【黒百合】多島斗志之さんのぜひオススメしたい小説5選【症例A】

最近『黒百合』を読み返したらやっぱり面白かったので、多島斗志之(たじまとしゆき)さんのオススメ小説を簡単にご紹介できればと思います。

ミステリ小説、純愛小説、医療小説、サスペンス小説、ブラックな短編集などなど、幅広いジャンルの作品を手がけていて、しかもどれも面白いという優れた作家さんです。

しかし多島さん、2009年に失踪し、現在もまだ消息不明とのこと。

これだけ面白い作品を書かれているだけに、とても悔やまれます。

今回ご紹介する5作品はすべて文庫化してますので、ぜひお手にとって見ていただけたら幸いです。

 

1.『黒百合』

 

私が多島さんの作品で一番好きなのがコレ。私が多島さんにハマったきかっけの作品。

14歳の男の子二人と一人の女の子が六甲の別荘地で出会い、微妙な三角関係を築きながらも超青春しているニヤニヤ青春小説と見せかけたミステリ小説なわけですが、まあ見事な伏線の張り方とミスリードですよね。

思わず「お見事!!!」と心の中で拍手をしてしまいました。「やられた!」というより「お見事!」。読み返してみると、改めて巧いなあ、と思わされる構成と仕掛けなんです。

そもそも文庫の帯に「騙される率100%」と書いてありましたからね。それがわかっていたのにヤられちゃうんですから。

もちろんあの一撃だけがすごいのではなく、そこまでの話の持って行き方も絶妙であり。多島さんの文章も、世界観も雰囲気も良くて。

とにもかくにも、文庫で250ページほどなのでササっと一気読みしちゃってください。そして打ちのめされてください。

多島さんの作品でどれか一冊だけオススメするなら、迷わずこれです。

というか、黒百合を読んでみてほしくてこの記事を書いたのさ!( ゚∀゚)

黒百合 (創元推理文庫)

六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った。

2.『症例A』

 

圧倒的な読み応えと面白さを放つ代表作。

多島斗志之さんの作品の中で、おそらくこの作品が一番有名でしょう。

精神医学の世界を舞台に、主人公となる医師たちが一人の少女と向き合いその病根をつきとめようとしていく物語です。

と、並行して進んでいく国立博物館での物語。精神病院と博物館、この二つの物語がどうやって繋がっていくのか……と気になり一気読みさせられるパターンのやつです。

難しい話かと思いきやエンターテイメント性もあってスルスル読めるし、でもしっかり物語に厚みがあってグイグイ引き込まれる。

多島さんって精神科医をやってたのかな?ってくらいリアリティのある場面や描写にも驚きです。この作品を書き上げるのにどれだけ研究なさったのでしょうか……(構想に7年かかったそうです)。

先ほどオススメした『黒百合』とは全く異なる世界観ですが、多島さんならではの技巧が光る作品。

症例A (角川文庫)

精神科医の榊は美貌の十七歳の少女・亜左美を患者として持つことになった。亜左美は敏感に周囲の人間関係を読み取り、治療スタッフの心理をズタズタに振りまわす。

3.『クリスマス黙示録』

 

タイトルが最高ではないですか。中二病っぽくて。

でも中身は本格ハードボイルドサスペンス

日本人女性・カオリがアメリカで一人の少年を轢き殺してしまう。その女性は告発されなかったが、亡くなった少年の母親は復讐を誓い失踪。そこでFBI捜査官のタミが、カオリを援護することになる。

復讐者 VS FBI捜査官、という海外作品によくあるパターンですが、まさにこれも「翻訳モノ」っぽい雰囲気に溢れているのが特徴。このあたり、巧いです。

しかも「手に汗握る展開」の書き方がお上手で、心の奥からハラハラさせてくれる。

最初っから最後まで緊迫感に溢れドキドキが止まらなくて、本当に海外映画を見ているような気分になれます。これぞ多島さん筆力ですよねえ。

クリスマス黙示録(双葉文庫)

捜査陣に罠を仕掛け、幾重にも敷かれた捜査網をことごとく破る暗殺者と、必死に職務を遂行するタミが究極の心理戦を展開する超一級サスペンス。

4.『少年たちのおだやかな日々』

 

タイトルとは裏腹に、少年たちの全然おだやかではない日々が描かれた7つのお話からなる短編集。

『少年たちのおだやかな日々(が崩れ去っていきます)』って感じですね。救いのなさ100%。

少年たちが突然出会う日常での恐怖。怖くて、残酷で、理不尽で、後味も悪くて。でも面白い!読まされてしまう!

