城平京『虚構推理』のあらすじと見所-アイドルの亡霊が鉄骨を持って人を襲う?!

『虚構推理』は城平京(しろだいら きょう)さんによるミステリー小説。

2011年に講談社ノベルスさんより発売され、その後2015年に文庫化されました。

城平京さんといえば『名探偵に薔薇を (創元推理文庫)』っていう作品がとても好きなんですけど、この『虚構推理』もかなり面白い作品です。

「鋼人七瀬」というアイドルの亡霊を主軸としたSF(少し・不思議)な世界観でのミステリなので、ちょっと読み手を選ぶかなーって感じなんですが、やはりここは読んでみていただきたい!(〃>З<)

 

『虚構推理』

 

さて、物語の主体となるのは『鋼人七瀬』という都市伝説。

元アイドルの七瀬かりんがある日、工事現場で鉄骨の下敷きになって死亡。それからしばらくして、アイドルの時の衣装を身にまとい、巨大な鉄骨を持った亡霊が夜な夜な人を襲っているという噂が立ち始めました。

そこで今回その謎に挑むのが、大学生の岩永琴子たちです。ですが彼女たちも少々変わり者。

主人公の岩永琴子(いわなが ことこ)は、常にベレー帽をかぶってステッキをついている小柄なお嬢様。11歳の時に神隠しにあい、右目と左足を失いました。なので今は右目は義眼で左足は義足です。

そして琴子の相方である桜川九郎(さくらがわ くろう)は普通の青年のように見えますが、妖怪である「くだん」と「人魚」の肉を食べたため、死なない体と未来を見る力を持っています。

最後に、弓原紗季(ゆみはら さき)。彼女は普通の人間であり、警察官。桜川九郎の元彼女です。

で、弓原紗季が『鋼人七瀬』らしき事件とかかわったことをきっかけに3人が出会い、共に『鋼人七瀬』を追うことになります。

 

というように、今作は妖怪や化け物が存在する世界でのミステリー小説となります。

キャラクターも個性的でコミカルなシーンも多々あり、非常に漫画っぽく読める小説、といった感じ。

実際に漫画にもなっています。

虚構推理(1) (月刊少年マガジンコミックス)

右が岩永琴子ちゃんですね。可愛らしい。

まさに、虚構推理。

この物語では多くの謎が登場します。七瀬かりんは本当に事故死か?鋼人七瀬は人を襲う理由は?など。

その中でも特に重要なのは2つ。

①なぜ、鋼人七瀬は生まれたのか?

②鋼人七瀬は本当に存在するのか?

です。

そしてこれが『虚構推理』の特徴なのですが、言っていることが嘘であれなんであれ、多くの人たちに「これが正解だ」と思わせることができれば良いのです。

今回の場合は、鋼人七瀬は実在「する」のか実在「しない」のか、について。

例えば「鋼人七瀬は実在する」ということを皆に納得させたいならば、なぜ鋼人七瀬は実在するのか?という推理をとにかく披露していくわけです。

で、それを見ている人たちが「なるほど、やっぱり鋼人七瀬は実在するのか」と思ったならこちらの勝ちです。

逆に「鋼人七瀬は実在しない」ことにしたいのなら、「鋼人七瀬が実在しない理由」を的確に述べていく必要があります。

 

例えばの話をします。

私は犬を飼っていません。これは真実です。

しかしある理由から、友達全員に「私は犬を飼っている」という嘘を信じ込まさせなければならなくなりました。

なので私は、「わたしは本当に犬を飼っているんですよ」というありもしない理由をでっち上げ、論理的に展開していきます。

そこで友達全員が「なるほど、あなたは犬を飼っているのね」と、わたしのウソを信じたなら私の勝ちです。こんな感じです。

 

『虚構推理』の面白いポイントはそこです。

岩永琴子は、嘘の出来事を真実だと思わせるための推理を披露していきます。

琴子の推理を聞いている皆が「なるほど、そういうことだったのか」と、嘘であるのにそれが真実だと思うように「虚構推理」をしていくわけです。

このどうやって多くの人に嘘を真実だと思わせるか?が今作の見どころとなります。

また、岩永琴子が最終的にどのような結論に達するか?という部分にもぜひ注目してみてください。

おわりに

言っていることが嘘だとしても多くの人を納得させれば勝ち、という作品は他にもあります。

例えば円居挽さんの『丸太町ルヴォワール (講談社文庫)』などがそうですね。ただ、パターンは似ていますが行き着く先は全く違います。両方読んでこの違いを楽しんでいただくのも良いですね。

読み手を選びそうとはいえ、『虚構推理』はミステリ小説の中でも希少なタイプの作品です。非常にサクッと読めるので、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

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anpo39

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。休日は引きこもって本ばっかり読んでいるので、人との交流があまりありません。仲良くしていただけたら嬉しいです(*≧д≦)