『わざと忌み家を建てて棲む』の幽霊屋敷が尋常じゃなくヤバイやつでした

三津田信三さんの新刊『わざと忌み家を建てて棲む』が発売されました!谷川千佳さんの表紙絵が美しい!

先日ご紹介しました『どこの家にも怖いものはいる』と同じ幽霊屋敷小説、つまり『建物』にまつわる怪異を描いた作品なのですが、これはちょっと異質ですね。

舞台となる建物「烏合邸」の設定がまずぶっ飛んでいます。

今までご紹介してきた幽霊屋敷小説の中でも群を抜いてヤバイ家です。覚悟しておいてください。

 

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➡︎『どこの家にも怖いものはいる』-全く別の話なのに奇妙な繋がりがある物語って怖いよね

『わざと忌み家を建てて棲む』

 

話の流れを簡単に説明しますね。

編集者・三間坂の伯母の元に川谷妻華(かわたにつまはる)という女性が現れます。

彼女は、とある資産家と大工の手紙を持っていて、手紙に書いてある「家」を建てた資料があれば見せて欲しい、と言い残していきました。

その話を聞いた三間坂が実家の蔵を大捜索し、そこで一冊の日記とノートを見つけます。

 

その日記とノートの内容によって、

①その手紙に書いてある家は「烏合邸(うごうてい)」と呼ばれていたこと。

②「烏合邸」は、過去に事件の起きた「曰く付きの家や部屋」を継ぎ接ぎして無理やり一件の家にしたもの、ということ。

③烏合邸を建てさせた人物は、その家に人を住ませて「なにが起こるか」を実験していたらしいということ、

がわかりました。

つまり、

過去に事件があったような「曰く付きの家や部屋」を寄せ集め、継ぎ接ぎして無理やり一件の家「烏合邸」を作り上げ、そこに人を暮らさせて、そこで起きた出来事を記録させた、

ということです。

 

最高に狂っていますね!!!!( ゚∀゚)

 

 

以下、蔵で発見された「烏合邸」の記録、〈黒い部屋 ある母と子の日記〉〈白い屋敷 作家志望者の手記〉の簡単なあらすじです。

 

黒い部屋 ある母と子の日記

この母と子が住むことになったのは、「黒い部屋」と呼ばれる元は団地の一室だったらしい部屋。

一ヶ月は住む約束を家主としたらしく、その間日記をつけるようにと言い渡されたそうです(一ヶ月住めば報酬がもらえる)。

ですが住み始めた初日から奇妙な出来事が起こり始めます。

夜中室内に漂う変な匂い、網戸を閉め蚊取り線香を焚いているのに異常なほどに蚊に刺される、何かに髪の毛を引っ張られたという息子、「ボクッ、ボクッ」という変な物音が聞こえる、謎の足跡、誰かがいるような気配、どこからか聞こえてくる鳴き声、電気が消えているのに明るい部屋、外に出ると何かが家からついてくる気配、夢に出てくる謎の妹、知人たちの失踪……

などなど。

住んで一ヶ月も経たないのに、日記にはほぼ毎日といって良いほどの奇妙な出来事が残されています。

異常です。

怪異の量ももちろんおかしいですが、これほどの怪異に見舞われながらも住み続ける母と子にも異常さを感じます。

いくら一ヶ月住めば報酬がもらえるとしても、こんな出来事ばかりが起きたらふつう逃げ出しませんか。

果たして、母と子の運命はいかに……。

 

〈白い屋敷 作家志望者の手記〉

1日でも住めば報酬が発生し、おまけに準備金まで用意してもらえる。

しかも誰にも邪魔されず小説を書くことができる。その間の記録をつけるだけで、一週間でサラリーマンの平均月収ほどの手当がもらえる。

作家デビューを目指す私にとって、こんなに条件の良い仕事があるだろうか!

