そうくるか!『交換殺人には向かない夜』が「烏賊川市シリーズ」の中で1番好き

「烏賊川市シリーズ」とは、非常にユーモラスでありながらしっかり本格ミステリが楽しめる、東川篤哉(ひがしがわとくや)さんの人気シリーズ。

コミカルなキャラクターやユーモアのある描写で気をそらせつつ、実はがっつりなミステリをしていてビックリさせてくれるという面白い作風がクセになります。

今回は、そんな「烏賊川市(いかがわし)シリーズ」の4作目『交換殺人には向かない夜』をちょっとご紹介させてくださいな(* >ω<)

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『交換殺人には向かない夜』

 

私立探偵・鵜飼杜夫(うかいもりお)と弟子・戸村流平(とむらりゅうへい)のコンビを主人公とした「烏賊川市シリーズ」。

今までは一緒に行動していた彼らですが、今作は3つのグループの視点で物語は進み、鵜飼と戸村は別々のグループに属することになります。

グループ①

鵜飼が開く探偵事務所に、善通寺咲子という人物がやってきます。依頼の内容は、「主人が浮気をしていないか確かめてほしい」というもの。

そこで鵜飼はビルのオーナーである二宮朱美(にのみやあけみ)とともに調査に乗り出します。

これがグループ①の「鵜飼&朱美」ペアです。

グループ②

鵜飼の弟子・戸村流平は自分のアパートにいました。そこに一本の電話がかかってきます。

なんと電話の相手は、シリーズ2作目『密室に向かって撃て! (光文社文庫)』で知り合いになった超ど天然お嬢様・十乗寺さくらでした。

話の内容は、友人が欲しがっている〈ナカタニSV8〉という8ミリカメラを買いたいので、一緒にカメラ屋さんまで付き合ってほしい、というものでした。

まさかの申し出にテンションが上がる戸村は、もちろんさくらと行動を共にします。

これがグループ②の「戸村&さくら」ペアです。

グループ③

観測至上最高の積雪になるかもしれない雪の降る夜、鶴見町の路上で殺人事件が起きます。被害者は左の脇腹を刺され、雪の積もった路上に倒れていました。

この事件を調査していくのが砂川警部をはじめとした志木刑事と和泉刑事。

グループ③は「刑事たち」です。


というわけで、今作では①「鵜飼&朱美」ペアと②「戸村&さくら」ペア、③「刑事たち」の物語がそれぞれ進んでいき次第につながっていく、という構成になっています。

交換殺人には、やっぱり向かない。

交換殺人とは、全く面識のないAさんとBさんが、それぞれの殺したい相手を殺すというもの。つまりAさんはBさんの殺したい人を殺し、BさんはAさんの殺したい相手を殺します。

こうすることで、①加害者と被害者の関係性が全くないので容疑者から外れやすい、ということと、②一方が殺人を犯している間、もう一方は完全なアリバイを作ることができる、というメリットがもたらされます。

 

本書の解説でミステリ評論家の佳多山大地さんも述べている通り、交換殺人を用いたミステリにはだいたい2通りあります。

1つ目は、完璧と思われた計画が、犯人側のハプニングによって意外な展開になっていくサスペンス重視のもの。

2つ目は、交換殺人が行われているということを最後の最後まで隠しておく、というもの。

しかし今作ではタイトルが『交換殺人には向かない夜』ということもあり、読者は読む前から「交換殺人が行われるな」とわかってしまいます。交換殺人であることを、読者に隠しておく気がないことがわかります。

ではもう一方のサスペンス重視のものなのか?と言われるとそれもちょっと違う。

確かに交換殺人がテーマになっていますが、単なる交換殺人ミステリには終わりません。これが今作の絶妙に面白いところ。真実の隠し方が実にお上手です。

特に物語のラスト、交換殺人のタネが明かされると思いきや、違った方向からまさかの衝撃が訪れます。これも本書の見所。ぜひびっくりしましょう。

『交換殺人には向かない夜』のポイント

ポイントを一つに絞るならば、「交換殺人という使い古されたネタをどう利用してくるか」です。読んでいただければ、思わず「そうくるのね!」と言ってしまいたくなるでしょう。構成も伏線も絶妙です。

なぜ今回シリーズ4作目の『交換殺人には向かない夜』をご紹介させていただいたかというと、今作が「烏賊川市シリーズ」の中で1番面白いと思ったからです。

いきなり4作目の『交換殺人には向かない夜』から読んでも十分面白いですが、最大限に楽しみたいなら1作目から読んだ方が良いかもしれません。

今回の事件ではシリーズ2作目『密室に向かって撃て! (光文社文庫)』に登場した十乗寺さくらも登場することですし、ある程度の人間関係を把握しておいた方がより楽しめるでしょう。

先ほど『交換殺人には向かない夜』が一番面白いと言いましたが、一作目から三作目もちゃんと面白いです。ほんとに。

このシリーズは常にユーモア満点ですので、基本的にどれを読んでも楽めちゃうのですから!

【東川篤哉】《烏賊川市シリーズ》のおすすめと順番【小説】

2015.09.02
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4 件のコメント

  • おおっ~、これちょうどこの間、読んだんですよね。

    結構ギャグが多かったのでちょっと油断してたら、思った以上に手の込んだ真相(!)で、感心してしまいました。

    こういう「ユーモアミステリー」って、もっといろいろ読んでみたいけど、あんまり見つからないんですよね。(我孫子 武丸さんの「0の殺人」は面白かったです。)

    • おおーすごいタイミングですね!なんだか嬉しいです♪
      そうそう。ギャグで油断させるっていう素晴らしいテクニックですよね。あのユーモアさまでもが実は作戦で。。。
      そうですねー、東川篤哉さんのユーモアミステリは群を抜いていますからね。。
      あとは折原一さんの『天井裏の散歩者』や、天藤真さんの『大誘拐』などが好きです。他には西澤保彦さんの『腕貫探偵』シリーズとかも良いですね〜(*´▽`)

      • おススメ本紹介、ありがとうございます。

        「大誘拐」は既読なので、あとの2冊はチェックしてみます。「天井裏の散歩者」・・・むむ、乱歩好きには、気になるタイトルですね。西澤保彦さんは「聯愁殺」(西澤版毒チョコ)の結末が強烈!でしたね。

        これからも素敵な記事、楽しみにしています。

        • お、orsaymnさん乱歩好きでしたか!やはり「天井裏の散歩者」は気になっちゃいますよね 笑。
          最初の方は「あれ、普通だな」って感じなんですけど、最後の方まで読んでいくと「???!」ってなってきます。お気に召して頂ければ幸いです。
          やっぱり「聯愁殺」良いですよねー!私もあのオチ好きです♪
          ああ、嬉しいお言葉ありがとうございます泣、こちらこそよろしくお願いいたします(ノД`。)

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