今こそ読みたい「リチャード・バックマン」のオススメ9作品

リチャード・バックマンって誰なのよ?という事ですが、スティーヴン・キングの別名義です。

当時、作家は1年に1冊だけ出版する、という風潮があったのですが、多作型なキングは「じゃあ別名義で出せば一年に2冊出せるね」みたいな感じでリチャード・バックマン名義を使用したそうな。

まあ理由はともあれ、リチャード・バックマン名義の作品は本当に面白いものばかりです。

私はキングの作品も大好きなものばかりですが、「打率」はリチャード・バックマン名義の方が高いと思います。数は少ないですが、面白いものしかない。

ってなわけでどうぞ参考までに(*´∀`*)ノ

 

関連記事:【名作】スティーヴン・キングの本気でおすすめの小説12選

 

1.『死のロングウォーク』

 

キングの長編の中でも特に思い入れのある作品です。

キングが大学生の頃に書いた、事実上の処女長編小説だということをのちに知ったのですが、信じられませんでした。完全に天才じゃないですか。

選抜された少年100人が、指定されたコース上をただひたすら歩く〈ロングウォーク〉という競技に参加する物語。

「歩く速度は時速4マイルを下回ると警告を受け、これを4回受けると射殺される。睡眠も休憩も一切なし。」

「警告を受けてから1時間次の警告を受けなければ、1回分の警告が消える」

「競技は最後の一人になるまで、つまり99人が死亡するまで続く」

という理不尽で過酷な〈ロングウォーク〉で、少年たちは何を想い、語るのか。

最後の一人になるまで競技が続くという事は、残りの99人全員が「敵」ということ。しかし、同じ状況にいる者同士、どうしても芽生えてしまう友情。ああ、つらい。

特にあの子が脱落するときはつらすぎて、一回読むのをやめようかと思ったくらい。それほどに作品に感情移入してしまったというわけですが。

「ただひたすらに歩くだけ」の物語を、卓越した心理描写でここまで読ませるものに仕上げるキングの凄さ。圧巻です。

一度読み始めたら、後戻りはできません。はたして、最後まで生き残るのはーー。

バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク (扶桑社ミステリー)

死と直面する少年たちの苦闘を描いた、鬼才キングの問題作、ついに登場。

2.『バトルランナー』

 

アクションエンターテイメントの金字塔。

西暦2025年。荒廃したアメリカで放送されている人気番組『ラニング・マン』の企画で、失業者のベン・リチャーズが地獄のデスレースに挑む物語。

そのデスレースとは、「視聴者全員をから1ヶ月逃げ切れば十億ドルもらえるが、捕まれば殺される」というもの。

『死のロングウォーク』と同じくデスゲームものですが、完全に別物。こちらはエンターテイメントに特化したジェットコースター系、というか。

ハラハラドキドキの疾走感と、愉快な会話劇がたまらなくマッチング。

映画の評判はあまりよくないと聞きますが、私はバトルランナーの映画版も大好きだったりする。別物として。あのシュワちゃん最高だよう。

バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (扶桑社ミステリー)

それは全米を巨大なフィールドとする「人間狩り」だ。全視聴者を敵にまわしながら、一ヵ月逃げとおせれば十億ドルの賞金、しかし捕まれば、テレビカメラのまえで容赦なく殺されるという文字通りのデスレースなのだ。

3.『ハイスクール・パニック』

 

ひとりの学生が、教師を射殺し、同級生たちを人質にして教室に立て籠もる。

一見普通の、小説の題材にありがちな銃立て籠もり事件とも思えますが、キング書くと感慨深い青春小説となってしまう。

わずか4時間の出来事のはずなのに、異様と思えるほど濃厚であり、十代である彼らの悩みと狂気がひしひしと綴られていく。

学生が銃を持って教室に立てこもるなんて確かにパニックなんだけど、内容は実はそんなにパニックものではない。

原題は『rage(激怒)』であるように、ついにキレちまった少年の「静かな激怒」を描いている。

あまりに多くの学生に影響を与えてしまったため、キング本人が本書の絶版を決めたことでも有名。

バックマン・ブックス〈2〉ハイスクール・パニック (扶桑社ミステリー)

五月のある晴れた一日、教室で一体なにがおこったのか?モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングが高校生の不安定な心の世界を、同世代の視点からあざやかに描いた、異色の青春サスペンス小説。

4.『最後の抵抗』

 

高速道路の建設によって、狂い、破滅していく男の物語。

高速道路を建設するにあたって立ち退きを強制されるが、男は抵抗する。そして職を失い、妻を失い、何もかもを失っていく。最後に男がとった行動とは。

はたから見れば狂人そのものですが、どうしても彼を悪者にはできない。むしろ応援したくなってしまうし、そんな境遇に立たされたこともないのに「その気持ちわかる」と思ってしまう。