こういうブラックな短編集って好きで結構読むのですが、やっぱり多島さんは「読ませる」のが巧いです。「ただの後味が悪い短編集」とはどこか違う。

平山夢明さんの短編が好きな人ならきっと気に入っていただけるはず。笑

どれも面白いですが、特に『嘘だろ』『言いなさい』が特に好き。

少年たちのおだやかな日々 (双葉文庫)

則文は、またあのおばさんに出くわすかもしれないと思うと、それだけで冷や汗がにじんでしまう。しかし、おびえているのは、本当はあのおばさんの方だった…。

5.『離愁』

 

ミステリ小説、医療小説、サスペンス小説、ブラック短編集、からのまさかの純愛小説。

無口で孤独で、人付き合いを嫌った叔母。そんな彼女の過去が気になり調べていくと、思いもよらなかった真実が明らかになってきて……。

というミステリ小説では結構ありがちな展開なんですが、やはり「叔母の過去に一体何があったのか?」を気にさせる描写がお上手。夢中になって読んでしまう。

切なく哀愁ただよう雰囲気があり、ミステリーとしても恋愛小説としても優れた作品です。読後感がもうね……。心に染みる度数は多島作品でNO.1。

読んでよかった、もっと多くの人に読んでほしい、と思える作品です。

にしても、『少年たちのおだやかな日々』とのギャップの凄さ。本当に同じ人が書いたの?って疑問に思うくらい。

離愁 (角川文庫)

昔の美貌を残しながらも無表情、徹底して人とのかかわりを好まなかった藍子叔母。謎に満ちた叔母の人生に、わたしは物書きとしての興味をかきたてられた。

おわりに

今回5作品だけに絞ったんですけど、実はまだ面白い作品があるんですよ。

不思議島 (創元推理文庫)』とか、海洋冒険歴史小説の『海賊モア船長の遍歴 (中公文庫)』とか。

このジャンルの広さ、やっぱり多島さんって凄いなあって思う。

もっともっとたくさんの作品を読んでみたいなあ……。

スポンサーリンク

関連コンテンツ

4 件のコメント

  • 黒百合読みましたよー!
    あの、少年たちの雰囲気とか好きです。
    うまくミスリードにはまった私。
    そうそう、失踪されてるんですよね。
    なんか、眼の病気を患ってるとかも聞いたんですが、未だ不明なんですね、、、

    • こんばんわー!!
      hitomiさんならきっと読んでいただけていると思ってました!!(´∀`*)
      文章も良いし、少年たちの雰囲気も、ミスリードもうまくて、かなり好みな作品なんです。
      そうそう、眼のご病気が原因らしいのですが、本当もっと作品を読みたいですね。。とても残念です……。

  • こんにちは^_^
    黒百合、私も読みましたー。普通に青春小説としても面白かったです。
    最後の最後で、え?なになに⁈どういう事??とハテナマークでいっぱいになり、ネットでレビューを見てやっと納得したアホな私です(笑)
    他の作品も読んでみます。
    失踪されてるとは、残念ですね。

    • マラクヤさんこんばんはー!( ´∀`)
      黒百合、良いですよね。
      そうなんですよ、青春小説として面白いのに、あの反転。
      同じく、私もあまりのひっくり返りに「???!」となってネタバレサイトで確認しました。笑
      やっぱりそうなりますよね、私だけでなくてよかった。笑
      ぜひぜひ他の作品も!
      これだけすごい作家さんだけに、ほんと、残念でなりません。。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です