳の少年、フランク・ピーターソンの死体が発見されるのです。

警察官の主人公、ラルフ・アンダーソンは現場に残されていた指紋や周囲の目撃情報、防犯カメラの映像から犯人を特定します。

なんと、死んだ息子の野球のコーチをしていたテリー・メトランドでした。

これに憤りを感じたラルフは、テリーを野球の試合中、大勢の目の前で逮捕させます。

事件は解決したかに思われましたが、テリーを担当する弁護士から、彼が事件の日に町から離れていた証拠が提出されました。

どちらの証拠もしっかりテリーであることを示しており、同日・同時刻にテリーが二か所に存在することが判明します。

ラルフは、この矛盾を判明させ、事件を解決するために奔走します。

事件を追いかけるごとに次々謎が増え、最後には衝撃の真実が顔を出します。

なぜテリーは2人存在しているのか。どういうトリックが使われたのか。

スティーブン・キングの小説らしい、想像を掻き立て、そしてゾッとさせる物語です。

ただの事件じゃない!「ホラーの帝王」らしい作品

スティーブン・キングといえば、「シャイニング」や「IT」の作者として有名なアメリカのホラー小説家です。

彼の作品の多くに登場する「何か」が本作でもカギになります。

物語序盤では、犯罪小説らしい科学的根拠や物的証拠に基づいて捜査をしていくのですが、情報が集まるほどに現実ではありえないようなことが起こっていると思えるようになります。

そして物語の終盤で明らかになるのはテリーではない事件の真犯人です。

スティーブン・キングはホラー以外にも「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」なども手掛けていて、そのホラーではないジャンルだからこその考え方みたいなものが上手に盛り込まれているのでしょう。

テリーを犯人と考えて動くラルフとテリーの妻と弁護士のハウイーの二人との証拠を巡る対立はとても読み応えがあるものですし、被害者のピーターソン一家の悲しい結末も作品に感情移入するのには十分です。

事件を紐解く!ビル・ホッジス三部作の探偵ホリー登場

物語を進めていくうえでとても大事なのが登場人物です。

本作では、警察官、弁護士、探偵と様々な職種のキャラクターが登場しますが、その中でもひと際目立っていたのが、探偵である「ホリー」です。

ホリーは、キングの作品「ビル・ホッジス三部作」に登場する人物で、彼女が捜査に加わることで、一気に解決の流れに乗ります。

あまりにも早いペースで謎が紐解かれていくのであっけにとられてしまいますが、謎というのは実に単純で複雑に絡み合った糸のほどき方を知っていると、実は大したことのないということが多いことが分かります。

本作でも、彼女のおかげで事件を起こした真犯人が読者にイメージしやすいように分かりやすくしてくれています。ラルフとの会話もテンポよく大事なことを教えてくれ、上手にまとめています。

また、息子を亡くしたラルフ、テリーの無実を信じる妻、手助けする弁護士のハウイーの心情をよく表しており、葛藤や迷いが物語を面白くします。

ホリーは難しくなったお話を簡単なお話に作り変えてくれるような存在です。

小さな町の事件が矛盾を引き起こし、現実と非現実の境界を曖昧に感じるような、最後に遭遇する「何か」のシーンでの恐怖はなかなか味わえない恐怖を抱かせる小説の醍醐味そのものでした。

ホラー小説で悩んだら読んでほしい作品!

ホラー小説は書き手によって、本当に様々な世界が広がります。

多くの人が、ホラー=幽霊という印象が強いとは思いますが、「幽霊が出そうな屋敷」というだけでも十分怖いですよね。

スティーブン・キングの作品だから、なにか不思議な世界に迷い込んでしまうのではないかなと期待してこの本を手に取ってしまいます。

「あーなんか聞いたことがあるな。」というそれくらいの気持ちでもこの本を読めば、最後まで読み終わることでしょう。

物語の序盤で、結末の鍵となるフレーズも出てきますし、綺麗な構成で書かれているなと思います。

同人他作品の世界観とリンクしており、所々に他作品を想起させるワードが散りばめられています。

他の作品を読んでいる人はそういう部分を発見しながら読むとより楽しめると思います。

もちろん初めてスティーブン・キングの作品を読む人もアウトサイダーを読んでもらえば彼の作品の良さが分かるでしょう。

アウトサイダーはテレビドラマ化されたのですが、原作を読んだ後に映像としてみるのもとても面白いです。

ドラマ用に脚本されているので、残念な部分(メインともいうべき、ホリーが登場しない)もありますが、アウトサイダーのこうだったら的な意味合いとして楽しむことが出来ます。

ぜひともスティーブン・キング作「アウトサイダー」を読んでみてください。

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