というわけで、複数の家屋を寄せ集めて建てられた「烏合邸」の中の一つ〈白い屋敷〉に住むことになった男性。

まあもちろん、このあと彼も多くの怪異に見舞われることになるのですが……。

何より怖かったのは、彼から見た「黒い部屋に住んでいる母と子」の光景。

彼は手記の中で

だが、この親子は違う。そうではない。全く異質の存在なのだ。その事実に震撼する程、恐ろしい二人である。

P.88より

と述べています。

一体、〈黒い部屋〉に住んでいる親子の何が「異質」なのでしょうか。


さらにこのあと、三間坂の元から「奇怪な内容が録音されたカセットテープ」が送られてきます。

その内容を一字一句正確に文章に起こしたものが、次の短編〈赤い医院 某女子大生の録音〉です。

これはとある女子大生が、「烏合邸」の中の一つ〈赤い医院〉を探索した際の記録。

今回の場合、「住む」ことではなくなぜ「探索」だったのかは不明。

 

さらにさらに、

このあと烏合邸に関する4つ目の記録〈青い邸宅 超心理学者の記録〉が発見されます。

心理学者があらゆる方法を駆使して、〈青い邸宅〉で起こる超常現象を科学的に捉えて記録したものです。

そこで彼女が見たものは……。

 

「幽霊屋敷って、その一軒だけで十分に怖いですよね。それが複数ある場合は、どうなんでしょう? 恐ろしさも倍加すると、先生は思われますか」

P.7より

 

史上最悪の幽霊屋敷、登場

 

というわけで今作『わざと忌み家を建てて棲む』は、

①〈黒い部屋 ある母と子の日記〉

②〈白い屋敷 作家志望者の手記〉

③〈赤い医院 某女子大生の録音〉

④〈青い邸宅 超心理学者の記録〉

という烏合邸にまつわる4つの記録を軸に、その謎を追っていく一つの長編作品というわけです。

発売される前は4つの物語からなる「短編集」だと思っていたのですが、これは完全に長編小説でしたね。想像以上に濃厚です。

 

そしてまあ、怖い。で、面白い。

安定の三津田信三さんです。

『どこの家にも怖いものはいる』と同じく「建物」を軸にした幽霊屋敷小説でありますが、似ているようで全く異なる怖さがありますね。

最初にも述べましたが、過去に事件の起きた「曰く付きの家や部屋」を継ぎ接ぎして無理やり一件の家にして人を住ませる、という鬼畜じみた設定がおかしいですもん。

こんなのヤバイ出来事が起こるに決まっているではないですか。

数多くのホラー小説の中でも、ここまで異常に建築された幽霊屋敷はほとんどないのではないでしょうか。

まあホラー小説好きから言わせていただくと超魅力的なんですけどね。この狂い具合が最高です。

ミステリー小説にも数多くの架空の「館」や「城」など魅力的な建物が出てきますが、それらを含めても「烏合邸」という建物はトップクラスに好きな建物ですね。

というか『わざと忌み家を建てて棲む』というタイトル通りすぎて笑ってしまいましたよ。まさかそのまんまだとは。

黒も白も赤も青もどれも最悪です。いくら報酬をもらえたとしても1日も住みたくありません(1日1億円だったら頑張る)。

 

もし、あなたが住むならどの家が良いですか?

お聞かせいただければ幸いです。

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6 件のコメント

    • やはり単行本は手を出しにくいですよね。。(ノω`*)
      三津田さんは人気なので、いつかは文庫化するとは思いますよ!
      『どこの家にも怖いものはいる』は単行本発売から文庫化するまで2年くらいでしたけど、今回はどうでしょうか。なるべく早く文庫化するようお祈りしておきます。。

  • 読む前「どこの家にも…は実際に障りがあるかもしれない雰囲気だったけど、まぁ今回は記録の寄せ集めだし、大丈夫大丈夫、余裕余裕(笑)」
    赤の医院前「なんだよこれぇ…結局どこの家にもと変わんねぇじゃねぇか!おい!なに?俺メールだか訪問者だかに毒でも飲まされて死ぬの?てか『これだけで対処できるはずである。恐らくは。』P201 いや、恐らくはじゃねぇよ!なんで焦らすんだよ!焦らしたせいで俺死んだら責任取れよぉ!」

    • 笑。
      ありがとうございます。大変笑わせていただきました、笑
      『これだけで対処できるはずである。恐らくは。』は私も「恐らく、はやめてよ!!」って思いましたよ。
      ほんと、誰が責任取ってくれるんですかねえ。。。

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    anpo39

    年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。休日は引きこもって本ばっかり読んでいるので、人との交流があまりありません。仲良くしていただけたら嬉しいです(*≧д≦)