それはなぜかって、キングの描く人間にはそういう魅力があるからさ。キングの中でも異色作だと想うし、キング入門にはあまりオススメできないけど、私は好きだ。

現在でも、高速道路や大型ショッピングモールが新たに建設されていますが、その現場を見るたびに、そこにはあっただろうドラマを想像する。

そして主人公バートン・ドーズのことを想う。

最後の抵抗 (扶桑社ミステリー)

日常と紙一重の狂気を内側から描き、作者自ら、「もっとも愛着ある作品」と語る異色サイコ・サスペンス。

5.『痩せゆく男』

 

キング節炸裂のザ・ホラー。

おデブちゃんな主人公は老婆をひき殺してしまうが、仲間の手を借りて事件をもみ消した。

しかし彼は「痩せていく」呪いをかけられ、何を食べてもどんどん痩せていくようになってしまう……。

痩せていってしまう男の恐怖が、見事な筆力によってひしひしと伝わってくる。巷じゃあ「ダイエット」やら「痩せる!」なんて言葉に溢れていますが、痩せてしまうっていうのは実はこれだけ怖いものなんですぜ。

主人公だけでなく、事件をもみ消した担当判事と警察署長にも呪いがかけられたのですが、彼らは肌が鱗になったりデキモノだらけになったり、とかなり悲惨。

その描写のおぞましさに思わずゾクリとする。

後味は悪い。だからこそ、最高。このラストを味わって。

痩せゆく男 (文春文庫)

痩せてゆく。食べても食べても痩せてゆく。老婆を轢き殺した男とその裁判の担当判事と警察署長の3人に、ジプシーの呪いがつきまとう。

6.『レギュレイターズ』

 

キング名義の『デスペレーション(新潮文庫)』の姉妹編ってことで、両方一緒に読むのがベスト。『デスペレーション』が先です。

『デスペレーション』の人物がそのまま登場するけど「役」が異なる。つまりはパラレルワールドのような。

内容は「B級映画の面白いところ全部詰め込んでみました」みたいなアメリカンでサスペンスなホラー。

静かな田舎町にSF子供番組や西部劇の登場人物が突然現れて、無差別に住民を銃撃していくっていうワケなんですが、あらすじを聞くより、単行本の表紙を見た方が早い。

デスペレーション

 

レギュレイターズ

もう表紙を見ただけで「面白いヤツだ」ってわかる。

オハイオ州の閑静な住宅街で起きた突然の発砲事件。奇妙なワゴン車から発せられた銃弾が、非情にも、新聞配達の少年の命を奪った。だが、悲劇はそれだけでは終わらなかった。

7.『骸骨乗組員』

 

後味悪すぎでおなじみの映画『ミスト』の原作『霧』が収録された作品集。

他の短編も面白いのに、それらを忘れさせてしまうくらい異彩を放つ『霧』。何度読んでも面白い。

もし自分がこの状況でスーパーマーケットにいたらどう行動するだろう?と妄想しまくったなあ。実際は即死だろうけど。

このほか、『握手しない男』『ウエディング・ギグ』『カインの末裔』『死神』『ほら、虎がいる』が収録。

映画と原作ではオチが違うので、『霧』を読むためだけに購入するのも全然あり。というか、オチがどうというワケでなく、文章で読む『霧』は一味も二味も違うのでぜひ。

ちなみに『霧』を読むだけなら、アンソロジー『闇の展覧会 霧 (ハヤカワ文庫NV)』の方が手に入りやすいかも。

7月19日のその夜、メイン州西部の全域が、未曽有のはげしい雷雨にみまわれた。嵐に脅える住民たち。だが、その後に襲ってきた“霧”こそが、真の恐怖だったのだ。

8.『神々のワード・プロセッサ』

 

「奇妙な味」として絶品の表題作、屋根裏部屋から発見された「呪われた猿のおもちゃ」と奮闘する王道ホラー『猿とシンバル』も良いですが、なにより『ジョウント』を読んだ時の衝撃は今も忘れられません。

ジョウントというテレポーテーション装置が普及した世界で、ある一家がジョウントを使って火星に移住する場面を描いた物語なんですが、あのオチはトラウマになります。

収録作品:『パラノイドの唄』『神々のワードプロセッサ』『オットー伯父さんのトラック』『ジョウント』『しなやかな銃弾のバラード』『猿とシンバル』

スケルトン・クルー〈2〉神々のワード・プロセッサ (扶桑社ミステリー)

『神々のワード・プロセッサ』はキングのホラー短編集の中でも特に傑作揃いなんです

2017.06.13

9.『ミルクマン』

 

