『探偵さえいなければ』-烏賊川市シリーズ待望の新刊はユーモア溢れる短編集!

東川篤哉さんを代表する「烏賊川市シリーズ」の新刊『探偵さえいなければ』が発売しました!

烏賊川市(いかがわし)シリーズとは、ユーモアがたっぷり詰めこまれた世界観で楽しく読めるのに、ミステリとしてもちゃんと面白いっていうお見事なシリーズなんです。

烏賊川市。関東某所に確かに実在する水産都市だとか、小説に出てくる架空の街だとか、犯罪者と探偵だけが夢見る幻の都だとか、まるで都市伝説のように噂される街である。

P.8より

関連記事:【東川篤哉】《烏賊川市シリーズ》のおすすめと順番【小説】

今回の『探偵さえいなければ』もその特徴が全面に押しでた烏賊川市シリーズならではの短編集でした。

それではさっそく収録作品を見てみましょう!

 

1.『倉持和哉の二つのアリバイ』

倉持和哉は資産家の安西から受け継いだ洋食屋をたたみ、おしゃれなカフェを経営したいと思っていた。

それには安西の許可と資金が必要になるが、どうお願いしても安西から許しはもらえなかった。

そのため倉持和哉は安西殺害計画を実行する。


詳しくは言えませんが、倉持はこの事件のアリバイに私立探偵の鵜飼(烏賊川市シリーズの探偵役の一人)を利用するんですね。

鵜飼に「その時間は倉持さんは私と一緒にいました」と証言してほしいがために、嘘の依頼をして鵜飼を家に招いたのです。

一見完璧に思えた倉持の計画でしたが、まさかまさかの展開に……!という話。

犯人視点で物語が進む倒叙モノであり、今回の5編の中では一番「東川篤哉さんらしい」短編でした。

ユーモア満載というか、殺人が起きているのに緊張感ゼロというか、キャラクターも雰囲気も真相も何から何まで東川篤哉さんらしい。

 

2.『ゆるキャラはなぜ殺される』

無駄に作られた大きな公園『烏賊川リバーサイドパーク』で行われた祭典「烏賊フェス」で事件は起きた。

烏賊川ゆるキャラコンテストのために集まったゆるキャラの一人、ハリセンボンのハリーくんがテントの中で胸を刺され死んでしまったのだ。

現場の状況からすると、唯一近くにいた鷲の格好をしたワシオさんが怪しい。いや、でも魚姿のヤマメちゃんかもしれないし、亀吉君かもしれないし……。

はたして、犯人はゆるキャラの中にいるのか?!


というように、ゆるキャラだらけの環境で起きた事件で、しかも烏賊川市シリーズなので人が死んでもゆる〜い展開のまま。

しかしミステリとしてはかなり面白い。

ゆるキャラならではの特徴を見事に活かしきった事件ですね。こういう発想好き。あの締め方もナイスです。

 

3.『博士とロボットの不在証明』

人間と話すことができるロボットを発明した秋葉原博士でしたが、ロボットの研究費用を借りた深沢から「早く借金を返せ」と言われる(当たり前)。

しかしそんなお金はない。どうしよう。

秋葉原博士が困っていると、ロボットは「その男を殺してしまえばいい」と言い出した!

そして博士とロボットは、深沢殺害計画を企てる。


ロボットとの共同殺人とはかなりSFしてますが、やっぱり烏賊川市な内容。

東川篤哉さんらしい犯人の決め手が面白いです。

 

4.『とある密室の終わりと始まり』

「息子・政彦の妻の浮気調査をしてほしい」とのことで、依頼人である京子夫人の案内で政彦の家へと向かった鵜飼と戸村。

しかし明かりがついているのにもかかわらず、インターホンを鳴らしても誰も出てこない。

不審に思い窓から中を覗くと、血の付いたナイフが転がっているのが見えた。緊急事態と判断し、窓ガラスを割って中に入る鵜飼たち。

血の跡を追って浴室で彼らが見たものは、湯船に浮かんだバラバラに切断された政彦の死体だった!


