辻村深月『かがみの孤城』が「スロウハイツの神様」を超えてしまったかもしれない

これが辻村深月さんだあああああ!!泣

 

 

……すいません、取り乱しました。

基本的に辻村深月さんの作品って好きなのばかりなんですけど、一番好きな作品は?と聞かれたら『スロウハイツの神様 (講談社文庫)』と答えるんですよ。

それで今回『かがみの孤城』の帯に〈一気読み必至!問答無用の著者最高傑作!〉と書いてあったのを見て、「うわあ、ハードル上げてるなあ」なんて思ってたんですけど、私がバカでした。その通りでした。

これはほんとに最高傑作かもしれません。かもしれない、というのは読んだばかりで気持ちが高ぶってしまっていて冷静な判断ができないからです。

辻村さんはやっぱこういう物語が本当にお上手なんですよ。私が思う「これぞ辻村深月!」という作品でした。

あの時の、『冷たい校舎の時は止まる』や『スロウハイツの神様』の頃のような、私が辻村深月さんを好きになったきっかけの作品たちを思い出しましたね。

 

辻村深月さんの作品も読んだことがない方も、すでにお好きな方も、お願いですからちょっと見ていってくださいな。

 

関連記事➡︎【10作品】まず読むべき辻村深月さんのおすすめ小説と順番

『かがみの孤城』の簡単なあらすじ

 

話の中心となるのは、安西こころちゃん。中学一年生。

こころは、学校でのトラブルによって、最初の四月しか学校に通う事ができなくなてしまいました。

学校に行けない子供たちを支援する「心の教室」にも通おうとするのですが、やはり怖い。行こうとすると、お腹が痛くなってしまう。

 

そんなある日、こころが部屋にいると、鏡が光った。

わけがわからず、でも、惹かれるように手を伸ばす。

すると、鏡の中に引き込まれた。

異様な子が、そこに立っていた。

「起きてくれた? 安西こころちゃん」

狼の、顔。

縁日で売られるような、狼の面をつけた女の子が立っている。

P.30より

気がつけば、そこは見たこともない、まるでアニメのような、ファンタジーな世界。

そして、狼の面をつけた女の子と、城があった。

居場所のない、七人の中学生たち

 

城の中にはすでに、こころの他に六人の男の子と女の子がいました。

 

ポニーテールが似合う、年上っぽい女の子・アキ。

声優さんみたいな声の、おとなしそうな女の子・フウカ。

ジャージ姿だけどイケメンな男の子・リオン。

生意気そうで、ゲームが好きな男の子・マサムネ。

そばかすがあって、ハリーポッターのロンみたいな男の子・スバル。

ぽっちゃりしてて、気弱そうな男の子・ウレシノ。

そして、こころ。

計七名。

 

彼らもこころと同じように鏡に引き込まれ、気がつけば城にいたと言います。

ここはどこ?一体なんでこんなことに?何が起こったの?

そんな戸惑いを見せるこころ達に、狼の面の女の子は、言う。

「お前たちには今日から三月まで、この城の中で”願いの部屋”に入る鍵探しをしてもらう。見つけたヤツ一人だけが、扉を開けて願いを叶える権利がある。つまりは、”願いの鍵”探しだ。ーー理解したか?」