『浮き台』『生きのびるやつ』『トッド夫人の近道』辺りは、キング短編の最高峰でしょう。最高!としか言いようがない。

『浮き台』というのは、湖に浮かんでいる台です(そのまんま)。

大学生の男女4人が湖に遊びにやってきて、「浮き台」に向かって泳ぎ、台の上に登るのですが、そこで主人公は湖に浮かぶ「黒いなにか」を目にします。

その「黒いなにか」に一人また一人と襲われていき……というパニックホラー短編なのですが、もう勘弁してくださいと土下座したくなるほどの恐怖。描写が怖すぎるよ。

この浮き台、映像化もされているのだけど、やっぱり文章で読む方が想像力が掻き立てられて良い。

スケルトン・クルー〈3〉ミルクマン (扶桑社ミステリー)

ヒッチハイク中の青年の目の前にあらわれ、彼を殺人へと駆り立てる謎の女「ノーナ」など、モダン・ホラーの王者キングが独自の幻想世界を妖しく描いた傑作短編集『スケルトン・クルー』完結編。

おわりに

というワケで、リチャード・バックマン作品のご紹介でした。

うーん、改めて見てもすごい作品たち。本当に面白いのしかないなあ。

唯一の難点は、手に入りにくい事ですねえ……(ノω`*)

全部オススメなんですけど、優先的に読んでみてほしい作品をあげるなら、短編集3作と、長編『死のロングウォーク (扶桑社ミステリー)』『バトルランナー (扶桑社ミステリー)』かな。

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4 件のコメント

  • あぁぁぁっ!リチャード・バックマン、いいですよねっ!!確かに手に入りにくくて、古本屋を巡りめぐって探したのは苦くもいい思い出です。ちなみに「最後の抵抗」以外は全て手に入れました。私が好きなのはやはり「死のロングウォーク」です。いろんな人に影響を残した恐ろしい小説ですよね。懐かしいです。「IT」「ダークタワー」の映画化で最近色々読み直しているので、リチャード・バックマンも読み直してみようと思います。

    • りかさんこんばんは!
      リチャード・バックマン、本当に本当に良いですよね。もう全部好きなんですよ。
      私もあの頃はネットで買う考えなんてなくて、でもどうしても欲しくて古本屋巡りしました。大変でしたが、楽しかったです。懐かしい。。
      これ、表紙がまたいいんですよね。飾っておきたくなるくらいこの絵がツボでして。しかも同じ作品でも表紙が新しいのと古いので違うのもあって、大変でした。
      同じく、「IT」「ダークタワー」映画化の影響でキング作品を読み直しており、リチャード・バックマン熱が再発して記事を書いてしまいました。リチャード・バックマンに反応してくれるの、りかさんだけかもしれません。笑
      ありがとうございます(ノω`*)

  • anpo39さん、はじめまして❕
    奇妙な味の作品探しで検索で見つけて発見し、ブックマークさせて頂きました。
    素晴らしいブログで、今日から楽しく読ませて頂いてます。
    ネタバレをせずに綺麗な写真と文章で紹介してくださっていて、他の読書系ブログや通販サイトレヴューよりすごい参考になります。読書論の記事も非常に共感しました。
    僕も本の虫で、小説が特に好みで、ミステリーが大好きです。
    最近は周囲に本の喜びや小説の奥深さを語り合える人がいないので、anpo39さんのブログに出会えて嬉しいです。お読みになられているジャンルの範囲が広いので、凄く興味が湧いて面白いです。
    タイムリーなことに、僕は今日キングのitを観てきたので、この記事も良かったです。
    今後も多彩な記事を楽しみにしています。o(^o^)o

    • とある小説ハンターさんこんばんは!
      奇妙な味、最高ですよね。大好きなんです。参考にしていただけたようで、大変嬉しく思います。
      そ、そんなにお褒めいただいて、う、嬉しい。。ありがとうございます(ノω`*)
      とある小説ハンターさんもミステリがお好きなんですね!私もミステリが大好きでして、しかも奇妙な味もお好きだなんて、これはかなり趣味が合いそうです。
      私も小説を語り合える人が周りにいなく、なんとかこの気持ちを伝えたいという事でブログをはじめた次第でして、ブログに出会えて嬉しいと言っていただけるなんて、それ以上に嬉しい言葉はありません。本当にありがとうございます。
      おお!それはグットタイミングです!私も元々キング作品が好きだったのですが、『it』を観てキング熱が再発したので、記事を書いてしまったのです。笑
      やはり完全に とある小説ハンター さんとは趣味が合いそうです。
      どうぞ、これからもよろしくお願いいたします!参考にしていただけたら嬉しいです(*´∀`*)

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