玄関には鍵はもちろんチェーンロックがかかっており、その他の場所にも人の通れるような場所はありませんでした。

つまり、鵜飼たちがやってきた時点で完全な密室だったわけです。

犯人は誰で、どうやって密室にしたのか?という話なんですが、まあ見事な真相でしたね。

烏賊川市シリーズはゆる〜いイメージが強いですが、この事件は想像するだけでも恐ろしかった。

ひとことで言うなら、「犯人さん、ドンマイ!」です。私には無理です。

 

5.『被害者によく似た男』

雅人という男性がとある美女に殺人の手助けをしてほしいとお願いされます。

雅人には顔がそっくりの兄がいるのですが、その兄を殺害したいらしいのです。その時のアリバイ作りのために雅人を利用したい、と。

雅人にとっても兄がいなくなるといろいろと都合が良いので、つい美女に協力してしまうわけですが……。


これもユーモア満載でありながら、ミステリとしてもよくできたお話でした。

美女にお願いされたのは、殺害の時間に兄になりきってバーで顔を覚えてもらいたい、ということ。

「その時間、一彦さんはバーにいましたよ」と証言してほしいわけですね。顔がそっくりな雅人には出来そうな内容ですが。

はたして、美女と雅人の計画はうまくいくのか。乞うご期待。

 

いつ読んでも安定の烏賊川市

烏賊川市シリーズの特徴と言えばやっぱり「ユーモア」なわけで、普通の本格ミステリ小説と違ってかなり独特です。

犯人も探偵もその他諸々どこが間が抜けていて、殺人事件が起きようと全く緊張感がありません。

それでいてトリックや伏線の回収なんかは綺麗に決めちゃったり、独特の設定が見事に真相に絡んできたりとミステリとしての面白さもしっかりあるんです。

今回の『探偵さえいなければ』は短編集と言うこともあり、短い話の中でのオチのつけ方といろんなタイプのトリックが楽しめて良かったですね。

これからも烏賊川市でどんな事件が起きるのか非常に楽しみです。

ただ欲を言えば、短編集が三連続しているのでそろそろ長編が読みたいなー!ってことですかね。短編集ももちろん面白いんですけど、長編もやっぱり良いんですよ。キャラクターたちの掛け合いが面白くて。

密かに次回作が長編であることを期待しております(*´ω`)。

これは、烏賊川市の『日常』。

この烏賊川市シリーズ、新カバーイラストを「あらゐけいいち」さんが描いていらっしゃるのですがこれがまた相性抜群で。

大好きなんですよ。あらゐけいいちさんのイラスト。

あらゐけいいちさんと言えば『日常 1 (角川コミックス・エース)』って言う私の大好きな漫画がありまして、アニメ版ももう何回見たかわからないくらい繰り返し見てゆっこやちゃんみおに笑わしてもらっているんですよ。

そんなわけで、私の脳内では烏賊川市シリーズは完全にあらゐけいいちさんのイラストでアニメ化されてるんですよね。

小説読むって言うかアニメ見ている感じで楽しんでるんです。そのくらい読みやすい作品でもあるんです。キャラクターも『日常』に出てきそうだし。

そうそう!

残念ながら『日常』は全10巻で終わってしまったのですが、新たに『CITY(1) (モーニングコミックス)』という漫画が連載を開始いたしました!

『CITY』も相変わらずあらゐけいいちワールド全開で、キャラクターは変われど『日常』がお好きなら間違いなく楽しんでいただけるでしょう。

……おっと、最後はなんか『日常』と『CITY』の宣伝になってしまいましたが、ぜひこの機会に「烏賊川市シリーズ」を宜しくお願いいたします!

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2 件のコメント

  • なんてことでしょう!烏賊川市シリーズのみならずあらゐ先生の作品が大好きな自分には素晴らしい記事です!日常が好きな人がここにもいたなんて!
    と、本題の短編集ですが(笑)、ミステリとしての技術もあり、見事にユーモアと絡めてクオリティの高い作品になっているのがいつもすごいなと感心します。東川先生の作品では烏賊川市シリーズが一番好きなので、これからも作品を出し続けて欲しいですね。できれば長編で。

    • おおお!アラシナオヤさんもあらゐ先生の作品が大好きでしたか!嬉しいです!日常、いいですよね!最終巻の椅子取りゲームのタケノコのやつとか声出して笑ってしまいましたよ。終わってしまった時は本当に悲しかったなあ。。。
      そうそう。ほんと烏賊川市シリーズはギャグとユーモアで油断させておいてビシッとミステリとして決めてくれるギャップが好きです。たまらないですよね。
      他のシリーズにはない魅力がある、これからもどんどん読んでいきたいシリーズです。同じく、そろそろ長編が読みたいですね!(*´∀`*)

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    anpo39

    年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。休日は引きこもって本ばっかり読んでいるので、人との交流があまりありません。仲良くしていただけたら嬉しいです(*≧д≦)