P.43より

つまり、こころたちには、願いが叶う部屋に入れる”鍵”を探してもらうのだと言う。

鍵は城のどこかにある。しかし、願いを叶えられるのは一人だけ。

城への行き来は、いま来る時に使った鏡を使用。城に来れるのは、朝九時から夕方五時まで。これは絶対で、夕方五時までに帰らないとペナルティーがあるという。

「ペナルティー?」

「シンプルな罰だ。狼に食われる」

P.46より

期限は三月三十日まで。今は五月。

つまり長くて一年近く、こころたちはこの城で一緒に鍵探しをすることになる。

なぜ、こころたちは城に呼ばれたのか。

はたして、願いを叶えられるのは誰なのか。


学校にいけなくなってしまったこころは鏡に引き込まれ、同じように導かれた少年少女たちと出会い、異世界のお城で願いの叶う鍵を探すーー。

まるでどこかで見たような、王道なファンタジー小説っぽいあらすじです。

しかしこれは、よくある剣と魔法のファンタジーではありません。辻村ファンタジーです。辻村さんにしか書けない、特別なファンタジー作品なんです。

こころ達にはある共通点があり、なぜこころたちはこのお城に呼ばれたのか?という事がのちに明らかになっていきます。

はっきり言ってメチャメチャ心が痛くなりました。こころに感情移入しすぎてこっちまで胸がズキズキします(辻村さんの描写がお上手すぎて)。

しかもペナルティーしたら狼に食べられるって言うし。え、ダークファンタジーなの?怖い話なの?って思うじゃないですか。

でもね、読んでよかった!って思える、優しい気持ちに包まれる物語なんですよ。これほど「読み終わりたくない」と思った物語も久々です。読んでよかった。本当に読んでよかった。

やっぱり辻村さんの描く「人間」ってのが本当に好きだ。こころも、アキも、フウカも、リオンも、スバルも、マサムネも、ウレシノも、みんな大好きだ。

 

辻村さんの傑作ファンタジー、ここに誕生。

辻村さんの作品って、序盤から中盤くらいまでに伏線や謎が散りばめられていて、終盤で真相がグワーッと明らかになっていく、っていうのが好きなんですけど、『かがみの孤城』もまさにそんな感じなんです。

あの終盤はほんとヤバイといいますか、中盤までのアレやコレが綺麗に収束していき、あらゆる真相が明らかになっていくラスト数十ページが素晴らしすぎるんですよ!!!

これこそ、私の読みたかった辻村深月さんでした。

初めて『スロウハイツの神様』を読んだ時の、あの気持ちを思いだしましたね。

なんだろう。

感動で泣くのではなく、悲しくて泣くのではなく、「優しさ」で泣けてしまうんです。気がつけば視界がぼやけてきてしまう。まったく、どうしてこんな物語をかけるのでしょうか。

正直ちょっと予想が当たった部分もあったんですけど「だからなんだ」って話ですよ。予想が当たったとかそんな事じゃ全くブレない面白さがあるんですよこの作品には。

 

すでに辻村深月さんの事が好きな方。なにがあっても読みましょう。問答無用です。

まだ辻村深月さんの作品を読んだ事がない、という方。ぜひ読みましょう。これが辻村深月さんです。

辻村深月さんの作品を読んだ事があり、少しでも「面白いな」と思った事がある方。必ず読みましょう。間違いなく気に入っていただけます。

辻村さんの作品は読んだことあるけど、なんか合わなかったなあ、という方。もう一度チャレンジしてください。この作品で大好きになるはずです。

単行本なので2000円くらいしますけど、これはいますぐ買って読むべきです。文庫化するのを待っている場合ではありません。

私の中の最高傑作、『スロウハイツの神様』と同じレベルで好きな作品です。

いつもいつも「これ読んで!」ってばかりでうるさいとは思いますが、読んでください。そして感想を聞かせていただきたいです。

 

居場所がない、孤独な七人の中学生たち。

彼女たちの行く末を、成長を、未来をどうか見守ってあげてくださいーー。

辻村深月さんのまず読むべきオススメ作品と順番など

2015.09.13
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4 件のコメント

  • きたきたきたーー!!
    早くこのblogにこの作品紹介されないかと待ってましたよ!
    大好きな辻村さんの新作、発売してすぐに買いました。
    今、読み終わりまして、大変私も取り乱してます!
    そして、号泣です(笑)
    確かに予想があたってましたが、いいんです。
    凍りのくじらも、冷たい校舎も、名前探しも、そのほかどれも大好きなんですが、これはヤバいですよね。
    まだ興奮が!!

    • おおー待っていてくださいましたか!
      大変取り乱すお気持ち、すごくわかります。泣きますよこれは。やばいです。
      コメントに書くとネタバレになっちゃうので詳しく書けませんけど、
      最後の、スバルがムラマサに言うゲームのくだりとかもう優しさに満ちていて泣きました。
      いまだに、余韻から抜け出せないんですけど。。

  • 私も全く同じところで涙腺崩壊です!

    あ、あと、「ムラマサ」じゃなくて、「マサムネ」ですよ(小声)

    • ですよねー!!泣
      あそこはやばいです。
      あ、、超恥ずかしいことをやってしまいました。。。
      刀繋がり。。ご指摘ありがとうございます。。
      これも興奮のせいだ。。

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    anpo39

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