活字を拾う美しさ。ほしおさなえ『活版印刷 三日月堂』を読んで大切な言葉を届けよう

『活版印刷 三日月堂』の感想、あらすじなどをご紹介です。

 

この作品が発売された時(2016/6/3頃)、近くの本屋さんでドドーンと平積みされていたんですよね。

ポップとかもなかなか気合が入っていて、本屋さんの「この本を売りたい!」って気持ちが伝わってきたんです。

 

なら読むしかないでしょう!!

 

それに表紙絵がとても綺麗ですごく引き込まれる。

読む前から「心温まる小説」だなっていうのがわかりますよね。

 

では一体どんな作品なのでしょうか。

 

『活版印刷三日月堂 星たちの栞』あらすじ

 

店主が亡くなり長い間営業していなかった印刷所「三日月堂」。

しかし店主の孫娘である弓子が街にやってきて、とあるきっかけで「三日月堂」の営業を開始します。

そこに訪れる悩みを抱えた人々。

彼らは弓子さんと活版印刷に出会うことによって心温まり救われていく、という心がほっこりするに決まってる王道パターンの作品です。

そしてこの作品は4つのお話からなる連作短編集。

それぞれのお話のあらすじを少しだけご紹介です。

扉をあけると向かい側にすぐ活字の棚。壁は四方すべて活字のはいった棚で覆われている。鴨居の上、天井ぎりぎりまですべて棚で、ぎっしり活字が詰まっている。

そして、大きな歯車のついた、自家用車くらいの大きな印刷機・・・。

「世界は森」P.36より引用

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1.『世界は森』

川越運送店に勤めるハルさん。

彼女の息子・森太郎は北海道の大学に合格し、一ヶ月後には北海道で暮らすことになっていた。

今までずっと一緒にいた息子と離れ離れで暮らすことに気持ちの整理がつかないでいた。

そんなとき、街の片隅にひっそりと佇む「三日月堂」が目に入る。

電気が付いている、、?

店主が亡くなって以来営業していなかった印刷所・「三日月堂」。

実は店主の孫娘である弓子がこの街に帰ってきたのだった。

2.『八月のコースター』

街のはずれで珈琲店「桐一葉」を営んでいる岡部。

もともと経営していた叔父から譲り受けたお店だ。

しかし「叔父の育てた店」という事に重圧を感じ、結句自分は叔父の代理でしかないと悩みを抱えていた。

そんなとき、岡部は川越運送店のハルさんから三日月堂の話を聞く。

3.『星たちの栞』

ある日、突然の雨に襲われ「桐一葉」という珈琲店に訪れた高校の国語教師。

そこで彼女は水の下に敷かれたコースターに目を奪われる。

 

この作品のタイトルに『活版印刷 三日月堂  星たちの栞』とあるように、この短編のタイトルが作品のタイトルにも含まれています。

だからなのか、この作品が一番心に残ったというか、好きでした。

4.『ひとつだけの活字』

この話の主人公は来年の3月に結婚を控えている女性。

彼女もまた、とある悩みを抱えていた。

そんなとき大学の後輩から「三日月堂」の存在を知らされた彼女は、活版印刷に興味を惹かれ三日月堂を訪れることに。

そこで出会った弓子さん、そして大量の活字を目の前にし、彼女は動き出す。

 

この話での弓子さんの活版印刷トークがとても面白く、「へえー!」って言いっぱなしでしたね(*´∪`)

 

活字を拾う、ということ

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悩みを抱えた人々が三日月堂で活版印刷と弓子さんに出会い、伝えられなかった言葉を「活字」にして届ける。

こんなの心温まるに決まっているではないですか。

表紙絵から想像していたとおりの良い作品でした。

 

「文字って、ほんとにたくさんあるのねえ」

わたしはため息をついた。

「ここでは文字が『活字』という『もの』として並んでるから、よけいそう感じるのかもしれませんね」

「世界は森」P.41より引用

 

この作品の中には「活字を拾う」という言葉がよく登場します。

「活字を拾う」。

この言葉は「活字」を「もの」として扱う活版印刷の世界ならではの表現です。

私は昔から本を読むことが大好きなので「言葉」や「文字」というものに頻繁に触れてきてた方だと思います。

しかし、そんな私にとって活字を物質として扱うこの世界はなんとも新鮮でした。

今まで文字は文字としてしか見ていなかったけど、この作品を読むとその印象が変わります。

「言葉」や「文字」がもっともっと好きに、愛おしくてたまらなくなるんです。

ああーやっぱり読書が好きだー!!!(>ω<*)ってなりました。

 

誰かに伝えたい言葉がある。

言いたくでもなかなか言えないでいる想いがある。

本が好きで、読書が好きで、言葉が好きで、文字が好き。

そんな方にぜひ読んでいただきたい作品です。

 

 

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