古典名作。高木彬光『刺青殺人事件』の心理密室トリックを刮目せよ

さて、高木彬光(たかぎ あきみつ)さんの代表作『刺青殺人事件』です。

今作は日本三大名探偵の一人・神津恭介(かみづ きょうすけ)が初めて登場する作品としても有名。

一言でいうならば「超王道本格ミステリ」です。ミステリの基礎と言いますか推理小説の教科書と言いますか、そんなものばかりが詰まっています。

ミステリがお好きであれば読んでおいて間違いない名作ですよ〜!ふふふ。

 

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『刺青殺人事件』あらすじ

 

そもそも刺青というものは、一部の人たちから見ると素晴らしき「芸術」。

東大医学部標本室には、美しい刺青を入れたたくさんの人皮が秘蔵されています。

今作では、その中に保管される大蛇丸の刺青が施されたトルソについての事件が語られていきます。

 

主要人物の一人・松下研三はある日、「刺青競艶会」という刺青を堪能する会に行きます。

その会場で目にしたのは、野村絹枝という背中に大蛇丸の刺青を入れた女性。彼女の父親は刺青師で、自らお願いして大蛇丸の刺青を入れてもらったそうです。

さて、そんな彼女の刺青に魅了されてしまった研三は後日、絹枝から「話したいことがある」などと言われ彼女の家を訪れます。

が、そこで彼が目にしたのは浴場で殺されていた絹枝の死体。しかも死体は両手両足と首しかありませんでした。

そう。大蛇丸の刺青が描かれていた胴体がなかったのです。

驚異の密室トリック

「この窓には、外から鉄棒が植わっているね。窓の中から鍵がかかっている様子だし、ガラスのどこにも破れはない。それで入口も中から締まっているとなると、いったいどうなる」

「密室殺人!」

「そのとおり。密室の殺人、完全犯罪、ありとあらゆる探偵小説の作家が、いや現実の犯罪者が永遠に求めてやまぬ黄金郷だ。しかも求めて実現できない見はてぬ夢だ」

P.124より

胴体のない死体。しかも発見された浴場は「密室」でした。

というわけで今作のメインとなる謎は「犯人は誰か?」はもちろん、

①どうやって密室を作ったか。

②なぜ胴体を持ち去ったか。

に注目されていきます。

で、この「密室トリック」が本当の本当に見事なんです。これこそ『刺青殺人事件』が名作と呼ばれる大きな理由。この密室トリックだけでも読む価値ありです。

いわば「物理トリック」「心理トリック」の融合と言いましょうか。どちらが欠けても成立しない。唸らされます。

そして胴体がない理由も見事。

 

さらに第一章の時に、

最後の瞬間、この刺青が、実に意外なところからふたたび発見されたとき、人々はあまりの意外さに、思わずあっと驚嘆の叫びをあげられずにはいられなかった。

P.29より

なんて書いてあるんです。

つまり最初の時点で「胴体がふたたび発見される」ことが読者に知らされているわけですよ。

なので「胴体どこにあったの?!」って気になって仕方がなくなっちゃうのです。これは一気読みですわー!

神津恭介、登場

彼は弱冠十九歳で、すでに英、独、仏、露、ギリシア、ラテンの六カ国語を話し分けた。

P.304より

「神津の前に神津なく、神津ののちに神津なし」

とまでその才能を激賞された。

P.304より

いわゆる「超天才」ですよね。

今作は全二十章からなる物語なのですが、神津恭介が登場するのは十五章からです。主役は遅れてやってきます。

あれだけ難解だと思われた事件を、サッと登場してサッと解決していくのです。

さすが日本三大名探偵の一人。散らばった伏線を回収しながらパズルを完成させていくような推理は必見です。まさに天才の技でしょう。

なぜあの密室トリックがわかちゃうんですかね。彼がいなかったら完全に迷宮入ですよ。。

 

あ、そうそう。

『刺青殺人事件』には「読者への挑戦状」も挿入されていますからね。頑張ってみてください!(もちろん私は無理でした)

他の神津恭介シリーズもぜひ

神津恭介シリーズは他にもたくさんあるのですが、中でもオススメなのが『呪縛の家 新装版 (光文社文庫)』『人形はなぜ殺される(光文社文庫)』ですね。

どちらも『刺青殺人事件』と並ぶ名作だと思いますし、特に『人形はなぜ殺される』はシリーズ最高傑作!なんて言われたりもしてます。

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参考にしてただければ幸いです〜!

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