15歳以上、全員消失。『GONE』はキング絶賛も納得の名作SFスリラーでした

マイケル・グラント『GONE/ゴーン』。

この作品を一言でいうと、「15歳以上の人間が突然消失してしまった世界で繰り広げられるSFスリラー」です。

なんと面白そうな設定。しかも本屋さんで見かけたPOPには「スティーブン・キング絶賛」の文字が。

キング好きの私としては「キングが絶賛するなら読むしかない」と、あらすじもよく見ないまま購入。家に帰って早速で読む私。

「キングが絶賛」ということでなんとなくわかってはいたのですが、案の定、というか予想していたよりはるかに面白い物語がそこには繰り広げられていました。

 

マイケル・グラント『GONE/ゴーン』

 

15歳以上が全員消失するという個人的にも大好物すぎる設定。「子供たちだけのサバイバル作品」というのはそれだけでワクワクするものです。

どんな物語になるのかな?と期待に満ち溢れていた私は、心の準備のする暇もなく、冒頭から一気に物語に引き込まれてしまうことになります。

先生が、消えた。

たったいま南北戦争の話をしていた先生が、いきなり消えてしまった。

目の前で、なんの前触れもなく。

サム・テンプルは、ぼんやりと黒板を見ながら三時限目の歴史の授業を受けていたところだった。

『GONE 上』P.11より引用

いきなりこれです。

物語が始まった1ページ目がこれです。

このようなSF作品の場合、人物紹介を含め、事態が起こるまでの何気無い日常が綴られていてき、中盤に差し掛かったところで急に物語が動きだす、というパターンが多く見られます。

なので、前半はちょっと退屈だな、なんて思ってしまう作品も数少なくありません。

しかし『GONE』は何の前触れもなく、いきなり先生が目の前で消えるところから始まるのです。

最初からエンジン全開です。退屈させてくれる暇もなく、あっという間に引き込まれてしまいました。

さらに、この世界で起こった異変はこれだけではありません。

授業中、教室から先生が消えた。忽然と。サムたち生徒は騒然となるが、やがて、消えたのは町じゅうの大人―15歳以上の人間全員だとわかる。両親の姿も見えず、携帯電話もテレビも繋がらず、途方に暮れる少年少女たち。異様な混乱の中、サムは親友のクインらとともに、町のはずれまで行ってみることに。そこで彼らが見たものは…。

壁、登場。

壁だ。

かすかに揺らめいている。

濁ってくすんでいるわけではないのに、そこを通ってきた光はこちら側のものより白くぼんやりとしている。その壁は霜で凍りついた窓をのぞきこんだときのように、かすかに光を跳ね返していた。

『GONE 上』P.11より引用

キター!!!と思いました。

街全体を覆うであろう「壁」の登場です。

スティーヴン・キングの『アンダー・ザ・ドーム 1 (文春文庫)』のようです。

あまりに似ているために「パクリ」なんて言われてしまっているようですが、私にとっては大好物な設定ですので、むしろありがとうと言いたいくらい。

これで皆さん大好きの「クローズド・サークル」の完成です。やはりこうでなくっちゃ!

能力者、登場。

サムが近づくと、この小さな怯えきった少女は両手を上げ、手のひらを広げた。そして肉づきのいい小さな手から爆風が、炎の塊が飛び出した。

小さな手が、サムに向けて炎を放ったのだ。

『GONE 上』P.53より引用

まだまだ事態の急変は終わりません。

子供達の中で、不思議な能力を持つ者たちが現れてくるのです。もちろんその能力は様々。

一体どれだけワクワクさせてくれれば気がすむのでしょうか。

15歳以上の全員が消失し、謎の壁に覆われたこの世界で、超能力を開花させていく子供たち。

これだけの設定を取り込んでおいて面白くないわけがありません。

残酷な世界で、彼らを待ち受けるのもは

14歳以下の子供たちしかいないこの世界でも、争いは起きてしまいます。いるんですよね、イヤな奴が。

リーダー的ポジションの者、ずる賢い者、仲間を裏切る者。

そして、能力を持たない者、能力を持つが力は強くない者、超強力な能力をつ者。

様々な子供たちが出会うことでグループが出来上がり、力を持つ者、持たない者の格差社会が成り立っていきます。彼らはこの先、どう戦い、生きてくのでしょうか。

 

さらに、忘れてはならない大きなポイントがあります。

それは、

14歳の子供が誕生日を迎えたらどうなるのか?

ということです。

この世界では15歳以上の人間が突然消失しました。

14歳の子供が、この異常な世界で、15歳になった時、彼らも同じく消失してしまうのでしょうか。

その答えは、ぜひ本書で。

ありがたいほどに読みやすい

本書の特徴として声を大きくして言いたいのが「とても読みやすい」ということ。

翻訳物でありながらその独特のクセがほぼ感じられず、まるで日本の作品を読んでいるような読みやすさでした。

「読みにくい」という理由で海外作品を敬遠している方も、この作品ならサクッと読めることでしょう。試しに本屋さんで最初の2,3ページを読んでみてください。この「読みやすさ」をすぐにご理解していただけるはずです。

それでいてこのキングっぽい世界観。

「スティーヴン・キングの作品の世界観はすごく好きなんだけど、翻訳物の独特の文体が苦手なんだよね」という方にもぜひ読んでいただければと思います。

物語は終わらない。

実を言うとこの物語、これだけでは完結しません。

なんと全6巻からなるシリーズ物なのです。

2017年1月4日現在では、第2弾『GONE ゴーン II 飢餓 上 (ハーパーBOOKS)』までが翻訳され発売しています。すぐに第2弾も読ませていただきましたがさすがの面白さでした。間違いなく、全シリーズ読みます。

 

謎包まれた異常な世界で、恐怖と緊張感に包まれながら生き抜く子供たちを描いた『GONE』。

原作は完結しているものの、翻訳版はまだ発売されはじめたばかりです。

彼らの行く末を、ぜひその目に。

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