牧場智久、初登場。竹本健治さんの『囲碁殺人事件』が新装文庫化しました

竹本健治さんといえば『匣の中の失楽 (講談社文庫)』という作品で強烈なデビュー果たした作家さん。

で、今回の『囲碁殺人事件』は牧場智久という天才囲碁棋士が活躍する「ゲーム三部作」の一作目です。それがめでたく講談社文庫さんより新しく文庫化いたしました。

その理由はおそらく、『涙香迷宮』が2017年のこのミスで一位となったことが関係しているでしょう。

じつは『涙香迷宮』の探偵役・牧場智久(まきばともひさ)の初登場作品が、この『囲碁殺人事件』なんです。

 

関連記事

➡︎【暗号ミステリ最高峰】竹本健治『涙香迷宮』が凄まじくて言葉を失う

竹本健治『囲碁殺人事件』

 

「碁の鬼」と呼ばれるベテラン槇野九段。彼と対決するのは新時代の旗手・氷村七段。

甲府の旅館で行われたこの対決は、槇野九段のほぼ勝ちと言える一手で一日目を終えました。

さて二日目。

このまま槇野九段が勝ちを収めるだろう、と誰もが思っていたのですが、対決の時間になっても槇野九段が現れません。ざわつく会場。

その後、槇野九段が近くの滝で死体となって発見されたことが会場に知らされます。しかも首なしで。

 

そこで智久は思い出します。

実は事件の半月ほど前、ある部屋で鬼の形をした珍瓏(盤面全体に及ぶ詰碁)を智久は発見していました。あれは犯行予告だったのでしょうかーー?

白石はおぼろげにある形を描き出していた。頭の上に角が二本はえ出た人型。つまり鬼の形だった。

P.57より

天才囲碁棋士・牧場智久が事件解決?

さて、こんな首なし殺人事件に挑むのはIQ208の天才囲碁棋士・牧場智久!ってわけなんですが、彼、まだ十二歳の少年なんです。

しかも「見た目は子供、頭脳は大人!その名は名探偵コ……」ではなく「見た目も中身もちゃんと子供」なんですよ。ここが面白いところです。そのおかげでハラハラするシーンが・・・。

さらに言いますと、今作の探偵役は彼だけではないんです。

ミステリ好きの智久の姉・典子と、大脳研究者の須堂も主役です。つまり3人でこの事件に挑むわけですね。

この試みが面白いんですわ。IQ208の天才少年がいるんだから、彼だけが探偵役でも十分に成り立つでしょう。でもそんな天才少年がいながら彼だけを主役にしないんですよ。一味違いますよね。

 

さて、謎を整理しましょう。

「犯人は誰か?」という謎以外にも不可解なことがいくつかありますね。

まず、①「なぜ犯人は首を切り取ったのか」という謎。

ミステリで良くある遺体のすり替え(別人の死体を首を切り取ることによって本人のように思わせる)の場合も考えられますが、それだったら顔を潰せばいいだけなんです。

首を切り取るということはそれだけ時間がかかりますし、荷物にもなります。そこまでして犯人が首を切り取った理由はなんなのでしょうか。

そして②「なぜ対局中に殺害されたのか」です。わざわざ対局一日目と二日目の間に殺す理由はあったのでしょうか。

深い深い囲碁の世界

今までミステリについて語ってきましたが、今作は「ミステリ小説」であり「囲碁小説」なんですよね。

囲碁の世界のことがバンバン語られるし、囲碁に関するうんちくも凄い。でもね、それが面白いんですよ。

私は囲碁ってやったこともないし興味もないんですが、だからこそ囲碁の世界が新鮮で楽しめました。自分の知らない世界を覗けるのってやっぱり面白い。

まあ囲碁の暗号とか出てきてもさっぱりわからないんですけどね。正直、囲碁を知らない人が推理できるわけがありません。

しかも、暗号が解明されたところで「な、なるほどね(さっぱりわからない)」ってなっちゃいますからね。逆に笑っちゃいますよ。

そこらへんは割り切りましょう(゚∀゚*)

続編もぜひ

最初に述べたように今作『囲碁殺人事件』はゲーム三部作の一作目。

このあとは二作目『将棋殺人事件』と三作目『トランプ殺人事件』へと続きます。

でね、三作目の『トランプ殺人事件』がめっちゃ面白いんですよ。このために一作目と二作目を読んでいただきたいくらいです。

そしたらなんと、この「ゲーム三部作」は講談社文庫さんから三ヶ月連続刊行するそうです!

第2弾『将棋殺人事件』は3月15日発売予定、第3弾『トランプ殺人事件』4月14日発売予定とのこと。これは楽しみが増えますねえ!(* >ω<)

【暗号ミステリ最高峰】竹本健治『涙香迷宮』が凄まじくて言葉を失う

2016.12.11
スポンサーリンク

関連コンテンツ

4 件のコメント

  • ちょうど先日「涙香迷宮」と「囲碁殺人事件」を同時購入しました(笑)
    三カ月連続刊行とは嬉しい限りです!
    ただ一つ思うのは、まだ読めていない本が堆く積まれており、一体いつになったら読めるのかという事・・・。
    そんな状況にも関わらず今日も今日とてまた沢山の本を買ってしまいました。
    以前こちらで紹介していた北村薫「盤上の敵」や、城平京「名探偵に薔薇を」等々・・・あまり魅力的なブログを書かないで頂きたいものです(笑)

    • おお!ナイスなタイミングですね☆
      ほんと三カ月連続刊行ふはありがたいです。「涙香迷宮」のおかげでしょう。
      北村薫「盤上の敵」や城平京「名探偵に薔薇を」!良いラインナップですねえ(*´∀`*)
      わかります、私もどんどん本を買ってしまいます。。私も積読本が溜まっていく一方ですので、その道連れです 笑。ふふふ。。

  • 本をたくさん買えるお金がなく(泣)、図書館で『涙香迷宮』を予約待ちです。。
    『囲碁殺人事件』は、約10年前高校生で読んだ時、なんというウンチク量!とお腹いっぱいになりながらも楽しく読んだ記憶があります笑
    久しぶりに再読しながら、『涙香迷宮』へのモチベーションをあげようと思います☆
    anpo39さんのブログは本当に内容がおもしろくて、あまり読書欲のない旦那までもが、いつも楽しみにしています!!
    これからも私の『図書館予約待ち一覧』が、このブログで紹介される本で埋め尽くされるのを期待してます(^^)

    • そうそう、私も初めて読んだのは何年も前で、本屋さんで新しくなった『囲碁殺人事件』が並んでいた時は興奮しました!ほんとウンチク量すごいですよね。。難しすぎて全然吸収できなかったですけど・・・笑
      そうですね!ぜひ『涙香迷宮』の前に囲碁殺人事件を楽しんでください☆
      あらーそうなんですか!う、嬉しすぎます。。。泣
      とてもモチベーションが上がります!嬉しいお言葉本当にありがとうございます(*ノД`*)

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です