『エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』で海外の名作古典ホラーを堪能しよう

『エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』ってどんな作品かというと、〈海外の名作王道ホラー小説の集まり〉だと思ってください。はっきり言って超贅沢です。

エドワード・ゴーリーさんは、超有名なアメリカの絵本作家さん。怪しげで独特の作風がもろにツボなんですよ。

 

 

 

 

 

怖い絵本という感じなんですが、でもどこか違うゴーリーならではの世界観が最高なのです。

で、今作はそのエドワード・ゴーリーが選び抜いた12編のホラー短編を収めて、しかも一遍一編に扉絵を描いているっていう最高のアンソロジーなわけです。

 

超有名な『猿の手』!

 

W・W・ジェイコブズの『猿の手』はあまりにも有名なので読んだ方も多いのではないでしょうか。ホラー短編の金字塔です。私は小学校の頃に読んで震え上がった記憶があります(ノω`)

 

田舎に住む家族の家に、父親の知り合いのモリス特務曹長が訪れます。

さっそく以前チラッと聞いた〈猿の手〉の話を詳しく聞こうとしますが、モリス氏はなかなか話そうとしてくれません。しかし一家が興味津々なのでしぶしぶ猿の手の話をすることに。

「見た目には」と特務長官はポケットを探りながら言った。「何の変哲もない、ミイラみたいに乾かした手です」

P.250より

「老いた苦行僧が魔法をかけたのです」と特務長官は言った。「大変に徳の高い人でした。人間の生涯は運命に支配されていて、運命に逆らおうとする者はひどい目に遭うということをその方は示そうとしたのです。そこで猿の手に魔力を施し、三人の人間がそれぞれ三つ願いを叶えてもらえるようにしたのです」

P.251より

嘘みたいな話ですが、すでにモリス氏は願いを叶えてもらったそうです。しかしその割には幸せそうには見えず。。

で、なんとそのまま暖炉の中に猿の手を捨てようとしたのです。一家が欲しい、と言っても「捨ててしまいなさい」の一点張り。

しかしそんな素晴らしいモノを捨てられるはずもなく、モリス氏の助言を聞かずに猿の手に「二百ポンドをください」と願い事をしてしまうんです。

ま、どうせ叶うわけないっしょ!笑、みたいなノリだったのですが、その願いはまさかの形で叶えられてしまうことになります。


ああー何度読んでも好きだー!このアンソロジーの中でも一番好みですね。

八月の炎暑

私は今日、人生で最も不可思議な一日を過ごしたと思う。記憶が薄れないうちに、できるだけ明確な形で書き記しておきたい。

P.36より

そう語るのは、画家のジェイムズ。

八月の暑い日、急にアイデアが湧いてきた彼は「犯罪者が裁判長に判決を告げられたばかりの様子」を描いた。巨漢で丸禿げで絶望の底にあるような表情。

その絵をポケットに入れ、良い仕事ができたとウキウキ気分で街に出たジェイムズは気がつくと石碑制作所の前にいた。

ふと気を惹かれ中に入っていったジェイムズは、そこで先ほど描いた肖像の男と全く同じ人物を目にする。。


ホラーというより「奇妙な味」系の物語。本当大好き。

『大理石の軀』

この話は一語一句の末まで絶望的に真実であるが、読む人にいきなり信じてもらおうとは思わない。現代では、物事を信じる前提として「合理的説明」が求められるからだ。

P.166より

 

やっとの思いで素敵なコテージを見つけ、ブレンゼットという小さな村に住み始めた私とローラは、すぐにミセス・ドーマンという身の回りの世話をしてくれる老婦人を雇った。

庭仕事が得意でとても感じの良い婦人だったのですが、彼女が突然月末までにやめたいと言い始めた。

理由を問うと、「近くの教会にある大理石の彫像が、諸聖徒日の前の晩になると歩き出す」と言うのです。

「どこへ行くんだろう?」私はだいぶ惹きつけられて尋ねた。

「ここ、自分たちの家があった場所でございますよ、誰かがあの二人に会うとーー」

「会うとどうなるんだい?」と私は聞いた。

無駄だったーーそれ以上は話してくれないのだ。

P.175より

必ず諸聖徒日の前の晩は戸締りをし戸口と窓に十字架をかけてください、と忠告を残し去っていく婦人。

そしてやってきた諸聖徒日の前の晩。そんなことをすっかり忘れていた私はうっかり夜に散歩に出てしまい、ついでに真相を確かめようと教会の近くまで大理石の彫像を見に行きます。

するとそこには……。


まさに海外のホラーって感じで好き。

 

この他にも

C・ディケンズの『手信号』

W・コリンズの『夢の女』

R・L・スティーブンスンの『死体泥棒』

B・ストーカーの『判事の家』

など名作のオンパレード。

怖いだけでなく面白いんです。これ重要です。むしろ「怖さ」だけなら日本のホラー小説の方が勝ってる気がします。でも海外には海外ならではの「奇妙さ」がありますからね。

で、ゴーリーの扉絵が最高にマッチしていて雰囲気を盛り上げてくれる上に作品の並び順もうまいんですわ。

序盤でぐっと引き込ませて、名作をバンバン!と連続させどんどん奇妙な雰囲気が増してきて、『猿の手』でキター!ってなってM・R・ジェイムズ『古代文字の秘法』でフィニッシュ!という完璧な流れ。そりゃ一気読みしちゃいますよ。

なんか面白い海外ホラー読みたいなあ、と思ったらまずこれを手にとってください。間違いありません。

いや、嘘です。

そんなこと思わなくてもとりあえず読んでみてください!笑

これをキッカケに海外ホラーにハマっちゃいましょう( ゚∀゚)

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2 件のコメント

  • こんにちは!
    「エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談」、面白いですよね!奇しくも先月に読んだばかりなので、こちらで紹介されてるのを読んで驚きました^ ^
    「猿の手」以外は初読だったのですが、中でも私が「いいな」と思ったのは「八月の炎暑」と「手信号」です。でも、管理人様のおっしゃる通り、どれも怖いだけではなく面白くて良いですよね!
    エドワード・ゴーリーの絵本は私も好きで、何冊か読んだのですが、特に「ギャシュリークラムのちびっ子たち」と「うろんな客」が好きです。ゴーリーはホラーのセンスが素晴らしいと思います。
    今回も、とても面白い記事でした。自分が好きな本が紹介されてると、嬉しいですね^ ^ありがとうございました!

    • キツネ子さんこんにちは〜(*´∀`)
      先月に読んだばかり!それはなんという偶然でしょう!ほんとこの作品は面白いですよね♩
      「八月の炎暑」と「手信号」はどっちも好きです。というかほとんど好きな作品しかないですが笑
      私もゴーリーの絵本にどハマりした者の一人でして、同じく「ギャシュリークラムのちびっ子たち」と「うろんな客」は大の大好きです!一時期完全にゴーリー中毒でした。あの世界観がたまりせん( ´艸`)
      いえいえ、こちらこそ嬉しいコメントありがとうございます!

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