『謎の館へようこそ 黒』-『白』に続いて各作家さんの個性的すぎる短編が勢ぞろい!

さて、『白』に続き『謎の館へようこそ 黒』が発売されましたね。

収録作品は、

・はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』
・恩田陸『麦の海に浮かぶ檻』
・高田崇史『QED -ortus- 鬼神の社』
・綾崎隼『時の館のエトワール』
・白井智之『首無館の殺人』
・井上真偽『囚人館の惨劇』

の六編。

『白』も独特でしたが、『黒』もかなり個性的な短編が揃っていました。

 

『白』はこちら!➡︎『謎の館へようこそ 白』-「館」をテーマにした豪華アンソロジーが予想以上に面白くて嬉しい

はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』

「メタブック」という、小説の物語を現実世界で体験できる新しいエンターテインメントを提供する「ディリュージョン社」で働く新人エディターの森永と、天才作家と手塚。

本を愛する人しかいない会社なはずなのに、新人・森永がまったく本を読まない人物で、森永のトンチンカンな答えに手塚が毎回ツッコミを入れる、というユーモアのあるコンビです。

今回の謎は、森永が小学生の夏休みに出くわした、奇妙な事件について。

 

森永が友達と一緒に道を歩いていると、三日前にはなかったはずの館が立っていた。

そして、館の主と思われる人物に招き入れられ、その館で起きたという密室殺人の推理ショーに参加することになった。

しかし犯人を突き止めた時に火事が発生し、みな館から逃げ出す。森永も、そのまま家に帰った。

その後、一緒にいた友達に館で起きた事件について聞いてみると、「何を言ってるの?」と不思議な顔をされた。

他の人に聞いても、館なんてなかったよ、と言うばかりでーー。


この話は、はやみねかおるさんご自身の作品『ディリュージョン社の提供でお送りします (講談社タイガ)』の番外編、という感じですね。もちろん本編を読んでいなくても問題ありません。

むしろ、この短編を読んだらきっと本編も読んでみたくなるはずです。

新人・森永と天才作家・手塚コンビの掛け合い、楽しいですよ。

ミステリとしてもそうですが、「メタブック」という設定自体が抜群に面白いので、ぜひ本編の方も読んでいただけたらと思います。

特に小説好きの人にはたまらない設定ですので。私もメタブックやってみたい。。

恩田陸『麦の海に浮かぶ檻』

これはあらすじを説明しにくいですねえ。笑

タイトルからわかる通り、恩田さんの名作『麦の海に沈む果実 (講談社文庫)』の番外編ですね。

これも本編を読んでいなくても大丈夫ですし、むしろこの短編を読んだら絶対本編を読みたくなるやつです。

というか、ぜひ最初に『麦の海に沈む果実』を読んでほしい!

恩田さんの描く不穏で怪しい世界観のミステリで、よく「和製ハリーポッター」なんて言われるのですが、まさにそんな感じ。

閉ざされた学園での、不思議な不思議なお話。

 

高田崇史『QED -ortus- 鬼神の社』

神社の巫女さんが目撃した「鬼」の正体に迫る。

桑原崇(くわばらたかし)を探偵役とした『QEDシリーズ』ですね。

相変わらずの、うんちく量。もう勘弁して!と言わんばかりの、うんちく量。これぞQEDシリーズ。

でもうんちくを除くと、論理的推理にシンプルな謎であっさりとした真相。お上手。

綾崎隼『時の館のエトワール』

修学旅行では宿泊先の施設をいくつか選ぶことができるのですが、その中の【時の館】には奇妙な噂があった。

去年【時の館】に泊まった先輩が、「朝目覚めたら3ヶ月前に戻っていて、後悔していたことをやり直せた」、と文集に残していたためだ。

そんなことあるわけない、と半信半疑だった主人公でしたが、友人の希望に押し切られて【時の館】に泊まることに。

さて、そんな館で主人公・ひかりは、一人の男子と出会う。

まったく見たことのないその男子は、とても信じられないことを言い出した……。


これは『君と時計と嘘の塔 第一幕 (講談社タイガ)』から始まる青春タイムリープ・ミステリ、「君と時計シリーズ」の番外編ですね。

もちろん本編を読んでいなくても問題なく楽しめる短編です。

このページ数で解決できるの?と疑問に思うくらい非常に魅力的な謎であり、読ませる物語でありました。このアンソロジーの中でも結構お気に入り。

しかし、この後味。

うはー( ゚∀゚)

白井智之『首無館の殺人』

出たー!白井さんのグロミス!( ´∀`)

かつて残虐な事件が起きた「首無館」に調査をしに来た女子高生三人組は、ワケあって「首無館」に住んでいたスタミナ太郎たちに捕まり、監禁されてしまう。

が、またそこで残忍な首無し殺人事件が起きて、さあ大変!という話。

タイトルも舞台設定も超本格です。

 

白井さんといえば、『人間の顔は食べづらい (角川文庫)』や『おやすみ人面瘡』などのグロホラーミステリで有名なわけですが、この短編も初っ端から飛ばしていました。

グロいというか、ひたすらに気持ちが悪い。

読んでいて、不快な気分になる。

なのですが、しっかり本格ミステリしてました。これが白井さんの味。ただ気持ち悪いのではなく、巧いんですよねえ。

トリックの真相もさすがの白井さん。グロさの極みです。

エリンギのバター醤油炒め、私結構好きなのに、この短編のせいで食べられなくなりそう。。なんてことをしてくれるんだ!

 

井上真偽『囚人館の惨劇』

 

『謎の館へようこそ 黒』の中では一番ページ数がありました。で、1,2位を争う面白さでした。

 

夜行バスが峠で転落事故を起こし、乗客のほとんどが死んでしまった。

奇跡に生き残った十三名の乗客たちは、雨から逃れようと峠を彷徨い、とある館へとたどり着いた。

ここで助けを持つことにした乗客たちだが、一人の廃墟マニアが、この館は「囚人館」と呼ばれる曰く付きの場所だと言い出す。

状況も状況であり、みな精神的に追い込まれている中、一人の中学生が行方不明となってしまう……。


その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)』や『探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)』でおなじみの井上さん。

この短編も実に井上さんらしい。

『囚人館の惨劇』という「いかにも」なタイトルですし、「いかにも」な舞台設定ですので、そのまま王道をいくのかと思いきや、やはり井上さんでした。

推理シーンもよかったですが、スリリングな物語そのものの面白さが際立っていましたね。一番ページ数があったのに、読み終わるのは一番早かったんじゃないかな。

 

個性強めな『黒』い館。

あくまで「館」がテーマであり、いわゆる「館モノ」とは一味違う作品が揃っていましたね。

『白』もそうでしたが、とにかく個性的。各作家さんの「らしさ」がよく出ていました。

『白』と『黒』どちらが良かったか?と聞かれれば、私的には『白』の方が好みですかねえ。

『白』

・東川篤哉『陽奇館(仮)の密室』
・一肇『銀とクスノキ ~青髭館殺人事件~』
・古野まほろ『文化会館の殺人 ――Dのディスパリシオン』
・青崎有吾『噤ヶ森の硝子屋敷』
・周木 律『煙突館の実験的殺人』
・澤村伊智『わたしのミステリーパレス』

『黒』

・はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』
・恩田陸『麦の海に浮かぶ檻』
・高田崇史『QED -ortus- 鬼神の社』
・綾崎隼『時の館のエトワール』
・白井智之『首無館の殺人』
・井上真偽『囚人館の惨劇』

という、白と黒、両方の短編を合わせた12編の中で私的ベスト3を決めるなら、

・青崎有吾『噤ヶ森の硝子屋敷』
・周木 律『煙突館の実験的殺人』
・澤村伊智『わたしのミステリーパレス』

ですかねえ。なんと、三編とも『白』だ。

みなさんのベスト3はどの短編でしょうか?気になります(´∀`*)

気になる栞は……

さて、この30周年記念アンソロジー、各作家さんたちのイラストと作中のセリフが書かれた「栞」が入っています。

謎の館『白』では有栖川さんの『月光ゲーム』でした。

そして今回の『黒』に入っていたのは……、

綾辻行人さんの『十角館の殺人』だああ!!!。゚(゚ノ∀`゚)゚。

嬉しい。。。大当たりじゃないですかコレ。。。

個人的に最高の組み合わせなんですけど。

ありがたや、やりがたや……。

『謎の館へようこそ 白』-「館」をテーマにした豪華アンソロジーが予想以上に面白くて嬉しい

2017.09.25
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2 件のコメント

  • 黒ですねえ。黒々としていました。初めて読む作家さんも多く、他の人のものも読みたいなと思わせてくれました。こういうのってアンソロジーの醍醐味ですよね。この中なら、囚人館の終盤の展開が、僕的にかなり好みでした。その他、いろんな後味だったりオリジナリティだったりを楽しめるのもアンソロジーのいいところですよね。全作独特な味付けだけど、基本的な素材の旨味はしっかりできているというような、綺麗な謎解きで大満足でした。ちなみに、僕の栞は歌野さん。マジで当たりしかないですね。

    • 黒ですねえ。笑
      それしか言いようがありません。
      そうですね!アンソロジーをきっかけに、その作家さんの他の作品も読んでいつの間にか好きになっていたってことが私も多いです。
      このアンソロジーも、そんな風に多くの方に読まれてほしいですねえ。本当にかなり個性が出ているので、好みが分かれそうですが、そこがまた良いんですよね。
      おお!歌野さん!ほんと、全部当たりですよね。何種類あるんでしょう。。コンプリートできるのでしょうか。。

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